月別アーカイブ: 2010年9月

小島剛夕・上村一夫・矢口高雄 漫画絵師三人原画展 量画の先を見た巨匠たち 「この一枚のために」

銀座のシンワアートミュージアムでは9月27日(月)から、
小島剛夕・上村一夫・矢口高雄 漫画絵師三人原画展 
量画の先を見た巨匠たち「この一枚のために」
を開催いたします。


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最近は「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生や「SLAM DUNK」などで人気の井上雄彦先生が、美術館で展覧会を開催されていますね。漫画家が原画や描き下ろしのアート作品を発表するのは最近珍しいことではないようです。逆に、コンテンポラリーアートの中にも漫画に影響を受けた作品はたくさん見受けられます。漫画とアートの境界はとても曖昧になってきているようです。

今回出品される3人のうち、“昭和の絵師”と呼ばれた「同棲時代」の上村一夫先生も没後、川崎市市民ミュージアムで回顧展が開催されています。「子連れ狼」の小島剛夕先生は、没後、漫画界のアカデミー賞と呼ばれるアイズナー賞を受賞していて、現在も海外で人気が高いそうです。また、矢口高雄先生の代表作「釣りキチ三平」は一昨年、映画「おくりびと」の滝田洋二郎監督によって映画化され、話題になりました。

先日開催いたしましたシンワの9月PartⅡオークションでも小島剛夕先生、矢口高雄先生の作品が出品されました。これからは、オークションで漫画を競るという場面が増えていくのかもしれませんね。

展覧会の詳細はこちら
ミュージアムでの展覧会のほかに、矢口先生のサイン会や原画販売、銀座のショットバー3店での展示など、関連イベントもたくさんあるそうです。

みなさまのご来場、心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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9月近代美術下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術の下見会を開催しております。
今回も少しだけ会場をご案内いたします。

1Fは日本画を展示しています。
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横山大観や加山又造の作品が充実しています。いろいろな時代とモチーフの作品が出品されますので、お好きな方はぜひご覧ください。

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ホームページのトップにもなっている、Lot.62横山大観の《陶靖節》です。
会場ではこんな風に展示しております。
本当に風が吹いているようにも、山がはるか遠くにあるようにも見え、
額や軸の作品にはない奥行きと広がりを感じさせます。


B1Fは日本洋画・西洋絵画です。
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レオナール・フジタや浮田克躬の作品がたくさん出品されます。
めずらしいところでは、佐野繁次郎の油彩も!

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長谷川利行コーナーです。
今回は小品が多いですが、浅草風景、裸婦、花といろいろ揃っています。
どれも小さなキャンバスの中に利行らしさがぎゅっと凝縮されたような作品です。

今日も1点ご紹介します。

img_129-1のコピー

lot.129 藤島武二(1867-1943)
《臥婦》
30.3×53.2cm
板にキャンバス・油彩 額装
1913年作
右下にサイン
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
『藤島武二画集』掲載 №48(日動出版)
藤島武二遺作展覧会(1943年 東京都美術館/朝日新聞社)出品など
エスティメイト ★2,500,000~3,500,000


 重要文化財の《黒扇》や《東洋振り》で知られる藤島武二の女性像です。  
藤島の制作は、人物画と風景画の二つに大きく分けられますが、主として人物画に取り組んだのは、洋画を学び始めた23歳から、皇居の御学問所に飾る作品の制作のために本格的に風景画に着手する1928(昭和3)年までの間で、様々に作風を変えながら人物、特に女性像を描き続けました。上記の2点のほかにも、装飾的でロマン主義的な《天平の面影》など、日本の近代洋画を代表する女性像の名作を数多く生み出しました。

 4年に渡るヨーロッパ留学を終えて帰国した藤島は、1913年(当時46歳)の第7回文展で《うつつ》(東京国立近代美術館蔵)を発表。この作品は、本作品同様にソファーにもたれる女性をモチーフとしたもので、帰国後の作としては初めて文展という公の場で発表されたものであり、日本的な油絵を表現することに挑んだ意欲作として藤島の代表作の一つに挙げられます。
 
 本作品は同年に描かれたものです。藤島と親しく交流し、画集の編纂にも当たった岩佐新は、本作品について「このソファーに臥す婦人は《うつつ》とは違って洋服の女であるが手の組み方などポーズからして稍々あの絵の空気と共通なものを感じられる作で、《うつつ》以前の作と思ふ。要するに《うつつ》の前奏曲と見てもいいものであらう。」※ と述べています。
 本作品では、滞欧作から作風を大きく変え、フォルムを単純化し、フォーヴィスム風の大胆なタッチと明治期の装飾的な作風を思わせる芳醇な色彩で対象を捉えています。うたた寝をする女性が醸し出す甘美な夢心地や幸福感は、藤島の女性像の重要なエッセンスとも言えるでしょう。古今の西洋絵画を踏まえ、藤島は本作品において東西の融合と日本の油彩画の創造に向け、新たなスタートを切りました。

※『畫論』第22号 造形芸術社 1943年

明日はいよいよオークションです。
みなさまのご来場、心よりお待ちしています。

オークションスケジュールはこちら


(執筆:S)

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9月PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術PartⅡ下見会を開催しておりますので、少しだけ会場をご案内します。

今回のオークションは江戸時代の作品が多く出品されます。
エントランスを入ると、まずこちらの屏風がお迎えします。

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Lot.626 《東海道図屏風》
各107.3×263.6cm
紙本・彩色
エスティメイト ★\1,000,000~2,000,000


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江戸と京都を結ぶ東海道の情景を描いた屏風です。
右の「を多はら」という金色の短冊のあたりは小田原の城下町です。往来する町人や旅人の姿、箱根の険しい山々と相模湾に囲まれた町の情景が細かく描き込まれています。このほかにも、東海道五十三次の宿場町や五十三次ではない町も描かれていますので、会場にお越しの際はぜひ江戸から京都まで、順番に辿ってみてください。


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伊藤若冲の《鶏図》です。               
若冲は極彩色の作品もすばらしいですが、水墨もたくさん描いています。左幅の鶏は足元にいるネズミも気にせずどっしりと構え、右幅の鶏は縁台の上に高くジャンプしたように羽を広げ、尾を翻しています。鶏を題材に、静と動を大胆でユーモラスに表現した作品です。


Lot.627 伊藤若冲
《鶏図》
各紙本・水墨 
印あり
エスティメイト ★\600,000~1,000,000



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 悪夢のような奇想の絵から細密描写による歴史画、軽妙洒脱な山水画までを自在に描いた「無頼の絵師」曽我蕭白、呉春という雅号でも知られ、俳人としても活動した松村月渓などの掛け軸も出品されます。




近代の日本画では、美人画が充実しています。

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 こちらは、鏑木清方、伊東深水、伊藤小坡の美人画コーナーです。
3人が得意とした風俗美人画です。いろいろな季節のものがありますので、お探しの季節の軸にぴったりの作品があるかもしれません。このほかに、深水に師事した横尾芳月の屏風《手古舞「三社祭」》も出品されます。
                     

B1Fには日本洋画、外国絵画を展示しています。
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下見会はいよいよ明日までとなりました。
オークションスケジュールはこちら

みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

(執筆:S)

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