カテゴリー別アーカイブ: 近代美術PartⅡ

芹沢銈介《型絵染 釈迦十大弟子尊像》

こんにちは。9月に入りましたが、まだまだ真夏のように暑い日が続きますね。引き続き熱中症にはご注意ください。さて、16日(土)は、近代美術/コンテンポラリーアート/近代陶芸/近代美術PartⅡ/近代陶芸PartⅡ オークションを開催いたします。今回は近代美術PartⅡの出品作品の中から、おすすめの1点をご紹介いたします。【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】舎利弗(しゃりほつ)  ... Read more

9/19-20開催オークションより おすすめ作品のご紹介

こんにちは。朝晩の暑さが和らぎ、少しずつ秋めいてまいりました。今月は9/19(土)、9/20(日)の2日間にわたり、5ジャンルのオークションを一挙に開催いたします。カタログ購読をお申込みの方は、そろそろお手元に分厚いカタログが届いている頃かと思います。ぜひ隅々までご覧いただき、お気に召す作品を見つけていただけましたら幸いです。作品の画像は、オンラインカタログからもご覧いただけます。また、ご入札は... Read more

岡鹿之助が描いた三色菫

こんにちは。海の日も過ぎ、梅雨明けの待ち遠しい季節となってまいりました。さて、今週20日(土)は、近代美術/近代美術PartⅡオークションを開催いたします。今回も出品作品の中からおすすめの作品をご紹介いたします。【オークション終了につき、画像は削除させていただきました】52 岡鹿之助《三色スミレ》33.5×24.4cmキャンバス・油彩 額装昭和47年(1972)作右下にサイン裏に署名・年代 共箱... Read more

パリを描いた画家 増田誠

こんにちは。 11月に入り、東京でもあちらこちらで紅葉が楽しめるようになってまいりました。 いよいよ秋が深まって、冬はもうすぐそこという感じがいたします。 さて、今週17日(土)は、近代美術/近代美術PartⅡ/MANGAオークションを開催いたします。今回は近代美術と近代美術PartⅡ、どちらにも出品されます増田誠の作品をご紹介いたします。【 オークション終了に伴い、作品の画像は削除いたしまし... Read more

日本画家たちの「版画」

こんにちは。 今週の24日(土)は近代美術PartⅡオークションを開催いたします。 近代美術オークションは6月28日の開催予定ですので、いつもご参加いただいている皆様はお間違えありませんように。オークション・下見会スケジュールはこちらさて、今日は今週の出品作品の中から日本画家たちのオリジナル版画をご紹介します。 これらは、画家たちが版画工房と協力し、岩絵具による本画をもとに版を作り、刷ったもの... Read more

初競り開催!!

年が明け、はや2週間が経ちました。暦の上では間もなく大寒ということもあり、寒い日々が続いております。巷では風邪や胃腸炎が蔓延しているようですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?    さて、外は寒くても本年もオークションは熱く盛り上がってまいりたいと思います。2014年の初オークションは1月25日、近代美術PartⅡ/近代美術オークションを開催いたします。近代美術PartⅡは本日1月... Read more

オノサトトシノブ 「S-A」

 こんにちは。本日より、近代美術PartⅡオークションの下見会が始まりました。例によってどの作品をご紹介しようかとカタログを繰りながら思案していたところ、ふと目に止まった作品がありました。
 
 その作品はカタログ製作の作業中に目にして覚えていたのですが、小品なのに妙に惹きつけられる作品でした。今回近代美術PartⅡオークションに出品されている、lot732 オノサトトシノブの「S-A」です。

 この作品をご紹介するに当たり、社内にある資料を改めて読んでみました。そうすると、オノサトトシノブについて恥ずかしながら知らなかったことばかり。作家名が本名であることは知っていましたが、漢字で「小野里利信」と書くことや、太平洋戦争に徴兵され終戦後シベリアに抑留されていたこと、帰国後は絵を描きながらも1962年に職業画家となるまでは養鶏場を営んでいたことなど、意外に思われることを数多く知りました。

 この絵の描かれた1965年と言うと、オノサトは53歳。養鶏場を止めてから3年、個展を開催し、美術展で賞を取り、’64年にはベネチアビエンナーレに出品(’66年にも出品)という、オノサトのキャリアの中でも充実していたといえる時期です。
 作品に関して言えば、1950年代まではフリーハンドで描かれていた「丸」のモチーフが(オノサト自身は「モチーフ」ではなく「ルール」と呼んでいますが)、’60年前後よりコンパスを使うようになり、色も一色で塗りつぶされていたものが四角や三角で分割されるようになります。
  今回出品されているこの絵も、サムホールと言う小品ながらオノサト独自の幾何学的な法則に則った図柄。額装もシンプルな木の枠で、規則正しい模様やその色合いともうまくマッチしています。

 戦前より独自の視点で抽象画を模索し続け、ついには「絵画を離脱する」ところまで突き詰めたオノサトトシノブ。「丸」はモチーフではなく、「絵を描くことの面白さがモチーフ」であるという彼の主張が、この小さな絵を眺めていると静かに伝わってくる気がします。

