月別アーカイブ: 2011年6月

BAGS/JEWELLERY&WATCHES下見会@銀座

先週、長谷川利行コレクション・近代美術オークションにお越しいただいたお客様、誠にありがとうございました。
7月には、BAGS/JEWELLERY&WATCHES・近代美術PARTⅡオークションが2日・9日の土曜日に連続で開催される予定です。
今日は、本日から銀座でスタートしたBAGS/JEWELLERY&WATCHES下見会の様子を少しだけお伝えいたします。

今週のBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションでは、夏本番となってきた今の季節に相応しいコレクションが多く出品されます。


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まず、下見会場に入ると、各ブランドの夏コレクション・バッグが涼しげに皆様を迎えます。コーチからヴィトンまで、お好きなブランドの中からこの夏のお供をチョイスされてはいかがでしょうか。


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上は、Lot 407ルイ・ヴィトンのペガス50です。50×35×18cmのコンパクトなサイズ、鮮やかなポム・ダムール色やヴェルニ素材の軽さは、いつものお出かけをもっとオシャレで気持ちの良いものにしてくれそうです。


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また、こちらはバッグオークションで毎回注目を浴びるエルメス・コレクションです。今回もよりたくさんの商品が用意されております。全133ロット中、メンズ・レディースのバッグはもちろん、ベルト・デスクパッド・キャリーバッグなどいろいろな種類やサイズの商品が43点も出品されます。エルメスのファンの方ならぜひご来場の上お試しください。


バッグだけではなく、今回のJEWELLERY&WATCHESオークションも夏向けとも言えるような品揃えです。


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中でも、たくさん出品されますホワイト・ゴールドのダイアモンドピアスは目が離せません。洗練されたホワイト・ゴールドにダイアモンドの輝き、そしてどのようなファッションにも似合いそうなユニークなデザインは、年齢を問わずお勧めです。


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また、ティファニー、カルティエなどのブランドジュエリー・コーナーもぜひご覧ください。中でも、Lot 243ヴァン クリーフ&アーペルの「ダイアモンドピアス・マルチストーンチャーム7点セット」は、お出かけ先やその日の気分によって多彩なチョイスができる組み合わせとなっています。


他にも、真珠コーナーや時計コーナーも充実したコレクションで、皆様のご来場をお待ちしております。
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今年も猛暑が続きそうですね。皆様、銀座にお出かけの際は、下見会場でジュエリーやバッグをご覧になりながら一休みされてはいかがでしょうか。

(執筆:W)

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孤高の天才画家・高島野十郎の《水蓮》

みなさまは高島野十郎という画家をご存じですか?
ここ数年、テレビ番組や美術雑誌の特集でご覧になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。近代洋画コレクターの方なら、作品を探してもなかなか手に入らない「幻の画家」として記憶していらっしゃるかもしれませんね。
その高島野十郎の作品が6月26日の近代美術オークションに出品されます!

野十郎は、画壇とは無縁の制作活動を行っていたため、生前ほとんど名前を知られることがありませんでした。彼が脚光を浴びたのは、没後5年を経た1980年のこと。そのきっかけは福岡県文化会館(現・福岡県立美術館)の企画展に《すいれんの池》(1949年作・同館蔵)という作品が展示されたことでした。この1点の魅力によって画家の研究が進み、各地で回顧展が開催され、次第にマスコミで取り上げられるようになっていきます。こうしてようやく高島野十郎という類まれな才能が評価されるようになりました。

今回出品されるのはこちらの作品です。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】


Lot.240 高島野十郎(1890-1975)
《水蓮》
60.6×50.0cm
キャンバス・油彩 額装
1974年作
左下にサイン
裏・裏板に署名
「孤高の画家 高島野十郎展」出品
(2000年/柏市民ギャラリー)
エスティメイト \3,000,000~5,000,000



1890年、野十郎は福岡県久留米市の酒造業を営む家に生まれました。東京帝国大学農学部水産学科(現在の東京大学)を首席で卒業し、将来を嘱望されながらも画家の道を選びます。しかし、師につくことや美術教育を受けることはなく、「世の画壇と全く無縁になる事が小生の研究と精進です」※と決め、個展を主な作品発表の場としました。自ら設計した質素なアトリエで一人制作に没頭し、鋭い観察眼と仏教的な思想により一貫して写実を追究した画家です。
 
