今週は近代美術PartⅡオークションの下見会を開催しております。今日はその中から、韓国の陶磁器についてご紹介いたします。
Lot813 《李朝鉄砂龍文壷》
H30.2×32.5cm
★¥500,000~1,000,000.
韓国の陶磁器は、高麗青磁と李朝白磁が世界中に知られております。陶磁器の専門家ではなくても高麗青磁や李朝白磁の価値の高さは、ある程度一般の方々にも知られているようですね。
韓国の場合、不良の息子が家出をする際に家から必ず盗み出す定番の家宝として、テレビドラマでもよく使われています。今日は、今回の近代美術PartⅡに出品される李朝陶磁壺の魅力を、皆様と一緒に感じていきたいと思います。
Lot811《李朝白磁壷》
H33.2×D31.2cm
★¥300,000~500,000.
まず、歴史的な話に少し触れてみると、皆様ご存知のように高麗青磁は、昔の韓国の名称で、高麗時代(10世紀~14世紀末)、李朝白磁は、李朝時代(14世紀末~20世紀初)に作られた焼き物のことを言います。
両方とも当時は生活の中で必需品としてよく使われたものであったはずですが、芸術品として今まで残されたものは、当時も良質な作品として、名人たちが一生懸命作り残したものと考えられます。
神秘的な薄い青色を帯びる青磁は、仏教を国教にしていた高麗時代の文化が、どれほど華麗な色使いの文化であったのかをよく見せてくれるものですね。
しかし、だんだん派手なものに近づきつつあった高麗文化は、腐敗してきた政治に呆れた庶民たちによって歴史の川に流されてしまうのです。それに代わって、清廉潔白の理念を求める儒教が新しい国家の理念として採用されるようになりました。それが李朝文化です。
この李朝文化を理解していただくためには、まず李朝の基礎理念である「ソンビ精神」という言葉を知っていただきたいと思います。「ソンビ」とは、韓国語で「学識が高くて言動・礼節が正しい、義理・原則を守るが、官職・財産をむさぼらぬ、人格の高潔な人」を意味し、その精神を一生かけて求めることを「ソンビの精神」と言います。
このソンビ精神は、500年という長い間、李朝を支配していた大事な理念でした。何より大切にされた李朝のソンビ精神、それは、陶磁器にもよく表れております。世俗に染められない美しい白さ、それが李朝に込められた一番大切な精神性です。このようにソンビ精神から生まれたその白さは、「素朴の美」と言われ、今の韓国でも一番大切にされる優美の一つです。
Lot809《李朝白磁壷》
H20.1×D20.1cm
★¥80,000~150,000.
厳選されたきれいな高嶺土(カオリン)のみを素材に使用し、1300°cの中で、長い時間をかけて焼き上げられた不思議な白さ、皆様、李朝陶磁壷を絶対!見逃さないでください。
(執筆者:W)
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