月別アーカイブ: 2013年4月

G.Wは陶器市へ!!

こんにちは。
先週末のBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションにご参加頂いた方々、ありがとうございました。
 さて、もう来週はゴールデンウィークですね。実はゴールデンウィークが、陶器市の季節ということをご存じですか?
 よくテレビなどで紹介されていますが、全国各地の窯元で開催されています。
まず、今年110回目を迎える陶器市・有田陶器市をご紹介します。

■有田陶器市 主催:有田商工会議所
4月29日(月)~5月5日(日):佐賀県JR有田駅~上有田駅周辺約4km

 その始まりは、なんと明治29(1896)年まで遡るとか!その頃「陶磁器品評会」が桂雲寺(けいうんじ)で行われ始め、それと同時に「蔵ざらえ大売り出し」として各陶器店が行ったのが始まりだそうです。それが大正11(1922)年ごろに「陶器市」という名称に変わり、現在に至るとのこと。
有田町は言わずと知れた磁器の町。古伊万里、鍋島、最近では古九谷もこの地で生まれたと言われています。重要無形文化財(人間国宝)に認定された十三代今泉今右衛門、十四代酒井田柿右衛門、井上萬二、さらに重要無形文化財保持団体に指定されている「色鍋島今右衛門技術保存会」と「柿右衛門製陶技術保存会」の窯も巡ることができます。
詳細はこちらへ
有田陶器市

続きまして、関東圏の大きな陶器市と言えば、「益子 春の陶器市」です。

■益子 春の陶器市 主催:益子町観光協会
 4月27日(土)~5月6日(月):栃木県益子町

「春」というくくりでもお分かりのように、「秋」にも陶器市が開催されています。
毎回テーマが決められており、去年は「花」だったようですが、今年は「マグカップ」。販売店約50店舗のほか、約500のテントが張られ、作家から直接購入できます。
 益子焼は、大正13(1924)年に浜田庄司が移住し、柳宗理らとともに民芸運動を行い
始めたことから着目されるようになりました。「用の美」。日常生活の中で使われてこその美として、多くの陶工に影響を与えました。浜田庄司、島岡達三が重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。
浜田窯の横には「浜田庄司記念 益子参考館」があります。歴史ある建物は圧巻です。また益子では若手作家の展示も開催されているので、益子焼の幅広さを感じるのも楽しそうです。
 
 詳細はこちらでご覧ください。
益子陶器市

 そのほかの主な陶器市です。

■波佐見陶器まつり(長崎県)主催:波佐見陶器まつり協会
 4月29日(月)~5月5日(日):波佐見町やきもの公園一帯
波佐見陶器まつり

■白山陶器の陶器市
 波佐見陶器まつりに合わせて行われています。(白山陶器本社ショールームなど3か所)
白山陶器の陶器市

■笠間の陶炎祭(茨城県)主催:笠間焼協同組合
 4月29日(月)~5月5日(日):笠間芸術の森公園イベント広場
笠間の陶炎祭

■萩焼まつり(山口県) 主催:萩焼まつり実行委員会 (萩商工会議所内) 
 5月1日(水)~5月5日(日):萩市民体育館
萩焼まつり


■九谷茶碗まつり(石川県) 主催:石川県陶磁器商工業協同組合
 5月3日(金)~5月5日(日) :ふれあいプラザ周辺
九谷茶碗まつり

また、都内では老舗のギャラリーによるイベントが行われています。
■東京アートアンティーク
東京アートアンティーク 
4月26日(金)~4月28日(日)中央区日本橋・京橋エリアのギャラリー


お近くや、旅先などで様々な陶器に触れてみてはいかがでしょうか?

(執筆者:E)

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アンティークジュエリー

こんにちは。今週末はBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションを開催致します。
今回、珍しくアンティークジュエリーがいくつか出品されますので、少しご紹介したいと思います。
アンティークジュエリーとは、製作されてから100年以上経過した宝飾品のことを指します。本場はイギリスで、実際市場に出回るアンティークジュエリーは製作から200年以内のものが大半を占めるため、ほとんどがヴィクトリア時代のものと言えます。
ヴィクトリア時代とは、1837年に18歳の若いヴィクトリアが王位についてから、1901年逝去までの長い治世の時代を指します。この時期イギリスでは既に産業革命が成し遂げられており、また、世界中に植民地を広げ、強力な生産力と富を保持していました。ヴィクトリアはジュエリーをこよなく愛したため普段からそれらを身につけ、ジュエリーは以前より頻繁に人々の目に触れるようになります。それまでは権威の象徴だったジュエリーですが、国家の生産力の向上と富の増大により、様々な階級の女性も女王の真似が出来るようになりました。こうしてジュエリーは、いまだかつてないほどの隆盛を極めます。女王は若い頃、赤いガーネットを特に好んで身につけたため、その影響で、19世紀前半にはガーネットが大流行したようです。
今回まさに、初期ヴィクトリアンジュエリーの典型的なデザインを持つ商品が出品されます。

