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鍍金ブロンズマントルクロックセット

こんにちは。
みなさんお花見は行かれましたか?
桜はもちろんですが、最近は新入社員や新入生らしき人たちを見かけると春だなあと思ってしまいます。

さて、シンワの4月といえば、西洋美術オークションです。
今日は出品作品の中から1点ご紹介いたします。

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lot.128 鍍金ブロンズマントルクロックセット
時計:H86.0×W45.0cm
キャンドルスタンド:各H96.3×W40.0cm
鍵、振り子付き
★\1,200,000~1,800,000



 マントルクロックは、マントルピース(暖炉の飾り棚)を美しく飾るために作られた時計です。
 暖炉が現在のスタイルになったのは中世の北ヨーロッパ。煙突によって排煙する方式が発明され、部屋の好きな場所に暖炉を配置できるようになりました。すると、部屋の中で最も居心地の良い場所である暖炉の前が、その部屋の上座とされるようになっていきます。それとともに、暖炉は、暖をとり、肉を焼くための道具という本来の性質に加え、その家のステイタスシンボルとしての意味合いを帯び、王侯貴族たちの間で流行していきました。
 
 マントルピースも、ゴシック、ルネサンス、ロココ様式など、時代と文化の変遷に合わせて装飾的で芸術性の高いものが作られるようになります。そこには、家の最も格式の高い場所に相応しい美術品が飾られました。マントルピースを美しく、誇り高く彩るために生まれたマントルクロックは、家の富と名誉の象徴と言えるでしょう。
 
 本作品は、アンピール様式の装飾美が随所に見て取れるマントルクロックセット。アンピール様式とは、1804年ナポレオン1世が帝政を確立してから19世紀中期頃まで、フランスの建築、家具、装飾美術などに流行したデザインを指します。大きな特徴は、当時の優れた鍍金技術を駆使した壮麗で重厚な作風と、シンメトリックなデザイン。ナポレオンが憧れた古代ギリシア・ローマ、エジプト美術の要素を取り入れ、スフィンクス、勝利の女神、月桂樹など、その文化を代表するモチーフが用いられました。
 
 本作品においても、中央の置き時計の最上部に、ローマ神話における愛の神・キューピッドを表す矢立てと松明、ギリシア・ローマ時代から霊木として崇められた月桂樹を編んだ冠を組み合わせ、愛と栄光を象徴しています。置き時計と2点のキャンドルスタンドのそれぞれにシンメトリーに配されたスフィンクスは、エジプトやギリシアの神話に登場する、鷲の翼と女性の上半身を持った神聖な生物です。こうした均整の取れた優美な装飾と、セット全体が醸し出す重厚感の見事な調和は、アンピール様式の粋と言えるでしょう。英雄の時代の装飾美と、本作品ほどの大きなマントルクロックが設えられた名家の風格を現在に伝える逸品です。

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みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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