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PartⅡ下見会始まります

 名古屋下見会にご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。
一週はさんで今週は、東京でPartⅡ、大阪で近代美術、ジュエリー&ウォッチ、近代陶芸、近代陶芸PartⅡの下見会がスタートします。
少々スケジュールが複雑になりますが、お目当ての作品をお見逃しないようにご越しくださいね。

 さて、本日はPartⅡの出品作品から1点ご紹介いたします。

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lot.741 K.P.M 《色絵「婦人像」陶板》
42.5×34.2cm(66.9×58.3cm)
裏に窯印


 西洋美術がお好きな方にとってはおなじみのK.P.Mですが、
「ずっと気になっていたけれど何の略称?」という方もいらっしゃるはず。
そんな方のために、本日は簡単にご説明いたします。

 K.P.Mは、1751年ドイツ、プロイセンの首都ベルリンに民間窯として開窯しました。ベルリン窯と呼ばれるのもこのためです。
 1763年プロイセン王フリードリヒ2世の所有となり、ベルリンK.P.M(Konigliche Porzellan Manufactur)窯、すなわち王家の青紋章をシンボルにした王立の磁器製陶所となりました。フリードリヒ2世が莫大な費用を窯の改良進歩のために支出すると、当時ヨーロッパ随一と呼ばれたマイセン窯を凌ぐ勢いで製陶技術が充実していきました。以後、歴代の王の庇護のもとに製作が続けられ、第1次世界大戦後は、国立磁器製陶所となりました。
 主な作品には、バロックやロココスタイルの高級食器や装飾品、17~18世紀の古典名画を模写した陶板画があります。

 今回出品される作品も、バロック美術を思わせる陶板です。
当時は宗教や神話が美術作品の主なテーマとされましたが、
ここでも描かれた婦人のポーズや漂う清らかさ、彼女を取り囲む天使たちが、
キリスト教の主題「無原罪のお宿り」を想像させます。

 「無原罪のお宿り」とは、聖母マリアが一切の原罪にそまることなく、その母アンナの胎内に宿ったとする教えで、神の意志による受胎を表したものです。描かれているのがアンナではなく、これから生まれてくるマリアであるということが、この主題の不思議なところですね。

光と影を効果的に使ったドラマティックな表現と柔らかな描写は、優秀な画家を多く抱えたK.P.M窯だから表すことができたものと言えるでしょう。

 今週、この作品は東京でご覧いただけます。
皆様のお越しを心よりお待ちしています。

オークションスケジュールの詳細はこちら

(執筆:S)

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