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新年明けましておめでとうございます

 新年明けましておめでとうございます。
本年もより良いオークションを目指し、社員一同頑張って参りますのでシンワアートオークションをよろしくお願いいたします。そしてまた、作品の情報、日々のあれこれなどをこのシンワブログで綴っていきますので、こちらもチェックしてみて下さいね。

 さて、お正月。一年のうちで一番華やかで、伝統文化を身近に感じる季節です。正月飾り、正月料理、そして羽子板、福笑いなどの正月遊び。旧年が無事に終わったことを喜び、新年が明けたことを祝う。隅から隅まで祝福気分を表現するために昔の人々は、語呂合わせを用いて縁起を担ぎました。
 たとえばおせち料理なら、昆布巻きは「喜ぶ」の「こぶ」から。また「子生婦」の当て字も使い子宝に恵まれるという意味も持たせています。他にも同じ子宝という縁起の意味では、ニシン(二親)の子、数の子などもあります。そのほか、「めでたい」から大黒様の持っている鯛の塩焼き。「まめに働く」ようにと黒豆。そして鏡餅の上に飾るだいだいには、「代々」子孫が繋がるという意味が含まれています。この鏡餅は、一月十一日または二十日の鏡開きまで飾られ、お汁粉やお雑煮などにして食されます。今年一年の無病息災を願い、お正月は終わるのです。鏡開きが二種類あるのは、松飾やしめ飾りが飾られている「松の内」という期間が地方によって変わるためです。松の内は大きく分けて七日か十五日に分かれています。関西方面では十五日が多いようです。ではこの七日に何をするかというと、正月飾りを外し、七草粥をいただきます。鏡開きと同じように、無病息災を願って食べられます。最近では、スーパーなどでも「七草セット」が売られていますね。お正月に関するグッズも年々増えて、年々現在の暮らしにあったものになっているように思います。鏡餅もプラスティックで作られていたり、しめ飾りも100円ショップで売られていたりと値段の幅も相当なものです。
しめ縄3

松飾りといえば、私の地元では変わった言い伝えがあり、門松を立てない風習があります。小学校に上がると習うのですが、「郷土かるた」というものをまず覚え、市の歴史、風習を学びます。そこで「松を立てない正月飾り」という「ま」の句が出てきます。そしてその句の意味は「まつはきらい」という絵本でさらに補足されています。
まつはきらい 文入2

 内容を簡単に説明しますと、市の中心地にある大国魂神社にまつわる言い伝えです。
 むかし、大国魂神社の明神様が八幡さまに誘われ、武蔵野の地を散歩しました。そのうち日が暮れて暗くなり、疲れた明神さまは座りこんでしまいました。八幡さまは泊めてくれる家を探してくると言って、東の方へ出かけていきました。そして良い宿を見つけたのですが、あまりにも居心地がよかったので明神さまを呼びには行かずそこに居座ってしまいました。そしてずっと待たされた明神さまは「待つのは、辛いなあ」と呟き、「待つは嫌い、まつはきらい」と独り言を言い続けました。ここでまた掛詞です。「待つ」と「松」を掛け、それ以来市内では松を植えてはいけない、といわれるようになったそうです。そして門松代わりに門竹が飾られました。今では門松を立てる家や企業も増えてきてはいますが、やはり神社周辺では少ないように思います。
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茶席でも掛け言葉ではないにしろ見立ての美で松竹梅を取りそろえる事もあります。
梅の絵の軸に竹の茶杓、松をあしらった釜。更に釜の煮立つ音は松林をすり抜ける風のようだとして「松風」と呼ばれています。
 伝統を身近に感じる絶好の季節です。残る鏡開きまで行ってみると、一年を気持ちよく迎えられる準備が整うかもしれません!
ぜひ「お正月」を最後まで十分に堪能してみてください。

執筆者:E

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Christmas in Ginza 2012

先週の土曜日、BAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションが終了し、これで2012年開催した25回のオークションが全て終了いたしました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

