月別アーカイブ: 2011年9月

BAGS/JEWELLERY & WATCHES 下見会始まります

先週の近代陶芸/近代美術PartⅡ(陶芸)オークションにお越しいただいた皆様、誠にありがとうございました。今週はBAGS/JEWELLERY & WATCHESオークションを開催いたします。28日水曜日から銀座のシンワアートミュージアムにて下見会が始まりますので、是非お立ち寄り下さい。

皆様、ルビーとサファイアが同じ鉱物だということをご存知ですか?赤と青、全く異なる色を持つ2つですが、元はコランダムという同じ石からできています。
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諏訪恭一(2002)『宝石2 品質の見方と価値の判断のために』世界文化社

上の表の石はすべてコランダムです。生成される際に混ざる物質の比率によって、大きく分けて虹と同じ赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の7色が生み出されます。そして、この中の赤いものをルビー、それ以外のものを全てサファイアと呼びます。
さて、9月の誕生石はサファイアです。石言葉は誠実。今回はサファイアについてご紹介します。
ラテン語で「青」という意味を持つサファイア、その名の通り、美しい青色のものが高値で取引されています。主な産地はカシミール、ミャンマー、タイ、スリランカ、オーストラリアです。それぞれの産地ごとに色味、透明度が異なりますが、とりわけカシミール産のコーンフラワー(矢車草)ブルーと呼ばれるサファイアの美しさは格別です。その少し白みがかりながらも高い透明度と彩度を持つ、上品で優しいブルーは他の追随を許しません。カシミールでは現在商業ベースでの採掘が行われていないため、カシミール産サファイアの取り引きは主にオークションで行われますが、大きく競り上がることが多いのも特徴です。
サファイアの価値は、青色及びパパラチアサファイアと呼ばれるオレンジがかった艶やかなピンクの石を除き、基本的に色名ではなく美しさで決まります。値段も、とても高価なものからアクセサリーレベルのものまで様々です。透明度があり、明るく鮮やかな輝きを持つものが良いとされていますが、これだけ多彩な石ですので、ご自身の目で見て美しいと思うものを選ぶのが一番です。様々な色のサファイアで彩られたジュエリーで遊ぶも良し、お好みの色を持つ一石を見つけて輝きを愛でるも良し、お気に入りのサファイアジュエリーを探すのは、とても楽しそうですね。

今週のオークションでは6点サファイアの商品が出品されますが、その中のいくつかをご紹介します。
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(左)
Lot147 サファイア ダイアモンドリング
エスティメイト ¥50,000~100,000
(右)
Lot155 サファイア ダイアモンドブレスレット
エスティメイト ¥100,000~200,000

その他、今回の下見会では、Lot244 ダイアモンドネックレス(by Cartier)をぜひご覧ください。
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Lot244 ダイアモンドネックレス(by Cartier)
エスティメイト ¥5,000,000~7,000,000

ダイアモンドの連のネックレスは度々出品されますが、このネックレスのダイアモンドの輝きにはブランドジュエリーのクオリティーの高さを再認識させられます。手にとって気品ある輝きをご自身の目でご確認くださいませ。

皆様のご来場を心よりお待ちしています。

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Kyohei Fujita ― ヴェニス、そして琳派 「イタリア・日本の美」

本年秋は、「日本におけるイタリア2011・秋」として展覧会やイベントなど、様々な催し物が開催されています。イタリア統一150周年を迎え、日伊の文化・芸術交流が益々盛んになってきています。   
先週の近代美術、近代美術PartⅡオークションに引き続き、今週9月24日(土曜日)には近代陶芸オークションが開催されます。その中からヴェネツィアン・グラスに日本の伝統美を吹き込んだガラス工芸作家・藤田喬平の作品2点を紹介します。

 一点目は、「手吹ヴェニス花瓶」です。タイトルだけ聞くと、弊社のオークションでもたびたび出品されているタイプの作品のように思われるかもしれませんが、ご覧の通り、ラッパのような広がった口とアルファベットの「J」のようなユニークながらも美しい姿形をしています。この作品を生み出している技法は、吹き竿を使って息を吹き込み形を広げ、型を使わずに金(かね)箸(ばし)《金(かね)鋏(ばさみ)》などで成形する「手吹(てふき)《宙(ちゅう)吹(ふ)きとも呼ばれる》」という技法です。藤田はこの「手吹」の技法を用い、ヴェニスで多くの作品を生み出しました。初期の代表的シリーズである水や炎の動きを連想させる流動ガラスと共に、ヴェネツィアン・グラスのオブジェの影響を多大に受けている作品と言えます。

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                               LOT.86 藤田 喬平
「手吹ヴェニス花瓶」
H36.6×W29.2cm 
底部に掻き銘「Kyohei Fujita」 
共箱 
エスティメイト
¥800,000~¥1,200,000

 


もう一点は、「手吹飾筥(てふきかざりばこ) 琳派」です。
飾筥シリーズは1973年に発表され、1975年頃より海外での招待出品が増えていき、「フジタガラス」「ドリームボックス」として世界的にも有名になりました。
海外のメディアから「筥に何を入れるのか」と聞かれた藤田は、「あなたの夢を入れてください」と答えたそうです。この夢の筥は、技術に裏付けされた日本的装飾美の結晶と言えます。
藤田は、尾形光琳の螺鈿(らでん)硯箱(すずりばこ)のような琳派の装飾美をガラスで表現することを目指し、金銀箔をかすれさせることで、日本人の心に響くわび・さびをも感じさせたと支持されました.
先ほども書いたとおり手吹は型を使いません。それにも関らず、身と蓋をぴたりと合わせ、ガラスでは不可能と言われていた印籠(いんろう)蓋(ぶた)で仕上げています。

