月別アーカイブ: 2009年5月

浮世絵 広重が描く風景画の最高峰

 5月のオークション週間終わりを飾るのは、浮世絵特別オークションです。北斎の肉筆のほか、今話題の春画もまとまった数で出品されます。


 なかでも今回のオークションカタログの表紙になっている歌川広重《木曾海道六拾九次 洗馬》は、広重の風景画の最高傑作とも言われます。
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LOT81 歌川広重《木曽海道六拾九次 洗馬》
23.1×36.9㎝
エスティメイト ¥6,000,000~9,000,000.

 《木曾海道六拾九次》は、版元の保永堂(ほうえいどう)が、《東海道五拾三次之内》の成功を受けて、木曽路・中山道を題材に企画した揃いものです。
 天保六年(1835)年頃、渓斎英泉(けいさい・えいせん)によって起筆され、中断されたため歌川広重が後を継ぎ、完成されました。


 本作品の舞台、洗馬(せば)は、現在の長野県塩尻市です。木曽義仲が、後に家臣となる今井兼平と邂逅し、そこで兼平が義仲の馬の足を洗うと、たちまち元気を取り戻したという伝説があることから、この地名がついたと言われています。

 画面手前から奥へと流れるのは、その清水に近い奈良井川(ならいがわ)。
 船人のゆったりと棹を漕ぐしぐさと川の緩やかな流れ、柳を揺らす夜風、満月に照らし出されて一体となる自然と人間の営みが、絶妙に調和した、シリーズ中の白眉です。


 本作品では、黄昏どきの微妙な空が、満月にヴェールを掛けたように棚引く紅色、空に夜の帳を下ろす墨のグラデーションで表現されています。
これは拭きぼかしという高度な職人の手わざを必要とし、後版では省かれてしまうことが多いものです。薄い色版を精妙に重ねることにこだわったと言われる広重の、制作当時に企図した芸術性がありありと感じることができる稀少な作品です。

 浮世絵オークション詳細はこちら

(執筆者:I)

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韓国のアートフェア

 先週は夏のような暑さにもかかわらず、Jewellery&Watches/近代美術PartⅡ/近代美術オークションにお越しくださったお客様、誠にありがとうございました。
 会場の盛り上がりと好結果から、今後に期待が持てるような素晴らしいオークションだったと思っております。

 本日は、今まで2回に渡ってご紹介いたしました韓国のアート情報の第3弾として、韓国で行われる国際アートフェアをいくつかご紹介したいと思います。


●キアフ (KIAF:Korea International Art Fair)
 韓国の国際アートフェアとしてよく知られているキアフは、韓国・日本・中国・台湾など、アジアの国々のメジャーなギャラリーのほかに、ヨーロッパやアメリカなど世界各国から約200のギャラリーがソウルに集まる大きなアートの祭典です。

 韓国画廊協会主催のキアフでは、その年一番話題を作った国を一つ選び、主賓国として招待しながらメインのスペースやその国のアートを紹介する機会を与えています。今年はインドが主賓国に選ばれたので、近年世界を舞台に活躍しているインド出身アーティストたちの新作がご覧いただけると思いますよ。

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キアフ2008会場:あまりにも展示スペースが広いので、歩きやすい靴が必須アイテムです!

2009 KIAFの日程
日付:2009年9月18日(金)~22日(火)
会場:COEX (Hall-C & Hall-D), Seoul Korea
URL:http://www.kiaf.org/


●ブサン(釜山)画廊芸術祭
 今年で27回目となった「ブサン画廊芸術祭」は、元々「画廊芸術祭」という名称のソウルで開催される国際アートフェアでした。キアフと同じく韓国画廊協会主催であるこのアートフェアは、開催場所をブサンに移し、キアフとはまた異なる国際アートフェアとしてその地位を確立しました。きれいな港町ブサンと美術という組み合わせは、なんだかロマンティックな出来事が起こりそうなイメージですね。毎年春に開催される「ブサン画廊芸術祭」は、今年はもう3月に終わり、来年の新しい出会いに向かって準備を進めているようです。

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2009年3月に行われた「ブサン画廊芸術祭」


●Art Figuratif & Art Seoul
 美術専門の企画会社であるマニフ(MANIF)が開催するアートフェアです。「具象大祭典」の第1部と「アート・ソウル展」の第2部に分けて行われるこのフェアは、<キム課長、美術館に出かける日>というタイトルをつけて、現在ソウルの美術の名所・芸術の殿堂で開催中です。ちなみにこのタイトルの「キム課長」は、日本でいうと「新橋のサラリーマン」といったところでしょうか。
 参加作家の全員に直接ブースを提供することで、作家と来場者の間にコミュニケーションを生み出そうというこのアートフェアは、作品に購入しやすい金額の定価がつけられています。まるでデパートで買い物をするように、一般の方々に作品をその場で気軽に買ってもらいたいという戦略なのでしょう。美術品購入は初めてというお客様にはぴったりの入門編のフェアです。
もちろん、韓国のコンテンポラリーアートの最先端を行く作家たちも多くブースを出していますので、もしかして今なら憧れの作家さんに出会えるかもしれませんよ。

