月別アーカイブ: 2013年1月

1月の誕生石<ガーネット>

こんにちは。
時が経つのは早いもので、年が明けてから既に一月が経とうとしています。ぼやぼやしていたら2013年もあっという間に終わってしまうのだろうなあと、昨日仕事を終えて帰ろうとした時にふと思ってしまいました。皆さんはこの一月をどう過ごされましたか?充実した年になるよう、日々前向きに、様々なことにチャレンジしていきたいですね。

さて、そんな1月の誕生石はガーネットです。ガーネットは、血液などの循環を促し、生命力を高め、私たちにエネルギーを与えてくれるため、寒い1月を乗り切る力になると言われています。また、精神力を高め、努力を実らせ成功に導く石とも言われます。
「ガーネット」という名は、ラテン語の“ざくろ”を意味するグラナトゥムに由来し、日本名も柘榴石(ざくろ石)。その名の通り、一般的にガーネットとして知られているのは深い赤色を持つ石です。
ガーネット赤

しかし実はガーネットには青を除いたほとんどの色があり(無色・黄・橙・赤・緑・黒など)、色によって様々な呼ばれ方をします。
今回は、赤色のガーネットと同等か、それ以上に人気のある緑色のガーネットの中から、ツァボライト(グリーングロッシュラー・ガーネット)とデマントイドガーネットをご紹介します。
ツァボライトの歴史は、1968年にケニアのツァボ国立公園から発見された緑色のガーネットに、ティファニー社が「ツァボライト」と命名したことにより始まりました。ツァボライトは、光の屈折率がサファイアに近く、硬度もクォーツと同じ程度あるので、宝石としての資質に優れています。色味としては、エメラルドより冴えた、透明度のある緑色をしています。また、インクルージョンの少ないものが比較的多いため、エメラルドのような、オイルを含浸させる処理が行われません。デビューしてまだ30年の新しい宝石で、産出量も少ないため知名度は低いのですが、この石の美しさと宝石としての資質を考えると、今後の需要の増加も予想されます。
同じグリーンのガーネットで、さらに高い屈折率と強い分散を誇る石を「デマントイドガーネット」と呼びます。馬の尾のような、多数の繊維状結晶「ホーステールインクリュージョン」が見られることが特徴です。色は、ツァボライトより黄味がかった若葉色です。デマントイドガーネットは主にロシアのウラル山脈で採掘されています。「デマントイド」には、“ダイアモンドのような”という意味が含まれており、その強い輝きを持つ美しさから、ロシア王室はもとより、イギリス王室やアメリカの上流階級の人々に愛されてきました。ロシア革命によって一時期採掘が中止に追い込まれましたが、1980年代終わりのソ連のペレストロイカで採掘を復活させています。デマントイドガーネットは還流品としてオークションに出され、1カラット当たり1万ドルを超える値がつけられたこともあり、その人気の高さが伺えます。
デマントイドガーネットは次回オークションにも出品される予定です。大きいものが出品されることは稀ですが、小さいものでも鮮やかな若葉色は目に映えます。是非下見会に足をお運び下さいね。

(執筆:N)

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孤高の画家・長谷川潾二郎の静物画―《フライパンと卵》

 こんにちは。毎日寒い日が続きますね。
歩道を歩いていると、まだ月曜に降った雪があちらこちらに残っているのを見かけます。
明日が「大寒」なので、今が一年で最も寒さが厳しい時期ということになります。
ノロウイルスやインフルエンザが今年も流行っているようなので、みなさまも気をつけてくださいね。

 さて、来週26日(土)は、2013年1回目のオークションを開催いたします。
今日は近代美術オークションの出品作品から注目の一点をご紹介します。


【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】


lot.33 長谷川潾二郎 《フライパンと卵》
33.5×45.5cm
キャンバス・油彩 額装
1979年作
右下にサイン、裏に署名・タイトル・年代
長谷川潾二郎鑑定登録委員会鑑定登録証書付
エスティメイト ¥1,000,000~1,500,000



 みなさまは、長谷川潾二郎(はせがわ・りんじろう)をご存じでしょうか?
赤い敷物の上で丸くなる愛猫タローを描いた《猫》で一躍脚光を浴びた画家です。

 この《猫》はかつて、『気まぐれ美術館』で知られる美術評論家、画商の洲之内徹氏のコレクションで、氏の没後にそのコレクションの一点として宮城県美術館に寄贈されました。それが2008年に書籍『洲之内徹が盗んでも自分のものにしたかった絵』の表紙になったことを機に画家自身にも注目が集まり、様々なメディアにとり上げられ、各地で展覧会も開催されました。

 長谷川潾二郎(1904-1988)は、北海道生まれ。ジャーナリストの父、後に作家になる兄弟たちに囲まれ、文化的に恵まれた環境で育ちました。1918年北海道庁立函館中学校に入学すると、油彩画を描き始めます。1924年画家を志して上京し、川端画学校に通いますが、数ヶ月で退学して独学で制作を続けました。その一方で、詩や小説を好み、探偵小説家・地味井平造として小説を発表するなど、作家としても才能を発揮しました。やがて絵画に専念し、1931年フランスに渡ります。翌年帰国し、4年連続で二科展に出品しましたが、その後は個展を中心に活動し、画壇から距離を置いた孤高の制作姿勢を貫きました。
 
