生誕120年 小野竹喬展レビュー


 3月2日(火)より東京国立近代美術館では「生誕120年 小野竹喬展」を開催しています。
 まだ寒さの残る展覧会初日、じっくり堪能してきましたのでご紹介致します。


(※会期終了のため画像を削除しました)

小野竹喬 《奥の細道句抄絵 田一枚植ゑて立ち去る柳かな》
1976年 京都国立近代美術館蔵


 明治22年(1889)に生まれ14歳で京都に出てから、昭和54年(1979)に89歳で逝去するまでの画業を辿ることができる、見ごたえのある展覧会です。
 初公開の作品が11点、本制作119点、素描52点が展示されています。



(※会期終了のため画像を削除しました)
小野竹喬 《奥の細道句抄絵 暑き日を海にいれたり最上川》
1976年 京都国立近代美術館蔵


 こちらは展覧会カタログの表紙ともされている作品。
 もとは作品に貼られていた直筆の句も、今回は別に展示され、見ることが出来ます。

 シンワアートオークションでも非常に高い人気を集め、男女を問わず愛されている竹喬の作品。
オークションでは、戦後の平明でパステルトーンの色調が美しい、いわゆる竹喬様式のものが出品されることが多いのですが、今回の展覧会ではそれは後半に展示されています。

 全てのキャプションに、制作年と年齢が表記されていて、このような様式美に到達したのが、50歳を過ぎてからなのだということを知り、驚きました。
 銀座の画廊の方々からは、日本画家の一生は長いとよく聞きますが、竹喬の作品からは、絵の味がゆっくりと深化していく様が手に取るように分かります。



(※会期終了のため画像を削除しました)
小野竹喬 《島二作(早春・冬の丘)》
1916年 笠岡市立竹喬美術館蔵


 《島二作(早春・冬の丘)》は、作品の中央にセザンヌのサント・ヴィクトワール山に似た山が描きこまれていたりして、従来はセザンヌや西洋絵画からの影響を受けた作品として解釈されてきたそうですが、今回の展覧会カタログでは今村紫紅から学習したものとの見方が指摘されていました。



(※会期終了のため画像を削除しました)
小野竹喬 《樹間の茜》
1974年 笠岡市立竹喬美術館蔵


 85歳のときに描かれた作品です。これについては画家自身がインタビューに答えており、珍しく制作する前に写生に行かずに描いたものとのことです。
 カタログでは、晩年に辿りついた心象風景画と位置付けられています。
 実際、非常に印象的な構成で、このような茜空を心に思い描くことの出来る画家の、粋な内面を感じさせる作品でした。


 小野竹喬展は4月11日(日)まで。
竹橋で春のお堀を眺めながら、お出かけされてはいかがでしょうか。


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 抽選の結果は発送をもって代えさせて頂きます。(頂いた個人情報は発送作業にのみ使用させて頂きます。)

(井上素子)



■■生誕120年 小野竹喬展 ■■

会場
東京国立近代美術館

会期
2010年3月2日(火)~4月11日(日)
会期中、一部の作品を展示替します。
前期:3月2日-3月22日
後期:3月24日-4月11日

開館時間
10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
※入館は閉館30分前まで

休館日
月曜日[2010年3月22日(月・振休)と3月29日(月)は開館]、3月23日(火)

観覧料
一般 1300円(900円) 
大学生900円(600円) 
高校生400円(200円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
中学生以下、障害者手帳をお持ちの方とその付添者(1名)は無料。
※それぞれ入館の際、学生証等の年齢の分かるもの、障害者手帳等をご提示ください。

主催
東京国立近代美術館、毎日新聞社、NHK、NHKプロモーション

協賛
日本写真印刷、毎日ビルディング