水蓮を題材とした作品は、野十郎の発見につながった前述の《すいれんの池》や、死期を悟った画家が遺品として姉に渡した《睡蓮》(1975年作)など、印象的なエピソードとともに現在、数点が確認されています。水蓮は仏教において「蓮華」として浄土を象徴する花。仏教に傾倒した野十郎にとって思い入れの強い題材であり、それを描いた作品には画家の精神性が色濃く投影されたということでしょう。

本作品は、白い花と蕾、複数の葉を池に配し、画面左下に岸に咲く菊を描いたものです。徹底的に凝視し、克明な写実と堅牢なマチエールで表現した情景からは、「花一つを、砂一粒を人間と同物に見る事、神と見る事」※という野十郎の強い信念が伝わってくるようです。またここでは、野十郎は余計なものを削ぎ落とし、極めて平面的に池を描き出しました。よってそれは、夕暮れの空の色と水蓮の影をわずかに映しながら、模糊として深々とした異次元のような空間として見て取れます。この世のものではないような気配と静寂に満ちた池に咲く、白く清らかな水蓮の花。その情景は野十郎が思い描いた浄土の世界なのかもしれません。

※『高島野十郎画集 作品と遺稿』求龍堂 2008年

明日23日(木)から始まる下見会でぜひ実物をご覧ください。
下見会・オークションスケジュールはこちら
皆様のご来場を心よりお待ちしています。

(執筆:S)

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東日本大震災復興支援チャリティオークション@ハーマンミラーストア

先日松屋銀座で行われたチャリティオークションの模様を当ブログにてご報告しましたが(記事は下へ↓)、今回は5月20日に東京丸の内のハーマンミラーストアで開催されましたチャリティオークションについてレポートします。

今回のチャリティオークションは、この度の震災で被災された方々や東北地方の復興のために、一人一人の小さな一歩を合わせて大きな力にしていこうという趣旨の下、イームズなどのデザイン家具でおなじみのHerman Miller Japan、ラグジュアリーブランドのBally Japanなど数社の共催で開催されました。シンワアートオークションはこのイベントの運営協力をさせていただきました。

気になる出品商品は……、
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ハーマンミラーを代表するアイテム、「Aeron Chair」(写真左)と「Eames Shell Chair」(写真右)をはじめ、

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ラベルカラーがおしゃれな「ドンペリニョン ヴィンテージ2002 アンディ・ウォーホル」(写真左)や野尻湖ホテルエルボスコ宿泊券(写真右)、センチュリーコート丸の内のフレンチ・ディナー券、Ballyのウォレットなど、超豪華なラインナップです!

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控室で出番を待つ商品たち。この日は合計40点が出品されました。

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会場となったのは丸の内のハーマンミラーストア。
今回は女性オークショニアの長が担当しました。震災で亡くなった方々へ黙とうを捧げた後、いよいよオークションがスタート。初めてオークションに参加される方も多いので、まずは全員で競りの練習です。

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軽食やドリンクもふるまわれ、オークションは終始和やかな雰囲気で進行しました。
マグカップやTシャツなど、人気商品のロットは大盛り上がり!目玉商品の「Aeron Chair」や「Eames Shell Chair」のロットではじわじわと競り上がり、息を飲む展開となりました。

以前のブログにも書きましたが、出品者様と落札者様の思いが被災地に届けばいいなあとチャリティオークションではいつも感じます。震災から3ヶ月が経ち、被災地への義援金はかなり減少傾向にあるそうです。復興のための支援は継続的に必要なので、日々の小さな一歩を合わせ、大きな力にしていけたらいいですね。シンワアートオークションは引き続き、積極的にチャリティ活動に携わっていきたいと考えています。

(執筆:S)

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米で描くアーティストLee・DongJae

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『icon』
acrylic, bean on canvas / 72.7×92cm / 2005

