カテゴリー別アーカイブ: 展覧会イベントレビュー

【イベント情報】アートフェア東京 2018 ×3331 ART FAIR レポート

 東京・有楽町では国内最大のアートフェア、アートフェア東京2018が11日(日)まで開催されています。今年は164軒のギャラリーがブースを展開。ルノワール、マティス、キース・ヘリングに李禹煥、東京国立近代美術館で開催中の個展が話題の熊谷守一といった人気作家から新進気鋭の若手まで、ギャラリーオーナーが今の「押し」を並べます。 ギャラリーオリムブース(North Wing -N18)では、当社にて3... Read more

展覧会だより「赤瀬川原平の芸術原理 1960年代から現在まで」展 その1

クリスマスが終わり、街中の飾りやスーパーの品揃えが、一気にお正月の様相へと変わりましたね。先日、弊社オフィスがある有明にもちらちらと雪が降り、底冷えの寒さと共に1月がやって来る気配がします。 今回のシンワブログでは、10月28日から12月23日まで、千葉市美術館にて開催された、赤瀬川原平の大規模な回顧展、「赤瀬川原平の芸術原理 1960年代から現在まで」についてお話をしたいと思います。展覧会初... Read more

展覧会だより「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより」 その2

 9月に入り、夏の暑さもあと少し我慢すれば秋の予感…。今日は前回に引き続き、東京国立近代美術館から巡回中の展覧会、「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展ヤゲオ財団コレクションより」展についてお話をさせていただこうと思います。今回はある作品にスポットを当ててお送りしますよ!   会場には、40作家約74点の作品が、「ミューズ」や「中国の近現代美術」、「記憶」、「新しい美」など10の章立て... Read more

展覧会だより「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展 ヤゲオ財団コレクションより」 その1

東京の街中でこのポスターを見かけたことがある方は多いのではないでしょうか。主に駅構内に大々的に掲示されていたこのポスター。奇抜で大胆な色づかいに、アクロバティックなポーズでこちらを見つめている金ピカの彫刻。「一体何の展覧会なんだろう…。」と首をかしげた方もいらっしゃるはず。正体は「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展ヤゲオ財団コレクションより」という東京国立近代美術館で開催中の展覧会... Read more

展覧会のご紹介「市制80周年記念展 上村松園と鏑木清方」

 こんにちは。夏休みは各美術館でさまざまな企画が催されていますが、今日はその中から日本画の展覧会を一つ、ご紹介いたします。

 現在、平塚市美術館では「市制80周年記念展 上村松園と鏑木清方」が開催されています。上村松園と鏑木清方は当社のオークションでもおなじみの作家ですが、ともに「西の松園、東の清方」と並び称された近代を代表する美人画の巨匠です。

 松園(1875-1949)は京都で生まれ、江戸時代の風俗や伝統芸能をテーマに理想の女性像を表現し、昭和23年には女性として初めての文化勲章を受章しました。
一方、清方(1878-1972)は東京神田に生まれ、挿絵画家として出発した後に歌川派の浮世絵の系譜を継ぎ、江戸の下町風俗を情緒豊かに描き出した画家です。
 この展覧会では松園30点、清方45点を一堂に展示し、二人の初期から晩年にいたる画業を紹介しています。

<上村松園>
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  図版1                  図版2

図版1 《花下美人図》 明治30年頃作
松園が22歳頃に制作した作品です。この作品のような季節の花を愛でる美人は、浮世絵にも多く見られる伝統的な主題です。ここでは、身近な若い女性を写生することを通して、その表情だけでなく華やかで初々しい雰囲気をつぶさに描き出しています。

図版2 《桜可里図》 昭和11年頃作
同じく桜を愛でる女性像ですが、こちらは画業の後期、61歳頃に制作されたものです。眉を剃り、子どもがいることを示した「青眉」(せいび)の女性(左)と若い女性(右)は親子でしょうか。花とともに人生の花の季節を謳歌する二人の幸福そうな姿には、普遍的な女性美が表現されています。

ご紹介した2点は、以前当社のオークションに出品されたことのある作品で、約1年半ぶりに展覧会場で再会することができました。このほかにも、今回の展覧会には《花がたみ》(大正4年作・松伯美術館蔵)や《楊貴妃》(大正11年作・松伯美術館蔵)といった代表作が出品されています。(※一部展示替えあり)