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<キム課長、美術館に出かける日>の作家ブース

2009 Art Figuratif & Art Seoulの日程
日付:第1部「具象大祭典」2009年5月22日(金)~29日(金)
    第2部「アート・ソウル展」2009年5月30日(土)~6月4日(木)
会場:<芸術の殿堂>, Seoul Korea
お問合せ :82-2-514-9292
URL:http://www.sac.or.kr/eng/

(執筆:W)

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5月23日開催!ジュエリー&ウォッチオークション

先週の名古屋・大阪下見会にご来場いただいた皆様、ありがとうございました。ジュエリーに関しては、ヒスイを見に来られる方が多く、大変盛況な下見会となりました。しかし、今回のジュエリーの目玉はヒスイだけではありません!その他、注目の商品をご紹介いたします。

122ctのタンザナイト


lot335 タンザナイト
約30.6~25.6×22.4mm
122.11ct
300万円~400万円


ご覧ください、このボリューム!以前、ブログでタンザナイトをご紹介しましたが、今回のジュエリー&ウォッチオークションでは、なんと、122ctのタンザナイトが登場します。
写真ではお伝えできないのが残念ですが、タンザナイトの奥の方から、濃紺の光りがキラキラと輝いています。
ニューヨークで今年2月に開催されたサザビーズのオークションでは、49.04ctのタンザナイトのルース(クッションカット)が約280万円(31,250USD)で落札されています。その2倍以上もの重さがあるタンザナイト。一見の価値がありますよ!


ファンシーカラーダイアモンド

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★lot285 ダイアモンド
No.5080292 RB 0.363ct 4.44-4.48×2.89mm 
FANCY DARK GRAY GREEN SI2 YELLOW (04/15/2009)
エスティメイト 10万円~20万円

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lot 289 ダイアモンド
GIA DIAMOND GRADING REPORT
No.17419951 Round Brilliant 0.52ct 5.21-5.22×3.21mm 
FANCY YELLOW SI1(06/26/2008)
エスティメイト 20万円~30万円


ダイアモンドは無色であればあるほど価値が高くなる一方、一定上の色の濃さを持つダイアモンドは「ファンシーカラーダイアモンド」と呼ばれています。
今回のオークションではピンク、イエロー、そしてグリーンのファンシーカラーダイアモンドが出品されています。
ロット285の「ファンシー ダーク グレイ グリーン」は、通称「カメレオンダイアモンド」と呼ばれており、加熱、または暗所での保管により、一時的に色調が変化するのが特徴です。実際、朝金庫から取り出した際に、黄色に変化していて驚きました。このダイアモンド自体はそれほど希少性が高いものではないのですが、色が変化するのを目の当たりにすると、なんだか胸が高鳴ります。色の変化の仕組みは、まだはっきりとは解明されていないとのことです。


華やかな南洋真珠ネックレス

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lot313 白蝶貝養殖真珠ネックレス
エスティメイト \800,000.~\1,200,000.

白蝶貝という大型の貝から採れる貝を白蝶貝養殖真珠(別称:南洋真珠)といいます。この貝は赤道を中心とした熱帯の海にしか生息しておらず、主にオーストラリア、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、日本では奄美大島などで養殖されています。
貝が大きい、海の水温が高い、養殖期間を2年以上かける、などの理由で、直径13mm以上に成長する珠もあります。
lot313の白蝶貝養殖真珠ネックレス(無穴)は、直径約14.9mm~18mmという大珠で、上品でありながら華やかな雰囲気を醸し出しています。



昨日から、東京でも下見会が始まりました。ジュエリー&ウォッチはミュージアムの地下1階に展示しておりますので、ぜひ足をお運びくださいませ。皆様のご来場を心よりお待ちしております!(執筆:M)

下見会  会場:シンワアートミュージアム
5/20(水)~22(金) 10:00-18:00
5/23(土) 9:30-11:30 

オークション 会場:丸ビルホール
       5/23(土) 13:30-

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東京下見会はじまります

 Asian Auction Week in Hong Kongにお越しくださった皆様、海外まではるばるありがとうございました。先週は、日本でも下見会を開催しておりました。東京、名古屋、大阪会場にご来場いただいた皆様にもお礼申し上げます。

 さて、今週も東京で下見会を開催いたします。近代美術、JEWELLERY & WATCHESの作品を展示いたしますので、ぜひお越しください。期間中は、ご希望があれば近代美術PartⅡの作品もご覧いただけますので、お気軽に会場スタッフにお声をかけてくださいね。

 本日は、5/23の近代美術オークションの出品作品の中から、横山大観の作品をご紹介いたします。今回のオークションでは、横山大観の大正期から晩年までの作品6点が出品されます。時代やテーマごとの大観作品の魅力をぜひ会場でご堪能ください!