上の作品は、豆(bean)で再現されたイギリスのコメディの主人公、「ミスター・ビーン(Mr. Bean)」。
米に代表されるいろいろな穀物で時代のアイコン(icon)を描いてきたLee・DongJae(イ・ドンゼ)は、韓国をはじめ、世界各国で開催される個展やグループ展で活躍する若手の作家。韓国では彼が使用したはじめての素材が米であったことから「米で描く作家」としてよく知られています。また、アジアを中心にヨーロッパやアメリカの各オークション会社からのラブコールが多いLeeの作品は、韓国のオークション界ではすでにブルーチップ作家として認知されています。
上のミスター・ビーンの他にも、「米」で表したアメリカのライス国務長官や、レジン(resin)のモチーフで知られるイギリスの作家ダミアン・ハーストの顔を、またレジンで完成させた作品(下)など、作家の面白い逆転の発想は、観る人に愉快な気持ちを与えてくれます。


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『icon』
acrylic, resin on canvas / 120×120cm / 2008
<イギリスの作家、ダミアン・ハースト>

一色で綺麗に塗られたキャンバスの上に、コーティングした一個一個の米や豆、アワやカプセル剤、あるいはクリスタルなどを丁寧に集中して貼り付けるLeeは、「オブジェの有機性、物質と図像との有機的な関係、図像の有機的な拡張」という意識を持ちながら制作を進めるそうです。つまり、20世紀を代表する有名な人物の肖像というモチーフは、観客へのアプローチとして作用し、米に代表されるいろいろな素材は、それ自体が有機性をもつ物質であること、そして人間の体を構成・維持する食べ物としての「米」と、また別の有機体としての人間の「体」との間に生じる関係性や拡張を表しています。

 Leeの作品によく登場する、マリリン・モンロー、アンディ・ウォーホル、ルイス・アームストロング、マザー・テレサ、ナムジュン・パイク、ジョン・レノン、チェ・ゲバラなどの、芸術家・政治家・宗教家にわたる20世紀を代表するアイコンたちは、各界での熱情的な活動を果たし、また歴史の中に去って行った人物が多く見られます。彼らは、作家の有機的な作業によって生成と消滅の繰返しと言われる人類の歴史の中にまた新たに生き返ったように見えます。

日本では2009年の冬、東京での日・韓グループ展で彼の作品を見ることができましたが、今後ともLeeの日本での活動を期待したいと思います。


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『rice_price』
acrylic, rice on canvas / 91×116.7cm / 2004


【プロフィール】:Lee・DongJae (B.1974)
1999 (韓国)Dong-Guk大学校 美術学科 卒業
2002 (韓国)Dong-Guk大学校 大学院 美術学科 卒業

【レジデンス】
2006-2009 ジャンフン(Jang Heung)・アトリエ、ジャンフン
2008 パリ国際芸術共同体 / Cite Internationale des Arts, Paris

【個展】
2009 Two Icons (Gallery Artside Beijing SpaceⅡ, 北京)
2008 icon (Cite Internationale des Arts, パリ)
2007 The Contemporary (Insa Art Center, ソウル)
2004 rice_price (Insa Art Center, ソウル)
rice, rice (Seoul Arts Center, ソウル)
2003 seed (Gallery Chang, ソウル)

【主な団体展】
2011 Beyond Limits (Shinsegae Gallery, ブサン)
記憶の未来を追いかける人たち (Gana Art Center, ソウル)
2010 思惟の森(Youngeun Museum of Contemporary Art, 光州)
My Room Our Atelier (Gana Art Center, ソウル)
2009 The Great Hands (Gallery Hyundai, ソウル)
未来の作家 (Gallery Rho, ソウル)
2008 Real Illusion (Gana Art Gallery New York, ニューヨーク)
Let a thousand flowers blossom (Cite Internationale des Arts, パリ)
2007 ARCO art fair, Spain (Juan Carlos I Exhibition Centre, マドリード)
SH Contemporary Art fair (上海)
2006 Contemporary Asian Art (Sotheby`s New York, ニューヨーク)
10 Faces of DAKS (DAKS Plaza, ソウル) 



<執筆:W>

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