月別アーカイブ: 2009年6月

名古屋下見会、明日から開催です!

本日、7月のオークションカタログが完成いたしました。
順次発送して参りますので、お手元に届くまでいましばらくお待ちください。

明日からは名古屋下見会を開催いたします。
お近くにお住いの方は、お誘いあわせの上、是非ご来場ください。
会場では、7月18日のジュエリー&ウォッチ・近代美術・近代陶芸オークションに出品される作品(近代陶芸のみ一部)をご覧いただけます。

さて、本日も近代美術オークションに出品される作品をご紹介いたします。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】


山口長男「孤」です。
この作品は、画家の晩年にあたる1976年9月に制作されました。
この時期、画業とともに山口のマチエールも充実期を迎えます。戦後から作品に描かれてきた矩形や円は、次第に拡大し、ほぼ画面全域を覆い尽くすようになり、代わってそこには切り込みのような線状の形が現れてきます。
 本作品は、晩年の作風の特徴が顕著に表れた一点です。黄土色は山口が自身の性格色と呼ぶ色であり、中国を表しているといいます。ここでは、弧を描くような中央の切り込みに向かって絵具を塗り重ねることに、山口の関心が注がれています。「重ねるということは、(中略)自分のまた養分になってゆく面があるはずですから、もうこれ以上いかないというまで繰り返し、充実が出るまで塗りますよ。」と、山口はこの頃、マチエールについて語っています。マチエールを塗り重ねることは、山口自身のためであるとともに、作品自体が豊かな生命力を獲得することでもあると言えるのではないでしょうか。


【名古屋下見会スケジュール】
6月26日(金)・27日(土)
10:00~18:00  DAITEC・SAKAE 6F クリエイトホール 地図はこちら

<展示内容>
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術 / 近代陶芸(一部)

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美術品の管理について~梅雨編~

 こんにちは。どんより曇ったり、晴れたり、雷が鳴ったり…と、不安定な天気が続きますね。昨年の流行語大賞トップ10に選ばれた「ゲリラ豪雨」が、今年も各地で発生しているようです。大きな災害が起こらないことを祈るばかりですね。

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さて本日は、梅雨時期の美術品の管理についてお話したいと思います。

 じめじめとした日が続く梅雨は、美術品にとっても湿気が大敵となります。作品の支持体となっている布や紙は吸湿性が高いため、空気中の湿度によって状態が変化してしまいます。それを安定した状態に保つために適した湿度、温度があります。

 作品の種類や環境によっても若干異なりますが、お部屋に飾ったり、箱にしまって保管しておく際は、湿度50~55%、温度20~25℃が適しています。これ以上の湿度や温度で展示や保管を続けると、絵画ならカビ、版画や写真でも波打ちやシミが発生する原因となってしまいます。美術館や博物館では、年間を通してつねにこの基準内で一定の湿度や温度を保っています。お客様の大切な作品をお預かりしている当社でも、保管環境には注意を払っています。

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例えばご自宅の場合、注意が必要なのは…、水まわり付近、玄関や窓の周辺、押入れ、そしてエアコンの風向きでしょうか。

 キッチンやお風呂の近くはどうしても湿度が高くなりがちですし、玄関や窓付近は外気の影響を受けやすくなってしまいます。エアコンの送風が直接当たる壁なども、温度変化が大き過ぎるでしょう。また、押入れは作品の保管場所にされがちですが、湿気がたまりやすいため、もし保管するなら除湿をしたり、晴れた日に作品を出して虫干しすると良いかもしれません。

 日本画がお好きな方はよくご存じかもしれませんが、日本画を保管する際に桐箱を使うのは、水や熱、虫害に強く、箱内の湿度を一定に保つ効果があるからなんですよ。昔から着物の収納に桐タンスが使われてきたのも同じ理由です。

 美術品をお持ちの方は、大切な作品を長く楽しむために、飾っているお部屋や保管場所の環境と湿度をもう一度チェックしてみてくださいね。


(執筆:S)