<鏑木清方>


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】


図版3 《鰯》 昭和2年作、東京国立近代美術館蔵
清方が49歳のときの作品です。関東大震災の後、復興していく東京からは江戸下町の名残が次第に失われていきました。その中で清方は、古き良き江戸の市井の人々の姿や暮らしぶりを懐かしむように数々の風俗画を描きました。この作品のように鰯売りの少年が佃島から京橋界隈を売り歩く姿は、夏から秋にかけての風物詩だったといいます。

図版4 《春雪》 昭和21年作、サントリー美術館蔵
この作品は戦時中、清方が疎開先に運んで制作し、終戦の翌年(当時68歳)に完成させたものです。その後、同年の第一回日展に出品されました。雪の降る中、武家の女性が外出から戻った夫の羽織をたたんでいる様子が描かれています。梅や水仙の花が配された女性の着物から春の気配が伝わってくるようです。

清方もこのほかに、《深沙大王》(明治37年作)、《朝涼》(大正14年)(ともに鎌倉市鏑木清方記念美術館蔵)といった名作の数々が出品されています。

ほぼ同じ時代に活躍した二人の美人画をこうして同時に鑑賞する機会は意外と少なく、思いがけない共通点や相違点が発見できます。夏休みは美人画の名作を鑑賞しながら夕涼みなどされてみてはいかがでしょうか。


「市制80周年記念展 上村松園と鏑木清方」
会期        2012年7月21日(土)~2012年9月2日(日)
会場        平塚市美術館
開館時間     9:30~18:00(入館は~17:30)
休館日      月曜日
ホームページ   http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/

(佐藤)

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児島善三郎 新画集刊行記念展覧会

こんにちは。
先週のBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

今週4/25(水)~4/27(金)迄、シンワアートミュージアムにて「児島善三郎 新画集刊行記念展覧会」を開催いたします。

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児島善三郎(1893-1962)は独立美術協会の設立に参加し、「日本的洋画」を確立した日本の近代美術を代表する画家の一人です。

本展覧会は最近では海外市場でも取引されており、再び注目を浴び始めている児島の全画業を網羅した新画集の刊行と没後50年を記念し、その画業を回顧するものとなっております。
初期から晩年まで約50点を展示しており、新画集やリトグラフの販売も行っております。


今回は展示作品の一部をご紹介いたします。

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《5人の女(審判の前)》
139.0×162.5㎝  1929年作


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《松》
115.5×80.7㎝  1938年頃作



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会場風景


こちらでご紹介しきれないのが残念ですが、普段はなかなか目にすることのできない作品の数々を無料でご覧いただける貴重な機会となっております。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。


【展示概要】
児島善三郎 新画集刊行記念展覧会 

入場無料

会期:2012年 4月25日(水)10時~17時
4月26日(木)10時~18時
4月27日(金)10時~16時

会場:シンワアートミュージアム
   東京都中央区銀座7-4-12 ぎょうせいビル1F

(執筆:K)

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生誕120年 小野竹喬展レビュー

 3月2日(火)より東京国立近代美術館では「生誕120年 小野竹喬展」を開催しています。
 まだ寒さの残る展覧会初日、じっくり堪能してきましたのでご紹介致します。


(※会期終了のため画像を削除しました)

小野竹喬 《奥の細道句抄絵 田一枚植ゑて立ち去る柳かな》
1976年 京都国立近代美術館蔵


 明治22年(1889)に生まれ14歳で京都に出てから、昭和54年(1979)に89歳で逝去するまでの画業を辿ることができる、見ごたえのある展覧会です。
 初公開の作品が11点、本制作119点、素描52点が展示されています。



(※会期終了のため画像を削除しました)
小野竹喬 《奥の細道句抄絵 暑き日を海にいれたり最上川》
1976年 京都国立近代美術館蔵


 こちらは展覧会カタログの表紙ともされている作品。
 もとは作品に貼られていた直筆の句も、今回は別に展示され、見ることが出来ます。

 シンワアートオークションでも非常に高い人気を集め、男女を問わず愛されている竹喬の作品。
オークションでは、戦後の平明でパステルトーンの色調が美しい、いわゆる竹喬様式のものが出品されることが多いのですが、今回の展覧会ではそれは後半に展示されています。