さて、今年も残すところあとわずかとなりました。本年最後のブログは、昨年に引き続きこの時期街を彩る銀座界隈のイルミネーションをご紹介したいと思います。

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まず初めに、昨年も取り上げたミキモトのジャンボクリスマスツリー。高さ10m、3000個のイルミネーションが輝くこのツリー、本店前に飾られるようになって今年で何と35年目!もはや銀座の冬の風物詩でもあります。中央にはミキモトらしく真珠ネックレスの装飾がツリーを彩っています。多くの人が集まるこのツリーを眺めながら、私もミキモトにあやかり、来年もよいジュエリーの出品がたくさん集まるよう願いをかけてまいりました。


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そのミキモト本店もある銀座中央通りと晴海通り沿いには、「GINZA ILLUMINATION(ギンザ・イルミネーション)2012 ヒカリミチ」と銘打たれ、約16万個ものイルミネーションが歩道を埋め尽くし銀座の夜を美しく彩っています。仕事中の移動で歩いているだけなのに、街の喧騒とこの光に包まれているとなんだか自然にクリスマス気分が盛り上がってきてしまいます。


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ミキモトのある4丁目から中央通りを京橋方面へ歩くと、反対側には今年で5周年を迎えたイタリアのハイジュエリーブランド(2011年よりフランスのLVMHグループの傘下となりましたが)ブルガリの旗艦店に、巨大な蛇が巻き付いています。この62mの輝く蛇、「セルペンティ(イタリア語で蛇の意)」と呼ばれ、ブルガリのアイコンモチーフでもあり、ブランドを代表するジュエリーのデザインとしてダイアモンドネックレスやブレスレットとしても高い人気を誇っています。


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さらに先へ進むと、2丁目にある田中貴金属には、今年もありました、純金のツリー!今年はウォルト・ディズニー生誕110周年を記念して製作された、その名も「ディズニーゴールドクリスマスツリー」。50のディズニーキャラクターを純金のプレートで形取り、ゴールドチェーンで飾られた3段回転式のこのツリー、総重量は40㎏で販売価格はなんと3億5千万円!!きらびやかに回転する様子を眺めながらその金額を思うと、別の意味で目が回りそうになりました。


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最後にご紹介するイルミネーションは、銀座から少し歩いて丸の内へ。丸ビル建て替え以降、今や銀座に並ぶショッピング街となった丸の内仲通り。東京駅の復元工事も完了し、ますます賑わいを増しています。今年もいち早く10月からイルミネーションを点灯。こちらのイルミネーションは、実行委員会がオリジナルで開発した使用電力を従来の1/3に抑えたエコイルミネーションだそうです。
有楽町方面から東京駅方面を眺めると、丸ビルがシャンパンゴールドの光の向こうにそびえ立つのが見え、我々のオークションもこの光の道のようにもっともっと輝かねば、と少し気持ちが引き締まった気がしました。

このブログも、本年はこれが最後の更新となります。今年も週1回ペースで、つたない文章ではありますが主に美術に関する様々な内容の情報を発信してまいりました。今後も皆様に楽しんでいただけるよう執筆担当一同精進してまいりますので、2013年もシンワブログをご愛読の程、何卒よろしく願いいたします。

(平野)

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比べてみる日・韓のお箸

こんにちは。
韓流という言葉が流行りはじめたのももうだいぶ前のことですね。今は韓流ドラマやK-Popにはまっている人に会うのもそんなに珍しくありません。シンワの中にも何人かいます。
それとともに韓国料理が好きになり、辛いものにも慣れてきたという人もかなり増えてきたようです。韓国出身である私ですが、近年韓国の文化や生活習慣などについての質問を受けることが多くなりました。その中で最近あった質問が「なぜ韓国のお箸は鉄なのか?」というわけで、今日は韓国のお箸についてお話してみようと思います。

