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日曜日は近代美術オークション

先週のコンテンポラリーに引き続き、近代美術オークションの下見会がオープンしました。
もうご覧いただきましたでしょうか?
まだお越しになっていないお客様、今週のオークションは11/9(日)ですので、
明日土曜日は18時まで、日曜日は13時まで下見会を開催しております。
ぜひぜひお越しください!

 音声ガイド
すっかりおなじみ?の音声ガイド →
いつもお聴きくださってる皆様、ありがとうございます!
今回も20作品分ご用意してあります。 


さて、秋は大きな展覧会が目白押しですが、
東京国立博物館で開催中の「大琳派展」はご覧になりましたか?
先日入場者数が20万人を突破し、連日大混雑のようですね。
金銀をふんだんに使用した豪華な色彩と、豊かなデザイン性が今見ても新鮮ということで、多くの雑誌に取り上げられ、ブームが再燃しているようです。

今回の近代美術オークション出品作家の中にも、琳派に憧れ、その影響を受けた人たちがいます。加山又造や平松礼二の装飾美へのこだわりは、まさに現代の琳派と呼んでもよいかもしれません。
特に、Lot.35 前田青邨《風神雷神》は、俵屋宗達や尾形光琳など、琳派の絵師たちが描き継いだ画題です。風神と雷神が乗る雲には、彼らにならって青邨が得意とするたらし込みの技法を使っています。
ですがもちろん、神様たちの愛嬌のある表情、線の魅力と墨の味わいを生かした表現はまさしく青邨流です。

下見会場20081107
↑ 1F日本画コーナー。加山又造や平松礼二はこちらに展示しています。


また、最近は琳派とともに注目を集めつつあるのが民藝。ご存じの方も多いかと思いますが、民藝とは「民衆の工芸」のこと。民衆の生活のための実用品を指す言葉として柳宗悦が提唱し、陶芸家の濱田庄司、河井寛次郎、版画家の棟方志功らが、人間の生活に欠かせない「平常の美」を豊かに表現しました。

 志功コーナー20081107
1F棟方志功コーナー →
今回はたくさん出品されます。
というわけで、本日ご紹介するのはこちら。
棟方志功の作品です。


Lot.28 《門舞頌 古記の柵》
 各紙面:127.5×61.0cm 各画面:125.0×58.0cm
 紙・板画 額装
 各印あり
 各棟方志功鑑定委員会鑑定登録証付
 エスティメイト \2,500,000 – \4,000,000


昭和16年、第16回国画会展に《門舞男女神人頌》として出品した全16柵のうちの4柵。この4柵(《東西南北頌》と題された)のみは先行して昭和14年に発表されました。今回のオークションに出品される本作品も4柵で1組、同じ板木を使って摺られた同型作品になります。この画題について、志功は次のように語っています。

「題材は仏さまに類したものがそれまでに多いので、神さまの形をかりてと思い、大和武尊以前の化け物、歴史の上にまだ姿をあらわさない混沌たる世界の人物を板画にしようと思いました。木花咲爺姫(このはなさくやひめ)、弟橘姫(おとたちばなひめ)代から段々に神代にさかのぼって十六枚の板木に彫り、八曲一双の屏風にしようと思ったのです。門舞という意味は、日本の一番最初の者たち、いわゆる門の中ではなく、門の外までのところ、大和武尊を門に入る人として、それ以前の超性の者を対象にしたところからきた名です。そういう者が、手をあげ足をあげ踊りを踊っている。」
 (『生誕100年記念 棟方志功展―わだばゴッホになる―図録』 より)

門の中とは、ヤマトタケルが登場する日本の歴史のこと。ここでは、ヤマトタケル以前の門の外、つまり歴史以前の混沌とした世界に住む神々が踊る姿を中心に描きだしています。
4柵は左から、《ヤマトタケルの柵》、《コノハナサクヤの柵》、《スサノオの柵》、《アメノウズメの柵》です。(カタログをご参照ください)

白と黒のはっきりとしたコントラストや神様のデフォルメされた形に、志功が曲った木をそのまま板木として使ったために加わった体の動感、神話の世界の超性を持つ神々の雰囲気が見事に表現された作品です。

今回は棟方志功作品が充実していますので、独特の味わいのある雰囲気を、
ぜひ実物をご覧になってお確かめください。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。

                                        (執筆:S)

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