 この作品は、近代美術PartⅡオークション下見会でご覧いただけます。
 下見会、オークションのスケジュールはこちらから。
下見会場1 


 皆様のお越しを心よりお待ちしております。

 (平野)

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関西洋画壇の雄・黒田重太郎の代表作《ケルグロエの夏》

こんにちは。
先日は彫刻家・澄川喜一氏の立体作品をご紹介しましたが、今日も近代美術PartⅡオークションの出品作品の中から一点ピックアップしてお話しいたします。
今、当社のホームページのトップやミュージアムのウィンドウを飾っている作品です。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】



Lot.675 黒田重太郎《ケルグロエの夏》
64.8×80.8cm
キャンバス・油彩 額装
右下にサイン・年代
裏に署名・タイトル・年代
1917年作
第6回二科展 1919年
第20回二科展 1933年
第24回二紀展 1970年
黒田重太郎遺作展 1971年(京都市美術館)
エスティメイト ★\100,000~200,000

まずは作家について。
滋賀県大津市に生まれた黒田重太郎(くろだ じゅうたろう・1887-1970)は、17歳のとき鹿子木孟郎に入門し、のちに関西美術院で浅井忠に学びました。1916年初めてヨーロッパに留学。1923年二科会会員となり、1947年には二紀会創設に参加するなど、中央画壇でも活躍しましたが、1924年小出楢重らと信濃橋洋画研究所を設立、戦後は京都市美術大学教授となるなど、京都を拠点に活動し、関西の洋画壇で指導的地位を務めました。印象派やキュビスムを取り入れながら、写実的で親しみやすい作風を確立した作家です。また、美術関係の著述を多く残し、美術史家としても知られています。

本作品は1917年(当時29歳)、ヨーロッパ留学中に制作されたものです。この年の7月から2ヶ月間ほど、黒田はブルターニュ地方のクレゲレックに滞在していますので、画題の「ケルグロエ」とはクレゲレックを指すものでしょうか。留学中はフランス各地を転々とし、美術館や画廊で様々な作家の作品を見て学びましたが、特に心ひかれたのは印象派のカミーユ・ピサロだったといいます。

ピサロが得意とした主題、田園風景を描いた本作品にはその影響がよく表れています。細やかなタッチを重ねて畑と農作業をする人々を捉え、遠近法を用いて風景全体に奥行きをもたらしています。明るい陽光が降り注ぐ様子は、戸外での制作を重視した印象派のスタイルを取り入れたものでしょう。
 
黒田は帰国後、本作品を第6回二科展に出品し、二科賞を受賞。それがきっかけとなり、中央画壇でも高く評価されるようになっていきました。その後、本作品は黒田の代表作として第20回二科展に再出品、没後は第24回二紀展の遺作室や作家の遺作展にも出品されました。

この作品は今週11日(水)からの下見会でご覧いただけます。
オークション・下見会スケジュールはこちら

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(佐藤)

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東京スカイツリーのデザイン監修―澄川喜一《そりのあるかたちL》

こんにちは。
先週のBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

先週の22日、下町の新名所、東京スカイツリーが開業1ヶ月を迎え、展望台の見学者だけで35万人、スカイツリータウン全体では、なんと来場者580万人を突破したそうです。
皆様はもうお出かけになりましたか?
展望台のチケットは入手困難だそうですが、タワーを近くでご覧になったことはありますでしょうか。

260px-Tokyo_Sky_Tree_2012_convert_20120625121719.jpg
634mという自立式の鉄塔としては世界一の高さは、見上げてみるとやはり圧巻ですね。
三角形の足元からゆるやかに反りながら、上部にいくほど円筒形になるという形は、「空に向かって伸びる大きな木」をイメージしたものだそうです。この反りのある形や、古くから五重塔に使われてきた「心柱」を採用した構法によって、634mの高さを実現できたと言われています。

こうした伝統的な日本建築の要素を取り入れたデザインを監修したのは、彫刻家の澄川喜一氏です。
7月14日(土)の近代美術PartⅡオークションには、澄川氏の彫刻作品が出品されますので、今回はそちらをご紹介いたします。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】



lot.695 澄川喜一 《そりのあるかたちL》
H23.2×W61.1×D4.0㎝
木彫 下部に銘
自筆証明書つき
エスティメイト \100,000~200,000


まずは澄川氏について。
1931年島根県生まれ。1952年東京藝術大学彫刻科に入学し、平櫛田中教室に学びました。1960年同大学彫刻専攻科修了。在学中から現在にいたるまで新制作協会で活躍を続け、様々な彫刻展において数多くの賞を受賞しています。1976年文化庁在外研修員として渡欧。1981年東京藝術大学教授、1995年同大学学長に就任。(2001年に退官し、現在は名誉教授) 1998年紫綬褒章、翌年に紺綬褒章を受章。2004年日本芸術院会員、2008年文化功労者となりました。日本の抽象彫刻の第一人者として知られ、このたび東京スカイツリーのデザインを監修したことでいっそう注目を集めています。

