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9月近代美術オークションレビュー

皆さま、連休をどうお過ごしでしたか。
土曜日に、丸ビルで近代美術オークションへご参加いただいたお客様、ありがとうございました。

本日は、先週末開催した近代美術オークションのレビューをお届けします。
世界的に、秋は各オークションハウスのメインとなるセールが開催される季節です。
その第1弾ともいえる9月の近代美術オークション。
盛り上がりの程は・・・・?


~レオナール・フジタ「猫と少女」、大人気!~
エコール・ド・パリで時代の寵児として人気を博したレオナール・フジタ。
本作品を制作した1959年、藤田嗣治はレオナール・フジタと改名、キリスト者として生まれ変わりました。本作品は猫を抱くパリ娘の佇まいを、まるで幼児キリストを抱く聖母マリア像の如きピラミッド構図に描いています。早くに母を亡くしたフジタは特に聖母信仰に傾倒していました。自身の姿を猫に見立て、無垢な少女に永遠の処女マリア、ひいては安らぎの地・パリを見出したフジタの、美しき隠喩が感じられる作品です。
下見会の時から多くの注目を集めていたこの作品、オークショニアの発句を合図に、10以上のパドルが一斉に上がり、ぐんぐん価格が上昇しました。
最終的には、落札予想価格下限の約2倍である4,700万円で落札され、今回のオークションで最も高額で落札された作品となったのでした。



~熱い競り合いが繰り広げられた、ベルナール・ビュッフェ「弁慶」~
フランス人画家、ベルナール・ビュッフェは、当社のオークションでも人気のある作家の一人です。
今回のセールにも4点が出品されましたが、とりわけ熱い視線を浴びたのが、かの有名な武蔵坊弁慶を描いた作品です。ビュッフェは、日本の建築や風物を描いた作品をしばしば制作しており、ビュッフェの妻アナベルは、作家がたいへん日本を愛していたと語っています。

本ロットは、開始から数分にも渡る競り合いが続き(通常、1つのロットの競りに掛かる時間は1分弱)、
最終的に海外からの電話ビッド同士の一騎打ちになりました。
慎重にビッドし合う電話の向こうから、「この絵が欲しい」という強い思いが伝わってくるようで、会場は緊迫したムードに。
ようやく、落札予想価格下限の6倍である、2100万円でハンマーが下された時には
大きな拍手が沸き起こりました。


さて、今週20日(土)は近代陶芸オークションを開催いたします。
明日木曜日から下見会も始まります。
写真の浜田庄司の大皿のほか、根強い人気を誇る作家の作品が揃いますので、
是非ご来場ください。

浜田庄司
Lot126
浜田庄司「青釉白流描大鉢」
H13.9×D55.5cm / 共箱
落札予想価格:250万円~350万円


(執筆:N)

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