 全てのキャプションに、制作年と年齢が表記されていて、このような様式美に到達したのが、50歳を過ぎてからなのだということを知り、驚きました。
 銀座の画廊の方々からは、日本画家の一生は長いとよく聞きますが、竹喬の作品からは、絵の味がゆっくりと深化していく様が手に取るように分かります。



(※会期終了のため画像を削除しました)
小野竹喬 《島二作(早春・冬の丘)》
1916年 笠岡市立竹喬美術館蔵


 《島二作(早春・冬の丘)》は、作品の中央にセザンヌのサント・ヴィクトワール山に似た山が描きこまれていたりして、従来はセザンヌや西洋絵画からの影響を受けた作品として解釈されてきたそうですが、今回の展覧会カタログでは今村紫紅から学習したものとの見方が指摘されていました。



(※会期終了のため画像を削除しました)
小野竹喬 《樹間の茜》
1974年 笠岡市立竹喬美術館蔵


 85歳のときに描かれた作品です。これについては画家自身がインタビューに答えており、珍しく制作する前に写生に行かずに描いたものとのことです。
 カタログでは、晩年に辿りついた心象風景画と位置付けられています。
 実際、非常に印象的な構成で、このような茜空を心に思い描くことの出来る画家の、粋な内面を感じさせる作品でした。


 小野竹喬展は4月11日(日)まで。
竹橋で春のお堀を眺めながら、お出かけされてはいかがでしょうか。


<<<<<読者プレゼント>>>>>>>
 シンワブログをお読み頂いた方、5組10名様に抽選で「生誕120年 小野竹喬展」東京会場へのご招待券をプレゼントいたします。
 ご希望の方はご住所・ご氏名・お電話番号に「小野竹喬展招待券希望」の旨をお書き添えの上、お葉書で「〒135-0063 東京都江東区有明3-7-26 有明フロンティアビル B棟4階 シンワアートオークション株式会社 オークション事業部 シンワブログ担当」までお申し込みください(3月15日必着/葉書1通に付き2名1組様)。
 抽選の結果は発送をもって代えさせて頂きます。(頂いた個人情報は発送作業にのみ使用させて頂きます。)

(井上素子)



■■生誕120年 小野竹喬展 ■■

会場
東京国立近代美術館

会期
2010年3月2日(火)~4月11日(日)
会期中、一部の作品を展示替します。
前期:3月2日-3月22日
後期:3月24日-4月11日

開館時間
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで

休館日
月曜日[2010年3月22日(月・振休)と3月29日(月)は開館]、3月23日(火)

観覧料
一般 1300円(900円) 
大学生900円(600円) 
高校生400円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。

主催
東京国立近代美術館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション

協賛
日本写真印刷、毎日ビルディング

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第13回 文化庁メディア芸術祭レポート2

 2月3日シンワブログに引き続き、第13回文化庁メディア芸術祭をご紹介します。

(※会期は今週末2月14日18:00までです。金曜なら20時まで開館していますので、ぜひご覧ください。入場は無料です)
 


■第13回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

 アート部門で大賞を受賞したのは、『growth modeling device』(David BOWEN)です。
 これは、成長するタマネギを一日ごとに立体像として複製する機械のインスタレーション作品。ある一つの「時間」が形象化され、それを並列することによって作者は「時空間」を生成する装置を作り上げています。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)

 アート作品が、彫刻にせよ絵画にせよ、インスタレーションにせよ、ある一つの時間を扱っていて、それを展示空間に置き換えていることは共通していますよね。この作品はその特性を共有しているものと言えましょう。


 アート部門優秀賞は、『Mr. Lee Experiment』Mr. Lee Experiment 制作チーム代表 Junghwan SUNG、『Nemo Observatorium』Lawrence MALSTAF、『SEKILALA』志村 諭佳 / 志村 健太郎(SHIMURABROS.)、『Braun Tube Jazz Band』和田 永でした。