本作品はライフワークである「そりのあるかたち」シリーズの一点。
これは澄川氏が1979年から着手したシリーズで、長い木彫制作の経験から生まれたものです。
木は人間と同じように生きて呼吸をしているので、それぞれの性格や美しさがあり、作り手の思うように切り刻もうとするとうまくいかないそうです。そのため、澄川氏は素材となる木との対話を通して、そりやゆがみ、木肌といった木の個性を見出し、それを抽出するように意図する造形を作り上げていきます。

本作品に表われた「そり」は、日本刀や寺院の屋根、和船などに見られるデリケートなカーブを想起させます。また同時に、この「そり」によって鋭い空間を提示しています。モダンでシャープでありながら、自然の息づかいや日本的な美意識を感じさせる、多面的な魅力に富んだ作品です。

この作品は7月11日(水)からの下見会で展示いたします。
下見会・オークションスケジュールはこちら

皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(佐藤)

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PartⅡオークションに出品される韓国人作家、金春子・崔錫云

こんにちは。
今週は、「浮世絵 / 近代美術PartⅡオークション」が開催されます。
まず、下見会とオークションの情報は以下の通りです。

【下見会】
日程:11月9日(水)~11月11日(金) 10:00~18:00
   11月12日(土) 10:00~12:00
場所:シンワアートミュージアム

【オークション】
日程:11月12日(土) 
14:00 - Lot. 501 ~ Lot. 774(近代美術PartⅡ)
17:00 - Lot. 301 ~ Lot. 390(浮世絵)
場所:シンワアートミュージアム

版画・日本画・洋画・外国絵画・工芸など、毎回多様な作品をお楽しみいただけるシンワの近代美術PartⅡオークション。今回は、歌川広重・葛飾北斎・東洲斎写楽の優れた浮世絵と共に「浮世絵 / 近代美術PartⅡオークション」として開催されます。
どうぞお楽しみに。

今日は、その中から外国絵画の作品2点をご紹介したいと思います。

682.jpg
Lot 682
金 春子(キム・チュンジャ)
 
『Growing Earth』
53.5×41.1cm
キャンバス・アクリル 中央下にサイン・年代(2011)
エスティメイト:\50,000~\100,000

上の作品は『Growing Earth』のシリーズを通して生命のメッセージを強いインパクトで表現する韓国の作家、金春子(キム・チュンジャ)の近作です。1957年韓国の釜山で生まれ、新羅大学校美術学科で西洋画を専攻し、1983年釜山青年ビエンナーレを始め、2003年韓国現代美術交流展(東京・元麻布ギャラリー)、2006年Pre-国際インチョン女性ビエンナーレ、2011年Art stage Singapore (シンガポール)の他、160回以上のグループ展や個展を開き、精力的な活動を見せてきた金は、人間と自然の調和をテーマに独自の生命力溢れる画面を作り出します。作家の想像力から生み出された植物と動物の混在するイメージは、まるで太古の地球に存在したかのような神秘的な生き物を思わせます。
本作品では、きわめて純潔で美しい草食動物の頭上に角のような生命体が加わり、この地球上に力強く新しい生命が誕生したことを謳っているようです。作家は、それぞれの生き物が持つ独自の生命力をこのように一つに束ねる作業を通して、「生」自体の、あるいは生きているこの瞬間への感謝の気持ちを語ろうとするのでしょう。


684.jpg
Lot 684
崔 錫云 (チェ・ソッウン)
『秋』
45.7×53.2cm
キャンバス・油彩 左下にサイン・年代(’95)
エスティメイト:\50,000~\100,000

もう一人の韓国人の作家、崔錫云(チェ・ソッウン)の作品、『秋』です。
1960年韓国の釜山で生まれた崔錫云(チェ・ソッウン)は、釜山大学校芸術大学美術学科を卒業し、弘益大学校美術大学院で絵画を専攻しました。30回以上の個展と、韓国を始め、中国・アメリカ・オーストリア・ロシアなどでの国際的なグループ展を中心に多数の作品を発表してきた崔は、親しみやすい色鮮やかな画面に、日常生活での出来事や個人的な所感を淡々とした視線で描き出します。作家が持つ詩的な感覚やユーモラスな画面作りは、韓国朝鮮時代の風俗画を連想させると評価され、韓国ではすでに高い人気を集めています。
本作品では、各モチーフの間に一定の空間的な距離を置くことで、画面への視線を一ヶ所に集中させず、登場する人物やモノに分散させています。それは、モチーフが持つイメージを観賞者それぞれの記憶や感覚に沿って解釈してもらおうという作家の意図を感じさせます。また、画面の中央に用いた鮮やかな黄色の絵具はタイトルである「秋」のイメージを提示し、鑑賞者が持つ様々なノスタルジアの感覚を蘇らせるのでしょう。

9日(水)から始まる銀座での下見会にて、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(執筆:W)

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