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シンワブログへの反響

 先日お伝えしたとおり、本ブログは開設してから1周年を迎えました。

 これまでに、シンワアートジャーナルと連動して、展覧会チケットプレゼントを何回か行わせて頂きました。
 そのたびに、読者の皆様からご丁寧にアンケートにご回答いただきました。ありがとうございました。
 そこでは、「どのような作家を取り上げて欲しいですか」という質問に対し、貴重なご意見を頂いたり、「地方に住んでいるが、東京に行った際に展覧会に行きたいので」とコメント付きでチケットをご希望されたりするお客様がいらっしゃいました。
 そういったお客様方にお読み頂いているかと思うと、ブログ担当一同、嬉しい思いでいっぱいです。

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<これまでにお届けした展覧会レポート>

・全光榮(チョン・クァンヨン)展
・加山又造展
・三瀬夏之介展~冬の夏~
・ART@AGNES 2009
・Art Now in China 2008
・山口薫展
・石田徹也―僕たちの自画像―展
・高山辰雄遺作展
・浮世絵ベルギーロイヤルコレクション展
・純粋絵画を求めて―夭折の画家、佐伯祐三
・舟越桂 夏の邸宅 展

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 その他にも、各種メディアのプレスの方々から、ブログを通じて取材の依頼を受けたこともございました。ここで紹介して下さいと、美術コンペの概要が送られてきたこともあり、その度にありがたく取材させて頂きました。


 開催中の展覧会のレポートをお送りすることが多かったのですが、シンワブログでは全ての展覧会レポートで、主催者や美術館の方から図版の使用許諾を得るためにご連絡をお取りしています。
 そこで、担当学芸員の方から展覧会の裏話を伺うこともございました。

 出品作品の紹介については、お客様から「これが欲しい!」というお電話を頂くこともあります。既に終了したオークションであっても、インターネット上には情報が残っていますので、過去の出品作品情報であることもあります。それでも、次回に同様の作品が出品される時にご連絡を差し上げることもできますので、ぜひお問い合わせくださいね。

 本コーナーを通じて、シンワブログ担当は様々なアートシーンで活躍される方々と触れ合う機会を持つことが出来ました。ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願い致します。

(執筆者:I)

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シンワブログ開設一周年 ・7月のオークションのご案内

こんにちは。
各地で梅雨入りが発表され、はっきりしないお天気が続く今日この頃ですが、皆さまお変わりありませんか。
お陰さまでこのシンワブログ、開設から一年を迎えることができました。
いつもこのページにお立ちよりくださる皆様に、ブログ執筆チームを代表してお礼申し上げます。
今後も読者の方々に楽しんでいただける記事、お役に立てる情報を掲載していきたいと思いますので、ご愛顧いただけますよう宜しくお願いいたします。

さて、本日は7月のオークションのご案内をお届けします。
7月18日に丸ビルで開催するオークションは、
「ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Partll / 近代美術 / 近代陶芸」の4つです。
すっかりお馴染みになりつつありますが、今回も一日でたくさんのジャンルのセールをお楽しみいただけますので、是非会場へお越しください。

また、今月末より名古屋・大阪・東京の3か所で下見会を開催いたします。
こちらも、お誘いあわせの上、お気軽にご来場ください。

カタログは6月25日完成予定です。
カタログがお手元に届くまでしばらく時間がありますので、最後に近代美術Partllオークション出品作品を一点ご紹介させていただきます。
勝川春章「立美人図」です。

勝川春章


 ご存じのとおり、浮世絵は17世紀後半に登場した多色摺り木版画のことで、歌舞伎役者や、巷で評判の美人、相撲取り等を主題とし、そこから風景画や春画へと展開していきました。その洗練された構図は、19世紀の印象派にも影響を与えたと言われています。
 本作品は、役者似顔絵を得意とした春章が遊里の女を描いたものです。浮世絵は当時の一般市民のためのエンターテインメントでしたから、現在の芸能人やモデルにあたる歌舞伎役者や、街で評判の美しい遊女がよく描かれました。
 江戸時代までの日本では、髪の毛の生え際の美しさは、女性を評価する大きなポイントでした。ここでも、作家は額に沿った髪の毛の繊細な筋を、非常に丁寧に描いています。