 Lawrence MALSTAFのインスタレーション作品『Nemo Observatorium』は、大量の発泡スチロールが回転して鑑賞者の周りに竜巻の模様を作り出す装置です。
 自然現象を電子的な記号に置き換えたりCGに描きなおしたりするのではなく、あくまでも現象そのものを示しているところが高く評価されました。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)



 和田永(わだ・えい)の『Braun Tube Jazz Band』は、複数のブラウン管を叩くことによって“電気音楽”を奏でるパフォーマンス作品。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)


 これが、感動しました。理屈はさておき、魅力的なので作品そのものをご覧いただきたいです。
作家は現在、多摩美術大学4年時在学中。Sony Music Publishingに所属するミュージシャンでもあります。
パフォーマンスはほぼ毎日午前と午後に行われているので、必見!です。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)




■第13回テーマ「MEDIA ARTS? メディア芸術とは?」について

 文化庁が主催となって始まり、話題性や作品の応募総数も順調に増加の傾向をたどってきたメディア芸術祭(3日記事参照)。
 これを受けて文化庁では、国立メディアセンターを秋葉原に建設しようという機運を高めてきました。しかし、昨年の政権交代によってそれが頓挫したのはご存知の通りです。

 プレス発表会の席で関係者に伺った話では、政権交代があったにせよ、メディアセンター建設がその一事で白紙となった背景には、その必然性への理解が国民の中で共有されてこなかったことがあると認識しているとのことでした。政府が変わったにせよ、世論が必要と考えれば、メディアセンターは実現されたのかもしれない、と。
そこで、今回のメディア芸術祭のテーマは原点に立ち返り「MEDIA ARTS? メディア芸術とは?」になったのだそうです。
 デジタル表現を用いたアートだけではなく、エンターテインメント性のあるアニメやマンガ、ゲームなどを含んだ日本初の柔軟な概念として「メディア芸術」を提示し、皆さんに楽しみ親しんで頂こうとしているのが、今回の展示なのですね。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)



■アート部門以外の第13回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

<エンターテインメント部門>
大賞
『日々の音色』ナカムラ マギコ / 中村 将良 / 川村 真司 / Hal KIRKLAND

優秀賞
『NARUTOーナルトー ナルティメットストーム』NARUTOーナルトー ナルティメットストーム 開発チーム代表 松山 洋 
『電気グルーヴ/Fake It!』田中 秀幸
『LOVE DISTANCE』伊藤 直樹
『scoreLight』Alvaro CASSINELLI / 真鍋 大度 / 栗原 優作 / Alexis ZERROUG


<アニメーション部門>
大賞
『サマーウォーズ』細田 守

優秀賞
『屋根裏のポムネンカ』イジィ バルタ
『東京マグニチュード8.0』橘 正紀
『The Cable Car』Claudius GENTINETTA / Frank BRAUN
『電信柱エレミの恋』中田 秀人(ソバットシアター)


<マンガ部門>
大賞
『ヴィンランド・サガ』幸村 誠

優秀賞
『イムリ』三宅 乱丈
『海獣の子供』五十嵐 大介
『この世界の片隅に』こうの 史代
『へうげもの』山田 芳裕


<功労賞>
宮本 茂(ゲームクリエーター)

<特別功労賞>
金田 伊功(アニメーター)


【第13回文化庁メディア芸術祭 開催情報】


会 期:2010年2月3日(水)~2月14日(日)10:00~18:00 
     金曜は20:00(入館は閉館の30分前、2月9日休館)

会 場:国立新美術館(東京・六本木)【観覧無料】

主 催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
     (文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会)

お問合せ:
    CG-ARTS 協会「文化庁メディア芸術祭事務局」
   フリーダイヤル 0120-45-4536 (会期後:03-3535-3501)
    http://plaza.bunka.go.jp/q/

(井上素子)

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ルノワール展で感じる至福のひと時

 現在、六本木の国立新美術館では「ルノワール―伝統と革新」展が開催されています。
さっそく堪能してきましたので、内容をご紹介します。

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団扇を持つ若い女
1879-80年頃、クラーク美術館
©Sterling and Francine Clark Art Institute, Williamstown, Massachusetts, USA