言わずと知れた近代日本画の巨匠ですが、まずは横山大観を簡単にご紹介します。

 横山大観(1868-1957)は、近代の幕開けの年、明治元年に水戸で生まれました。1889年第1期生として東京美術学校に入学。日本美術の改革を目指した岡倉天心に学び、その志を受け継ぎます。同期の菱田春草とともに、朦朧体と呼ばれる描線を排した表現方法で日本画の近代化をはかっていきました。1898年東京美術学校騒動が起こり、東京美術学校助教授の任を辞職。日本美術院の創立に参加して主軸として活躍し、《生々流転》や通称《海山十題》といった豪放で壮大な大作を数多く残しました。明治・大正・昭和、約70年に渡って画壇のリーダーとして生き、日本画の改革運動を進め、後世の日本画壇に多大な影響を与えた画家です。

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Lot.88 横山大観
《若葉の頃》
130.0×41.8cm
絹本・彩色 軸装
大正12年作
右下に落款・印
共箱
『横山大観 第2巻 大正』掲載 P.260(大日本絵画)
横山大観記念館登録あり
エスティメイト ★¥3,000,000 – 5,000,000



 大正12年作(当時55歳)。同じ年、大観は自身の地位を確固たるものにした代表作《生々流転》を完成させており、壮年期の脂の乗った時期に制作されたものと言えるでしょう。木々の青さが眩しいこの季節にぴったりの作品です。
 大観はこの時期、色彩画、水墨画両方の研究に力を入れていますが、本作品においては、縦構図の画面を生かし、色彩によって広大な空間の広がりを表しています。東洋画固有の色彩描写の優位を、作品を通じて表現しようとしているかのようです。


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Lot.104 横山大観《雨後嵐峡》
54.5×71.3cm
絹本・彩色 軸装
昭和17年作
右下に落款・印
共箱
『横山大観 第3巻 昭和Ⅰ』掲載 P.210(大日本絵画)
横山大観記念館登録あり
エスティメイト ★¥5,000,000 – 8,000,000


 こちらは昭和17年作(当時74歳)。霧の漂う雨後の連峰を、緑と墨の濃淡で雄大に描き出した作品です。山腹には滲みを効果的に用い、画面全体の統一された空気を感じさせます。
 本作品を描く2年前に大観は代表作《海に因む十題》《山に因む十題》を制作して大きな賞賛を集めました。円熟期を迎えた本作品では、長い画業を経て追求してきた朦朧体や水墨の濃淡渇潤の複雑な変化が表現され、そこからは深山を覆う霊気までもが伝わってくるようです。年齢を重ねてもなお、「日本画で空気を描く」という青年時代からの課題や気韻生動を求め続ける大観の画業の深まりを感じさせる作品です。

<オークションと下見会の日時、会場の詳細はこちらから>

みなさまのお越しを心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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アジアン・オークション・ウィーク・イン香港 会場風景

 こんにちは。歩いていると汗ばむような初夏の陽気になりました。

 さて、いよいよ本日から、アジアン・オークション・ウィーク・イン香港のプレビューが始まりました。
会場は、香港の中心地・セントラルにあるコンラッド・ホテルです。

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 今回、シンワアートオークションからは5名のスタッフが現地入りし、下見会の展示作業にあたりました。
 昨年11月のアジアン・オークション・ウィーク・イン・マカオに引き続き2回目ということもあり、展示作業はスムーズに進み、プレビューの開始時間を予定されていた12時から前倒しして10時からオープンしました。


 写真は、ボール・ルームでの下見会場風景です。
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 ラグジュアリ―なホテルの会場に、4社合計146点の作品が一堂に展示されています。

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 下見会オープンと同時にお客様も入りだし、日本からの方もいらしたそうです。

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 明日のオークション本番では、シンワアートオークションを皮切りに、台湾のキングスレー・オークション、韓国のKオークション、シンガポールのララサティ・オークショニアズと続いてセールが行われます。
キングスレー・オークションによると、台湾ではシンワアートオークションの出品作品への反応が良かったとか。

 また現在、香港では第2回目となるアートフェア、Art HK09も開催中で、アジア中のアート・ファンが香港に詰め掛けています。
 明日のオークションも熱く盛り上がることを日本から期待しています。

<オークションの詳細はこちら>

(執筆者:K)

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