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棟方志功と谷崎潤一朗

 2月1日に開催されるオークションは、近代美術・近代美術PartⅡ、ジュエリー&ウォッチが同日開催されます。
 ここに出品される作品から、今日は棟方志功をご紹介します。


 棟方志功は1903年に青森で生まれ、小学校を卒業した後、働きながらも画家の志を捨てられず上京。独学で洋画を学びました。最初は油絵を制作していましたが、1925年、川上澄生の版画に感銘し版画制作を始めました。
 民藝派とも言われる河井寛次郎、富本憲吉らと知り合い、版画の裏から彩色を施す裏彩色を始めました。
 油絵、板画、肉筆など多種多様な制作方法と仏教、神話、文学作品など多種多様なモティーフで何千とも何万ともいわれる作品を創りあげました。


 今回出品されるLOT32《颯子(さつこ)の柵》は、谷崎潤一郎作「瘋癲(ふうてん)老人日記」の挿画として制作された作品です。1962年に初版が発行され、これによって谷崎は毎日芸術大賞を受賞しています。
 本作品で表現されている女性は、「颯子」という、主人公の老人・卯木督助(うき とくすけ)が惚れ込んだ息子の嫁の姿です。富と時間を豊かに併せ持つ77歳の老人は、颯子の脚に性的な魅力を感じ、妻の目を盗んでは、踊り子上がりで驕慢(きょうまん)な嫁から間接的に快楽を得ようとします。颯子もそれを利用して督助から宝石などを得、二人の共犯関係は生と死の対決へと向かいます。

 谷崎文学を象徴し、三島由紀夫からも称賛されたこの作品は、志功の装丁・挿画によって豊麗な官能美・古典美がいっそう高められたのです。
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 この他、LOT29《仰向妃の柵》、LOT31《振向妃の柵》は、岡本かの子が戦前、雑誌『女人芸術』の創刊号に発表した詩「女人ぼさつ」をもとに、棟方志功が制作した作品で、《女人観世音板画巻》の一つです。「足裏の土踏む力 女人われこそ観世音ぼさつ」という詩が書かれています。
 この詩に惹かれていた志功は、昭和24年に初めてこの作品を制作し、これによって昭和27年スイス・ルガノ国際版画展で優秀賞を受賞しました。「世界のムナカタ」となるきっかけとなった作品と言えるでしょう。


 御紹介した作品は、下見会場で実際にご覧頂くことができます。ぜひご来場をお待ちしております。

〈名古屋下見会〉
会期:1/20(火)・1/21(水) 10:00~18:00
会場:DAITEC SAKAE 6F クリエイトホール
展示作品:近代美術・JEWELLERY & WATCHES

< 大阪下見会〉
会期:1/23(金)・1/24(土) 10:00~18:00
会場:シンワアートオークション大阪営業所
展示作品:近代美術・JEWELLERY & WATCHES

〈東京下見会〉
近代美術PartⅡ: 1/20(火)~1/24(土) 10:00~18:00
※ カタログ記載の日程より、急きょ早めてオープンすることにいたしました!また、ご要望がありましたら、近代美術下見会中(~2/1)も作品をご覧いただけますので、会場にてスタッフまでお気軽にお声掛けください。

近代美術・JEWELLERY & WATCHES : 1/28(水)~1/31(土) 10:00~18:00
                         2/1(日) 10:00~12:00
会場:シンワアートミュージアム(当社1階)

オークション
日時:2/1(日) 14:00~(JEWELLERY & WATCHES・近代美術PartⅡ)
          17:00~(近代美術)
会場:丸ビル7階 丸ビルホール


(執筆者:I)

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