<幸福感に溢れる作品との至福のひと時>
 フランスの小説家オクターヴ・ミルボーは、1913年に刊行されたルノワールの画集の序文で、「ルノワールの人生と作品は幸福というものを教えてくれる」と書いています。

 その通り、本展覧会ではルノワールの描く女性像の魅力や、印象派が描く風景画のきらめく色彩に触れることができるだけでなく、この稀代の芸術家の人生をたどる歓びを与えてくれます。

 少し日本的な表現になってしまうかもしれませんが、今年一番の「眼福」を与えてくれる展覧会かもしれません。

 画面TOPの《団扇を持つ若い女》は女優としての名声が頂点に達していたころのジャンヌ・サマリー。
下の《アンリオ夫人》は当時の画家の恋人であったともされる駆け出しの女優です。

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アンリオ夫人
1876年頃 、ワシントン・ナショナル・ギャラリー
Gift of the Adele R. Levy Fund, Inc.,
©The Board of Trustees, National Gallery of Art, Washington.



<画家の周囲を取り巻く環境>

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ブージヴァルのダンス
1883年、ボストン美術館
Picture Fund, 37.375. Photograph ©2009 Museum of Fine Arts, Boston

《ブージヴァルのダンス》で踊っている赤い帽子の女性は、この展覧会の解説によれば、シュザンヌ・ヴァラドンなのだそうです。
 シンワアートオークションではおなじみの、モーリス・ユトリロの母で、画家でもあった彼女。10代後半でモデルとなり、ロートレックやルノワールのモデルを務めていたのです。

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シャトゥーのセーヌ河
1881年、ボストン美術館
Gift of Arthur Brewster Emmons, 19.771. Photograph ©2009 Museum of Fine Arts, Boston

《シャトゥーのセーヌ河》など、光がきらめく風景画は、黒田清輝や岡田三郎助らが魅了された印象派とはこのようなものであったのだろうと感じさせます。

 風景画では、エッソワを描いた作品も展示されています。以前シンワに出品された《エッソワの風景》を別の視点で描いており、興味深く鑑賞できました。

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レースの帽子の少女
1891年、ポーラ美術館
(ポーラ・コレクション)

 ポーラ美術館の《レースの帽子の少女》は、一見、夢見る少女を描いた作品に見えますが、当時の最新の流行ファッションに身を包んだ女性を、フランスの伝統的絵画であるロココ・スタイルに乗せて表現したものとも解釈できます。
 親しみやすく、観る者を幸福感で包んでくれるルノワール絵画の「伝統と革新」が現れた作品なのです。



<<<<<読者プレゼント>>>>>>>
 シンワブログをお読み頂いた方に抽選でルノワール展東京会場へのご招待券をプレゼントいたします。
 ご希望の方はご住所・ご氏名・電話番号・「ルノワール展招待券希望」の旨とご希望枚数をお書き添えの上、お葉書で「シンワアートオークション株式会社 オークション事業部 シンワブログ担当」までお申し込みください。
 抽選の結果は発送をもって代えさせて頂きます。(頂いた個人情報は発送作業にのみ使用させて頂きます。)

(井上素子)


■□■ 「ルノワール-伝統と革新」展 開催概要 ■□■

【東京展】
会期:2010年1月20日(水)~4月5日(月)
休館日:毎週火曜
開館時間:午前10時~午後6時(毎週金曜は午後8時まで)
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立新美術館 (東京都・六本木)
主催:国立新美術館、読売新聞社、日本テレビ放送網
一般お問い合わせ:03-5777-8600(ハローダイヤル)

〈観覧料〉
当日券 一般1,500円、大学1,200円、高校800円
前売券 一般1,300円、大学1,000円、高校600円
団体券 一般1,200円、大学900円、高校500円
※団体料金は20名様以上に適用。
※中学生以下無料。
※障害者手帳をお持ちの方とその付添の方1人は無料。
※2月11日(木・祝)、12日(金)、13日(土)は高校生無料観覧日(学生証提示が必要です)

後援─── 外務省
協賛─── 清水建設、アフラック、大和ハウス工業、丸一鋼管、損保ジャパン、日本写真印刷
特別協力─ 財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館
協力─── 東京文化財研究所、日本航空、マミヤ・デジタル・イメージング