勝川春章「立美人図」
87.3×29.7cm / 絹本・彩色 軸装
右下に落款・印
落札予想価格:250万円~350万円


~7月のオークション~
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Partll / 近代美術 / 近代陶芸
オークション:7月18日(土)
会場:
丸ビルホール(東京・丸の内) 地図はこちら
時間: 14:00(ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Partll)
17:30(近代美術)
18:00(近代陶芸)
下見会:
【名古屋】
6月26日(金)・27日(土)10:00~18:00  DAITEC・SAKAE 6F
【大阪】
7月10日(金)・11日(土)10:00~17:00 御堂会館 南館 B1Fホール
【東京】
7月8日(水)~11日(土)10:00~18:00 シンワアートミュージアム
7月15日(水)~18日(土)10:00~18:00 / 最終日は12:00まで 同上

オークションスケジュールの詳細はこちら

 

 

 


(執筆:N)

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Archives展 開催中です

先週の浮世絵オークションにお越しくださった皆様、どうもありがとうございました。

さて、今週当社1Fのシンワアートミュージアムでは、「Archives」という展覧会を開催しております。
この展覧会は、芸大・美大受験のための美術予備校、湘南美術学院の主催で、学院出身の作家58名の作品を展示することにより、現在の美術作家たちの「Archives」、すなわち記録の全貌を表現するものです。

まだご覧になっていない方のために、展覧会の模様を少しだけご紹介します。

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1Fは立体作品がたくさん展示されています。
中央に立っているのは小柄な男の子、ではなく藤川真由子さんの《無題》という木彫の作品です。


気になる作品を見つけました。
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ASADA《MAYBE MAMA》
陶器、革、木材、金具、油性塗料ほか

陶器製の鎧です。装着するとこんな風になるとか。
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 鎧は戦いのとき、身を守る防具ですが、ASADAさんはそれを陶器という脆く壊れやすい素材で制作しています。各パーツともディテールにこだわり、つややかな仕上がりに。弱さと美しさの分だけ、シニカルな感じのする作品です。


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B1は平面作品が中心です。こちらでは、初日にオープニングパーティーや講演会が行われました。作家さんたちも来場されて、ご覧の通りの大盛況でした。


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出品作家さんの中にはこの方も。
キリン・アート・アワード2002で最優秀作品賞を受賞し、海外のオークションでも人気の高い佐藤好彦さんです。
 今回出品の《Business Prosperity》は、おなじみのギターのエフェクターをモチーフにした作品。エフェクターのつまみは25個、作品のサイズは25.0×25.0cmと、「25」にこだわって制作されたそうです。
《Business Prosperity》の意味は「商売繁盛」ですので、「しょうばいはんじょう」→「一半升」→「二升と一升の半分」→「25」ということなんですね。リーマンショック以降、経済の分野では信じがたいような出来事がたくさん起こっていますが、そんな気持ちを明るくしてくれるような縁起のよい作品です。

ちなみに、昨日はこの方も来場されていました。
日本画家の千住博さんです。
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本多恵理さん(写真・右)の作品を熱心にご覧になっていらっしゃいました。


さて、今回の展覧会、普通のグループ展とは異なる特徴的なことがあるそうです。
それは、入札制のオークションによって作品の購入ができるということ。会場で展示をご覧になった後、その場でご希望の作品の入札のお申し込みができるとのことです。もしお気に入りの作品がありましたら、ご参加されてみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ:Archives実行委員会 0467-46-1338
                      (会期中のみ 03-3569-0030)
ホームページ:http://www.geocities.jp/archives_shonan/index.html

みなさまのご来場を心よりお待ちしています。


Archives
会期:2009年6月2日(火)~6月7日(日)
時間:10:00~18:00 ※最終日15:00まで
会場:シンワアートミュージアム(当社1F)
主催:湘南美術学院 
入場料:無料


(執筆:S)

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