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高山辰雄遺作展

高山辰雄 聖家族Ⅰ 1993年 小川美術館
《聖家族Ⅰ》1993年 小川美術館所蔵
早くも10月ですね。皆さんはどんな「秋」をお過ごしでしょうか。
本日は芸術の秋にぴったりな展覧会をご紹介いたします。

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高山辰雄が昨年9月に95歳で逝去してから1年。
現在、練馬区立美術館では「高山辰雄遺作展」が開催されています。
これは、高山辰雄の初期から絶筆までの代表作を一堂に集め、その画業を振り返る構成になっています。

高山辰雄は日本画滅亡論が叫ばれる戦後の逆風の中、日本画の改革に尽力し、東山魁夷、杉山寧とともに日展三山と称された画家です。東京美術学校日本画科で松岡映丘に師事し、在学中から帝展で入選するなど活躍。戦後はゴーギャンの影響を受けた作品を手掛けながらも、独自の作風を確立する姿勢が見られるようになります。そして50年代になると心象風景や人間存在を深く掘り下げた作品を描くようになり、より深い精神性を画上に表現していきました。1979年、文化功労者として顕彰され、82年には文化勲章を受章しました。

高山辰雄 森1985年
                《森》1985年 
高山は画壇の頂点を極めながらも、「百年二百年あっても、志したあの一点に到達したい、そう念じ見つめながらも、しかも未完なのか。」(『高山辰雄』 日本経済新聞社 1997年)と自らに問いています。
没して改めて、生きることの意味を求め続けた厳格な作画姿勢とその存在の大きさに気づかされます。


先日、展覧会のオープニングレセプションに伺ったのですが、人物画、静物画、風景画などの大作がずらりと並び、会場全体が一種幻想的な空気に包まれていました。立体感ある絵肌、絶妙な色彩が美しく、岩絵具という素材がいかに美しいものなのか、改めて実感しました。実物でなければその魅力が伝えきれないのが残念です。ぜひ、練馬区立美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。前期は10月5日(日)まで、後期は10月11日(土)~11月3日(月・祝)で展示作品の大半が入れ替わるとのことなので、前期の展示は今週末がラストチャンスです!(執筆:M)


〈展覧会情報〉
会  期  〔前期〕2008年9月13日(土)~10月5日(日)
      〔後期〕2008年10月11日(土)~11月3日(月・祝)
開館時間   午前10時~午後6時(入館は5時30分まで)
休館日   毎週月曜日(ただし9月15日(月)と10月13日(月)は開館、翌日休館)
※10月6日~10月10日は展示替えのため閉館。
会場    練馬区立美術館
      〒176-0021 東京都練馬区貫井1-36-16  
      http://www.city.nerima.tokyo.jp/museum/

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