今回の作品は、1979年(当時75歳)に制作された静物画です。潾二郎は「卓上の静物」という主題を好み、画業の後半を中心に繰り返し描きました。本作では、光を反射してつやつやと輝くポットやざらついた質感の卵、ふんわりとした目玉焼きを親密な眼差しで捉え、平明かつ温厚なリアリズムで描き出しています。身近なものに内在する目に見えない趣きや美を丁寧に掬い取り、自身の詩的世界を静かに表現した作品です。
 潾二郎は、とにかく遅筆で寡作だった、と言われています。6年間《猫》の右ひげを描けず、とうとうタローが死んでしまった話や、風景の土を描くのに10年以上を要したことなど、たくさんの逸話が残されています。この作品は、一体どれほどの時間をかけて描いたのでしょうか。作品が完成する頃には、目玉焼きはもう食べ飽きていたのかも…など、いろいろ想像してみるのも楽しいですね。

この作品は23日(水)からの下見会でご覧いただけます。
下見会・オークションスケジュールはこちら
みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

(佐藤)

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新年明けましておめでとうございます

 新年明けましておめでとうございます。
本年もより良いオークションを目指し、社員一同頑張って参りますのでシンワアートオークションをよろしくお願いいたします。そしてまた、作品の情報、日々のあれこれなどをこのシンワブログで綴っていきますので、こちらもチェックしてみて下さいね。

 さて、お正月。一年のうちで一番華やかで、伝統文化を身近に感じる季節です。正月飾り、正月料理、そして羽子板、福笑いなどの正月遊び。旧年が無事に終わったことを喜び、新年が明けたことを祝う。隅から隅まで祝福気分を表現するために昔の人々は、語呂合わせを用いて縁起を担ぎました。
 たとえばおせち料理なら、昆布巻きは「喜ぶ」の「こぶ」から。また「子生婦」の当て字も使い子宝に恵まれるという意味も持たせています。他にも同じ子宝という縁起の意味では、ニシン(二親)の子、数の子などもあります。そのほか、「めでたい」から大黒様の持っている鯛の塩焼き。「まめに働く」ようにと黒豆。そして鏡餅の上に飾るだいだいには、「代々」子孫が繋がるという意味が含まれています。この鏡餅は、一月十一日または二十日の鏡開きまで飾られ、お汁粉やお雑煮などにして食されます。今年一年の無病息災を願い、お正月は終わるのです。鏡開きが二種類あるのは、松飾やしめ飾りが飾られている「松の内」という期間が地方によって変わるためです。松の内は大きく分けて七日か十五日に分かれています。関西方面では十五日が多いようです。ではこの七日に何をするかというと、正月飾りを外し、七草粥をいただきます。鏡開きと同じように、無病息災を願って食べられます。最近では、スーパーなどでも「七草セット」が売られていますね。お正月に関するグッズも年々増えて、年々現在の暮らしにあったものになっているように思います。鏡餅もプラスティックで作られていたり、しめ飾りも100円ショップで売られていたりと値段の幅も相当なものです。
しめ縄3

松飾りといえば、私の地元では変わった言い伝えがあり、門松を立てない風習があります。小学校に上がると習うのですが、「郷土かるた」というものをまず覚え、市の歴史、風習を学びます。そこで「松を立てない正月飾り」という「ま」の句が出てきます。そしてその句の意味は「まつはきらい」という絵本でさらに補足されています。
まつはきらい 文入2

 内容を簡単に説明しますと、市の中心地にある大国魂神社にまつわる言い伝えです。
 むかし、大国魂神社の明神様が八幡さまに誘われ、武蔵野の地を散歩しました。そのうち日が暮れて暗くなり、疲れた明神さまは座りこんでしまいました。八幡さまは泊めてくれる家を探してくると言って、東の方へ出かけていきました。そして良い宿を見つけたのですが、あまりにも居心地がよかったので明神さまを呼びには行かずそこに居座ってしまいました。そしてずっと待たされた明神さまは「待つのは、辛いなあ」と呟き、「待つは嫌い、まつはきらい」と独り言を言い続けました。ここでまた掛詞です。「待つ」と「松」を掛け、それ以来市内では松を植えてはいけない、といわれるようになったそうです。そして門松代わりに門竹が飾られました。今では門松を立てる家や企業も増えてきてはいますが、やはり神社周辺では少ないように思います。
門松2

茶席でも掛け言葉ではないにしろ見立ての美で松竹梅を取りそろえる事もあります。
梅の絵の軸に竹の茶杓、松をあしらった釜。更に釜の煮立つ音は松林をすり抜ける風のようだとして「松風」と呼ばれています。
 伝統を身近に感じる絶好の季節です。残る鏡開きまで行ってみると、一年を気持ちよく迎えられる準備が整うかもしれません!
ぜひ「お正月」を最後まで十分に堪能してみてください。

執筆者:E

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