【大阪展】
会期:2010年4月17日(土)~6月27日(日)
休館日:毎週月曜(ただし5月3日は開館)
開館時間:午前10時~午後5時(毎週金曜は午後7時まで)
※入場は閉館の30分前まで
会場:国立国際美術館(大阪・中之島)
主催:国立国際美術館、読売新聞社、読売テレビ
一般お問い合わせ:06-6447-4680(国立国際美術館 代表)

〈観覧料〉
当日券 一般1,500円、大学1,200円、高校600円
前売券 一般1,300円、大学1,000円、高校500円
団体券 一般1,200円、大学900円、高校400円
※団体料金は20名様以上に適用。
※中学生以下無料。
※障害者手帳をお持ちの方とその付添の方1人は無料。

後援─── 外務省
協賛─── 岩谷産業、大阪芸術大学、きんでん、大和ハウス工業、パナソニック、丸一鋼管、イズミヤ、清水建設、アフラック、損保ジャパン、日本写真印刷
特別協力─── 財団法人ポーラ美術振興財団ポーラ美術館
協力─── 東京文化財研究所、日本航空、マミヤ・デジタル・イメージング、ダイキン工業現代美術振興財団

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第13回 文化庁メディア芸術祭レポート

 昨日より、国立新美術館で「第13回 文化庁メディア芸術祭」が開催されています。
 オープンに先駆けて一昨日プレス内覧会が行われ、参加してきましたので内容をレポートいたします。


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■文化庁メディア芸術祭とは
 1997年から開始された、アートとエンターテインメントが誘導した独自性のあるフェスティバルです。
ここではいわゆるメディアアートの他に、アニメーションやマンガ、ゲームなども審査の対象となります。
 アート部門、エンターテインメント部門、アニメーション部門、マンガ部門 の4部門について大賞と優秀賞を選定、表彰しています。

 国立新美術館では三回目(その前は東京都写真美術館)、通算で第13回目となる今回は、世界53カ国から2,592作品の応募がありました。目下、この分野の世界最高水準のイベントとも言われており、昨年の展覧会入場者数は5万人を突破しました。
 

■展示の特徴
 インタラクティブ性が高いメディア芸術が対象とあって、体験できるコーナーがほとんどを占めています。

 写真は、功労賞を贈賞されたゲームクリエーターの宮本茂氏の作品を使って遊ぶことができるコーナー。
宮本さんは世界中の人が知っている、「スーパーマリオ」や今話題の「Wii Fit Plus」の生みの親です!

 このほか、特別功労賞としてアニメーターの金田伊功(かねだ よしのり)氏(2009年没)にも賞が贈られました。『銀河鉄道999』や『天空の城ラピュタ』の作画を担当した方です。 世界に誇る日本のアニメ文化の立役者でした。

(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)


■見どころ
 メディア芸術の最先端を体験できる展示や上映、シンポジウム、プレゼンテーション、ワークショップなどが企画されています。

 内覧会には受賞した各国のアーティスト17組が参加していましたが、彼らのパフォーマンスや作品への思いを見聞できるのが、面白いところです。
何とシンポジウムは11回、プレゼンテーションは50回も開催されるのです!
 
(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)


■受賞作品
 昨年アカデミー賞を受賞し話題を集めたアニメ『つみきのいえ』は、実はその前の年の文化庁メディア芸術祭で大賞を受賞しています。
 私も以前から注目していたCM作品がいくつか審査員推薦作品に選ばれていて嬉しくなりました。そんな楽しみ方もありますね。
(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)

 このフェスティバルの影響力の強さや審美眼の高さは、受賞アーティストたちの活躍によりこれからますます高まっていくことでしょう!



【第13回文化庁メディア芸術祭 開催情報】

会 期:2010年2月3日(水)~2月14日(日)10:00~18:00 
     金曜は20:00(入館は閉館の30分前、2月9日休館)

会 場:国立新美術館(東京・六本木)【観覧無料】

主 催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
     (文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会)

お問合せ:
    CG-ARTS 協会「文化庁メディア芸術祭事務局」
   フリーダイヤル 0120-45-4536 (会期後:03-3535-3501)
    http://plaza.bunka.go.jp/q/

(井上素子)

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