こんにちは。
今月20日(土)は、「近代陶芸・近代陶芸PartⅡ/近代美術・コンテンポラリーアート・近代美術PartⅡ」オークションがまとめて開催されます。
普段は、絵画だけ、陶芸だけというお客様も、ぜひ他のジャンルもお楽しみください。
さて、こちらでは近代陶芸に出品されます作品をご紹介いたします。

LOT.94
河井寛次郎《三色貼文扁壷》
H23.4×W19.8cm
河井紅葩箱
落札予想価格:成り行き・70万円~100万円
島根県安来で生まれた河井寛次郎(1890-1966)は、1920年30歳の時に、京都五条坂鐘鋳町(かねいちょう)にて、清水六兵衛から譲り受けた窯を鐘渓窯(しょうけいよう)と命名し、陶芸作家としての道を歩み始めました。それ以前の河井は、東京高等工業学校(現東京工業大学)を卒業し、京都市陶磁器試験場で技手として勤め “釉の河井”と呼ばれるほど、釉薬研究に打ち込んでいました。独立後は中国古陶磁や李朝初期の技法を再現した優品を次々と発表、陶芸界に一大旋風を巻き起こします。この時期に技術を磨いた河井は、1926年に柳宗悦、濱田庄司、富本憲吉らと民藝運動を創始し、「用の美」を追求、唯一無二の世界を創造していきました。
本作は、60歳代から70歳代の晩年に制作された作品です。河井は石膏型で成形を行っていますが、これは量産目的ではなく、轆轤成形では成しえない形を作るためだったといいます。さらに貼文(はりもん)と呼ばれる粘土を器物の表面に付ける成型も石膏型で行い、独創性は増していきました。本作と同型であろう作品が、1967年に大原美術館より発行された『河井寛次郎』に所載されています。そちらでは緑釉が施されていますが、本作は三色打薬(さんしきうちぐすり)が施されています。赤・黒・緑の釉薬を、粗土の粘土を使った素地に大胆に打ち付けた技法で、最晩年の作とはとても思えない情感豊かな力強い作品に仕上げられました。
また筒描釉彩(つつがきゆうさい)で描かれた筥も出品されます。

LOT.95
河井寛次郎《花鳥筥》
H14.9×W25.9cm
共箱
落札予想価格:120万円~180万円
60歳代にデコレーションケーキの飾り付けのように、スポイトに柔らかい粘土を入れ、絞り出し絵を描く技法・筒描きで作品を多く制作しました。なかでも、花・鳥・手・虫・魚といったモチーフがデフォルメされ、寛次郎の世界がいきいきと表現されました。
『河井寛次郎記念館会館40周年記念 河井寛次郎の陶芸―科学者の眼と詩人の心』に所載されている《呉洲筒描花文菱形蓋物》は、蓋に描かれた花の中央に、何かをつまんでいる「手」が配置されています。本作はその「手」の部分に「鳥」が描かれており、花や実をついばむ鳥を想起させ、生命への賛美溢れる作品になっています。
このほか、近代美術からは平山郁夫《ポタラ宮入口(ラサ・チベット)》(落札予想価格:500万円~800万円)や、熊谷守一《蛇目蝶》(落札予想価格:800万円~1,200万円)、コンテンポラリーアートからはアンディ・ウォーホル《Black Rhinoceros from Endangered Species》(落札予想価格:500万円~800万円)等も出品されますので、ぜひご覧ください。
☞そのほか、オンラインカタログ、下見会・オークション会場、スケジュールは、こちらからチェックできます。
また、オークション前日と当日は、下見会を開催しておりませんので、お気を付けください。
なお、ご入札はご来場のほか、書面入札、オンライン入札、電話入札、ライブビッディングなどの方法でも承っておりますので、お気軽にご参加ください。お待ちしております。
(江口)