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Lot582 ガーネットブローチ(1840年頃)
Estimate ¥50,000~¥100,000


アンティークジュエリーの魅力の一つに、現代では再現することが難しく、失われた技術と呼ばれるほど高度な技術を要する、ミリ単位の金の装飾があります。上記右側の画像を見ていただければ分かると思いますが、本当に細かい細工が施されています。
また、このブローチには、“ルポゼ”という金にふくらみをもたせたデザインが見られます。ルポゼはヴィクトリア初期に頻繁に見られる技法で、ふんだんに金が使えない時代、限られた金をより大きく見せるために編み出されました。薄い金の板を叩き出し、立体感と重厚感をもたせています。1848年にカリフォルニアで、1851年にオーストラリアで相次いで金鉱山が発見され金がふんだんに使えるようになると、ジュエリーはずっしりと重量感を持つようになります。これは鉱山発見以前のものなのでしょう。非常に軽く、着けやすい仕上がりになっています。

ヴィクトリア時代中期には、ジュエリーの世界に特に大きな影響を与える、二つの出来事がありました。
まず、1861年に、ヴィクトリアは最愛の夫アルバート公の死という不幸に見舞われます。女王はその後、約25年間もの長い間喪に服しました。執務中も黒いドレスを着用し、ジェットという黒い宝石を身に着け、側近たちにもそれを強要しました。庶民の間ではモーニングジュエリーが大流行し、彫金したゴールドに黒いエナメルで装飾を施し、パールや小さいダイアをあしらい(パールやダイアモンドは、無色ということで喪中でも身につけることが許されたようです)、遺髪を入れるロケットを持った装身具が、一時期製造が間に合わないほどの人気を集めました。喪が明けても、ロケットタイプのジュエリーは人気を保ち続け、様々なものが製作されていたようです。
今回、ロケットタイプのジュエリーは2点出品されています。
   585.jpg
Lot585ガーネット パール ダイアモンドペンダントトップ(1880年頃)
estimate¥150,000~¥250,000
 

   587.jpg
Lot587 ボヘミアンガーネットブローチ(1880年頃)
estimate¥50,000~¥100,000


Lot585の中央に入れられている星の模様は、ヴィクトリア時代の典型的デザインです。この時代、天然パールやダイアモンドで、これと同じデザインを使ったティアラやブローチなど多くの作品が作られています。

そしてもう一つ、1867年に、南アフリカのキンバリーでダイアモンドの鉱山が発見され、ヨーロッパに大量のダイアモンドが流入するようになりました。そして、それまでのローズカットに加えて、新たに発明されたオールドヨーロピアンカットが使用されるようになり、ダイアモンドは一層の輝きを得て人々の間に普及していきます。

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Lot590 ダイアモンドブローチ(1860年頃)
estimate¥400,000~¥600,000


こちらは花の部分の裏にコイル状のバネが仕込まれ、細かく揺れる仕組み(トレンブラン)になっています。

ヴィクトリア時代後期に入ると、大量に供給されるダイアモンドを用いたジュエリーが多く作られるようになりました。また、暗いイメージのモーニングジュエリーへの反動も表れ、全体に明るく繊細なものが好まれるようになります。また、自然主義の影響で、小ぶりな花や葉、月や星を象ったものが多くなっていきました。これが、もっと後のアール・ヌーヴォー様式に繋がっていきます。

アンティークジュエリーはボリュームがあるものが目立つため、現代のスタイルには似合わないとお思いの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、着けてみると意外に使いやすいジュエリーです。特に、ヴィクトリアンジュエリーは、一般の人が着けて美しく見えるようにデザインされたものが多いので、着けた時にこそ、その真価が発揮されるのです。ドレスの胸元やジャケットの襟元に映え、現在のシンプルなスタイルのポイントとしても、とても素敵にお使いいただけます。
時を経て私たちの手元に来るアンティークジュエリーは、その個性的なデザインが何かの意思を持っているようで、歴史を知れば知るほど面白く、見る者を感動させる魅力を持ちます。
下見会は4月17日(水曜日)からです。是非手に取って、細部の細かさを確かめ、アンティークジュエリーならではの魅力を感じてみて下さい。

下見会・オークションスケジュールはこちら

(執筆:N)

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