先月上海アートフェアをレポートした際に、現代アートに特化したアートフェア、Shコンテンポラリー(Sh Contemporary、上海国際芸術博覧会)が同時期に開催されていることに触れましたが、本日は遅ればせながら9月9日より13日まで開催されたShコンテンポラリーについてレポートいたします。
会場となった上海展覧中心
Shコンテンポラリーは2007年よりはじまり、3回目を迎える若いアートフェアですが、すでにアジアで最大規模の国際的なアートフェアとしての地位を確立しています。
会場となった上海展覧中心は、1955年に当時のソ連から中国へ贈られた荘厳な雰囲気を持つスターリン式の建築物で、現在は貿易関係のフェアが多数開催される会場のひとつとして利用されています。
会場はメインとなるギャラリーのブース「ベスト・オブ・ギャラリー」の他、企画展「ディスカバリー」、若手作家の過去2年以内の作品を扱ったギャラリーのブース「プラットホーム」の大きく3つに分けられ、中国、台湾、韓国、日本、シンガポール、ネパール、アメリカ、フランス、イタリアなどの国と地域から、60以上のギャラリーが参加。そのほか、美術館、オークションハウス、出版社、芸術関係のインターネットサイト、美術賞などのブースも設けられていました。
「ディスカバリー」の展示風景
「ディスカバリー」とは、森美術館の片岡真美チーフキュレーターをはじめ、アントン・ヴィドクル、汪建偉(ワン・ジンウェイ)の3人のキュレーターによる企画展で、国際的に活躍する計24名のアーティストのうち、日本人アーティストでは、宮永愛子、金氏徹平、大巻伸嗣、岩崎貴宏、東恩納 裕一が招待されていました。さらに企画展ではベストヤングアーティストアワード(Best Young Artist Award)という賞が設けられており、宮永愛子、大巻伸嗣、北京のアーティスト石青(シー・チン)が受賞。それぞれの作家の作品は独立して展示されていましたが、ロシアンスタイルの装飾と天井が高く広々とした薄暗い空間の中、独特な世界が作り上げられていました。
マーケット色の濃いアートフェアにおいて、販売とは別に企画展を併催しているフェアも見られるようになってきましたが、その中でもShコンテンポラリーの「ディスカバリー」は規模、質、注目度において、群を抜きん出ているように見受けられます。
また、レクチャーも開催されており、学術的なテーマだけでなく、アートコレクションや今後の現代アートマーケットの動向といったテーマに多くの人が熱心にレクチャーを聞き入る姿が見られました。
同時期に多数アートイベントが開催されていることもあり、アート関係者を含め、国内外から多くの観客が来場し、会場は熱気に包まれていました。主催者側によると、3万人を超える観客と500名にのぼるコレクターが来場し、学術的にも、アートマーケット的にも、大きな成功を収めたとのことです。
ロシアンスタイルの装飾×現代アートの融合が新鮮
またこのアートフェアに限りませんが、会場は立派な一眼レフを抱えた若者たちであふれ、日本のアートフェアとは異なる不思議な光景が見られます。もちろん撮影を許可していない場所もありますが、個人的な趣味として作品に近づいて真剣に撮影する人もいれば、作品と一緒に記念撮影をする人も多く、このような形であれ、アートが一般に対してオープンであり、アートに関心を抱いて気軽に来場する若者が多いということに微笑ましく感じました。
Sh Contemporary 上海国際芸術博覧会
会期:2009年9月9日~13日
会場:上海展覧中心
http://www.shcontemporary.info/
(中国語、英語のみ)
(執筆M)
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