第13回 文化庁メディア芸術祭レポート2


 2月3日シンワブログに引き続き、第13回文化庁メディア芸術祭をご紹介します。

(※会期は今週末2月14日18:00までです。金曜なら20時まで開館していますので、ぜひご覧ください。入場は無料です)
 


■第13回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

 アート部門で大賞を受賞したのは、『growth modeling device』(David BOWEN)です。
 これは、成長するタマネギを一日ごとに立体像として複製する機械のインスタレーション作品。ある一つの「時間」が形象化され、それを並列することによって作者は「時空間」を生成する装置を作り上げています。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)

 アート作品が、彫刻にせよ絵画にせよ、インスタレーションにせよ、ある一つの時間を扱っていて、それを展示空間に置き換えていることは共通していますよね。この作品はその特性を共有しているものと言えましょう。


 アート部門優秀賞は、『Mr. Lee Experiment』Mr. Lee Experiment 制作チーム代表 Junghwan SUNG、『Nemo Observatorium』Lawrence MALSTAF、『SEKILALA』志村 諭佳 / 志村 健太郎(SHIMURABROS.)、『Braun Tube Jazz Band』和田 永でした。

 Lawrence MALSTAFのインスタレーション作品『Nemo Observatorium』は、大量の発泡スチロールが回転して鑑賞者の周りに竜巻の模様を作り出す装置です。
 自然現象を電子的な記号に置き換えたりCGに描きなおしたりするのではなく、あくまでも現象そのものを示しているところが高く評価されました。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)



 和田永(わだ・えい)の『Braun Tube Jazz Band』は、複数のブラウン管を叩くことによって“電気音楽”を奏でるパフォーマンス作品。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)


 これが、感動しました。理屈はさておき、魅力的なので作品そのものをご覧いただきたいです。
作家は現在、多摩美術大学4年時在学中。Sony Music Publishingに所属するミュージシャンでもあります。
パフォーマンスはほぼ毎日午前と午後に行われているので、必見!です。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)




■第13回テーマ「MEDIA ARTS? メディア芸術とは?」について

 文化庁が主催となって始まり、話題性や作品の応募総数も順調に増加の傾向をたどってきたメディア芸術祭(3日記事参照)。
 これを受けて文化庁では、国立メディアセンターを秋葉原に建設しようという機運を高めてきました。しかし、昨年の政権交代によってそれが頓挫したのはご存知の通りです。

 プレス発表会の席で関係者に伺った話では、政権交代があったにせよ、メディアセンター建設がその一事で白紙となった背景には、その必然性への理解が国民の中で共有されてこなかったことがあると認識しているとのことでした。政府が変わったにせよ、世論が必要と考えれば、メディアセンターは実現されたのかもしれない、と。
そこで、今回のメディア芸術祭のテーマは原点に立ち返り「MEDIA ARTS? メディア芸術とは?」になったのだそうです。
 デジタル表現を用いたアートだけではなく、エンターテインメント性のあるアニメやマンガ、ゲームなどを含んだ日本初の柔軟な概念として「メディア芸術」を提示し、皆さんに楽しみ親しんで頂こうとしているのが、今回の展示なのですね。


(※会期終了につき、画像を配信停止致しました)



■アート部門以外の第13回文化庁メディア芸術祭 受賞作品

<エンターテインメント部門>
大賞
『日々の音色』ナカムラ マギコ / 中村 将良 / 川村 真司 / Hal KIRKLAND

優秀賞
『NARUTOーナルトー ナルティメットストーム』NARUTOーナルトー ナルティメットストーム 開発チーム代表 松山 洋 
『電気グルーヴ/Fake It!』田中 秀幸
『LOVE DISTANCE』伊藤 直樹
『scoreLight』Alvaro CASSINELLI / 真鍋 大度 / 栗原 優作 / Alexis ZERROUG


<アニメーション部門>
大賞
『サマーウォーズ』細田 守

優秀賞
『屋根裏のポムネンカ』イジィ バルタ
『東京マグニチュード8.0』橘 正紀
『The Cable Car』Claudius GENTINETTA / Frank BRAUN
『電信柱エレミの恋』中田 秀人(ソバットシアター)


<マンガ部門>
大賞
『ヴィンランド・サガ』幸村 誠

優秀賞
『イムリ』三宅 乱丈
『海獣の子供』五十嵐 大介
『この世界の片隅に』こうの 史代
『へうげもの』山田 芳裕


<功労賞>
宮本 茂(ゲームクリエーター)

<特別功労賞>
金田 伊功(アニメーター)


【第13回文化庁メディア芸術祭 開催情報】


会 期:2010年2月3日(水)~2月14日(日)10:00~18:00 
     金曜は20:00(入館は閉館の30分前、2月9日休館)

会 場:国立新美術館(東京・六本木)【観覧無料】

主 催:文化庁メディア芸術祭実行委員会
     (文化庁・国立新美術館・CG-ARTS協会)

お問合せ:
    CG-ARTS 協会「文化庁メディア芸術祭事務局」
   フリーダイヤル 0120-45-4536 (会期後:03-3535-3501)
    http://plaza.bunka.go.jp/q/

(井上素子)