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【上海万博】会場を彩る野外アート②

 先日、上海万博会場内に設置されたアートをご紹介いたしましたが、今回も引き続き、数あるアートの中から、中国人アーティストにより制作された作品を数点ご紹介いたします。

 万博会場中央に位置する中国国家館のはす向かいに佇む2体の巨大パンダは、張洹(Zhang Huan)による作品です。張洹は今月よりはじまる「あいちトリエンナーレ」にも参加する、国際的な活躍が目覚ましい中国人アーティストの一人で、巨大なインスタレーションや大胆なパフォーマンスで知られています。ステンレススチールの鏡が使用された、2体のパンダが向き合う作品≪Hehe, Xiexie≫は、中国語の「大和平、大和谐(hexie)」、すなわち「大きな平和、大きな調和」よりそれぞれのパンダの名が付けられています。この「和谐」とは近年、中国でスローガンなどによく使われる言葉の一つであり、本作品においても、調和のとれた社会や世界を表現しています。

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張洹≪Hehe, Xiexie≫


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 また、同じく中国国家館のそばには陳長偉(Chen Changwei)による、12の動物の頭が連なった作品が設置されています。タイトルや作品解説によると、古代中国から伝統的に伝わる12支における哲学や神話をモティーフとし、都市の発展は自然と調和すべきだという理念のもと制作されているとあります。しかし実際作品を見ると、明らかに12支には属さない動物の頭が多く、作家が中国の伝統を現代風に置き換え、その理念を表現していることが窺えます。

陳長偉≪十二生肖柱≫
※生肖とは12支によって唱える生まれ年を意味する。

 続いて、万博会場の公園内の歩道に突如として現れる巨大なチューインガムのごみくずは、焦興濤(Jiao Xingtao)の作品です。焦興濤は包装紙やごみくず、ビニール袋など身近にあるものをモティーフとした立体作品を制作するアーティストです。環境保護をテーマとした本作品においても、日常生活でなおざりにしがちなものをモティーフとしながらも、誇張されたインパクトのある形態と明るい色彩により、ごみを捨てるという行為、増え続けるごみの量、また過剰に包装する消費社会といった社会問題が浮き彫りにされているかのようです。

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焦興濤≪Yellow & Green≫

 同じく公園内の歩道に佇む3体のかかし。こちらは安然(An Ran)の作品、≪都市草人≫です。作者は農村でよく見かけるかかしを現代の工業化された姿へと置き換え、現代の生活理念や審美眼を表しています。急速なスピードで都市化が進んでいく中で、「都市を守る人」を次の世代へと引き継いでいこうというユーモア溢れる作品となっています。

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安然≪都市草人≫

 他にも、ダン・グラハムのコンセプチュアルな作品や、インド人アーティストSubodh Gupta の作品などもありました。ここに作品のすべてをご紹介できず残念ですが、万博会場に展示されるに相応しいテーマやコンセプトが垣間見られる作品が多く、アートを通じて改めて万博のテーマ、「よりよい都市、よりより生活」を再認識することはもちろん、今の中国の発展に伴う様々な問題を考えさせられました。

 各国のパビリオンは並んでも見たいですが、野外のアートを見てまわるのも楽しそうですね。今年の夏休み、上海万博にお出かけになる方は、ぜひご紹介した作品を探してみてください。

(執筆:M)

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