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LOT.87 藤田 喬平
「手吹飾筥 琳派」
H22.4×W24.2cm
底部に「Kyohei Fujita」
共箱
エスティメイト
¥1,000,000~¥1,500,000


今回出品されます飾筥には、まさに藤田が目指した「琳派」という銘が付けられています。
ガラスの国ヴェネツィアの美と、祖国日本の美。藤田の魅力が存分に感じられる作品をぜひご覧下さい。

また今回はその他に富本憲吉の「白磁壷」や、十五代樂吉左衛門の「赤茶碗」、そして濱田庄司ら民芸運動を行った作家の作品が数多く出品されます。どうぞこの機会にお気に入りの作品を見つけに下見会へ足をお運びください。

とみはま中
★LOT.89富本憲吉「白磁壷」    ★LOT.47 浜田庄司「柿釉赤絵方壷」
H16.8×D25.1cm              H23.1×W16.7cm
共箱  1931(昭和6)年作         共箱
 ¥1,500,000~¥2,500,000.       ¥300,000~¥400,000.


(執筆者:E)

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川端龍子と金閣寺放火事件―《金閣再現》

朝晩は涼しくなってきましたが、今週は暑い日が続きますね。
9月とはいえ熱中症になってしまうこともあるそうなので、お気をつけくださいね。

ただいま銀座のシンワアートミュージアムでは、明日9月17日(土)の近代美術オークションの下見会を開催しております。
今回はその出品作品の中から1点、川端龍子の掛け軸の大作をご紹介いたします。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】



Lot.129 川端龍子《金閣再現》
83.0×113.8cm
絹本・彩色 軸装
昭和31(1956)年作
右下に落款・印 
共箱
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
春の青龍社展出品 1956年(日本橋・三越)
エスティメイト ★\1,500,000~3,000,000

 
 川端龍子(1885-1966)は、和歌山県の商家に生まれました。上京後、洋画家を志し、19歳のとき白馬会洋画研究所や太平洋画会研究所に学びます。同じ頃、国民新聞社に入社し、雑誌の挿絵や漫画を手掛けました。文展で入選を果たすなど洋画家として本格的に活動を始め、大正2(1913)年さらに油彩画を学ぶために渡米。滞在中、ボストン美術館で日本の絵巻物とシャヴァンヌの大壁画に深い感銘を受け、一転して日本画を、そして大作主義を志すこととなります。独学で日本画を学び、再興院展への出品を始めると直ちに頭角を現し、昭和4(1929)年には健剛なる「会場芸術」を唱え、その実践の場として青龍社を樹立。自由でダイナミック、ときに繊細巧緻、ときに洋画的といった様々な作風を自在に展開した画家です。

 川端龍子のテーマ「会場芸術」では、展覧会場に映えるスケールの大きさとともにもう一つ大切なことがありました。それは大衆的な感覚と現代性です。「会場芸術」は民衆のための美術行動でしたので、広く一般の人々に支持され、時代の要請に答えるような題材を描くことも必要とされました。そのため、龍子は時事的、社会的な題材を次々に作品に表現していきます。そこには龍子が青年時代、国民新聞社に入社して風刺画を手掛け、美術ジャーナリズムの先駆けをなした経験が生かされており、それは近代化していく時流の中で生まれた新しい日本画と言えるでしょう。

 龍子の時事的な題材の代表作と言えば《金閣炎上》(昭和25年作・東京国立近代美術館蔵)です。雨の夜、猛火に包まれる国宝・鹿苑寺金閣を描いたこの衝撃的な作品は、金閣が放火によって焼失するという昭和25年に起きた事件を描き、2ヶ月後の青龍社展に出品されたものです。龍子は事件翌日の新聞に掲載された写真を見て、国宝が失われたことを惜しむ気持ちや悲しみを感じつつも、描かなければならないという画家としての使命感を燃やしたそうです。
 そして、昭和30年に金閣が再建され創建当時の姿が蘇えると、龍子は待ち構えていたかのように本作品を描きました。昭和31年の春の青龍社展に出品された本作品は、事件のその後を描いたという意味では《金閣炎上》と対をなすイメージと言えるでしょう。ここでは、勢いよく画面を走る大胆な筆の動きと厚塗りのマチエールが、龍子のはやるような気持ちとジャーナリスト的な一面を窺わせます。また、それは「筆致の見えない作品はつまらない」と考え、観賞者が画家の筆技を楽しめるような絵肌の創出を心がけた龍子らしいものでもあります。豊かな緑と輝かしい姿を美しく映し出す鏡湖池に抱かれ、再び眩い光を取り戻した金閣―その麗しい姿を描いた画家はたくさんいますが、「事件」という切り口で捉えた画家はきっと、川端龍子ただ一人でしょう。

下見会場では、そのスケール感をご堪能ください。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

下見会・オークションスケジュールはこちら

(執筆:S)
 

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