皆さんのご想像のとおり、答えはズバリ「食文化の差」です。アジアの中でお箸を使用する国として日本・韓国・中国がよく知られていますね。そもそもお箸の文化は中国から韓国へ、そして日本へと伝わってきたのが定説のようですが、各国の食文化に合わせて形は変化してきました。

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< 上から日本・韓国・中国のお箸>

日本の場合、明治以前は魚や野菜が主食であったことから、魚の身がきれいにとれるような短くて先のとがった形になったそうです。また他の国に比べて少食で、めいめいお膳で食事をとるスタイルであったことから、軽くて短いお箸がちょうどよかったのかもしれません。

中国は、昔から大家族が一緒に暮らす文化であり、家族みんなが大きなテーブルに円座して食事をします。その時、遠いところにあるものを取るためにはちょっと長いお箸が必要だったようです。また、油を使った料理が多い中国では、熱い揚げ物や炒め物の熱気が手に伝わらないような素材と長さのお箸が必要であったのだとも考えられますね。

韓国の食べ物は、唐辛子やにんにくなど、色や臭いが濃い食材を使うこともあり、色や臭いが付きにくくて、洗いやすいものでないときれいに長く保管するのが難しかった事もあり、鉄のお箸が広まったようです。割り箸でキムチを食べた後のことを思い浮かべていただくとわかりやすいかもしれませんね。
また、鉱業が昔から発達していたのも理由のひとつだそうです。

その他日本や中国との大きな違いは、お箸と一緒にさじを使うことです。食卓には同じ素材で作られたお箸とさじがセットで用意され、ご飯とスープはさじで食べるのが韓国の正しいマナーです。

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< このような置き方です。>

素材には、真鍮・銀・ステンレスなどが使われます。真鍮は重くて管理や保管が難しいため、一般の家庭ではあまり使われていませんが、古くからの素材として高級店などでは今もよく用意されています。高級な料理をこのお箸でいただいたら昔の韓国の風情を感じられるかもしれませんね。
銀は一般の家庭でも比較的よく使われています。昔は王族の食器として使われていた銀ですが、現代では、新しい家庭の福を祈るという意味で、嫁入り道具のひとつとして用意するのが慣習にもなっています。
でも、やはり普段使いや普通のお店で使われているのは、断然ステンレス素材です。安価で、軽くて、管理しやすいという利便性は圧倒的ですね。

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< 左からステンレス・銀・真鍮の順>

ちなみに、韓国では「金のさじ・箸を噛んで生まれた人」ということわざがあります。これはお金持ちの子供に生まれて何の努力もせずに豊かな人生を過ごす人に対するちょっと皮肉な言い方として使われたりもします。

(執筆:W)

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Christmas in Ginza

先週のBAGS、JEWELLERY&WATCHESオークションが終了し、これで2011年のオークションも無事すべてが終わりました。ご参加いただいた皆様本当にありがとうございました。
師走に入り残すところ今年もあと3週間、オークション会場のある銀座界隈はクリスマスや忘年会で人出も多く、街中は綺麗なイルミネーションで彩られています。今回はこの時期にしか見ることのできないそんな銀座のクリスマスツリーを皆様にご紹介したいと思います。

まずはじめは、銀座のクリスマスツリーと言えばまず思い出されるのが中央通り4丁目のミキモトのジャンボクリスマスツリー。弊社ジュエリーオークションでも人気の高いミキモトの本店前広場にそびえる高さ10mの樅の木は、1976年以来今年で34本目となるそうです。そんな銀座の風物詩ともいえるこのツリー、今年は東日本大震災からの復興を願って「子供たちの夢」をテーマにした美しいイルミネーションが飾られています。私が行った日も周りでたくさんの人が写真など撮っていました。
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ミキモトジャンボツリー

中央通りを挟んだその向かい、銀座三越にはエントランスホールにこちらも同じく震災からの復興の願いを込めた「祈りのツリー」が飾られています。日本ユニセフ協会主催のプロジェクトである祈りのツリーは銀座エリアに5か所あり、募金活動やワークショップ、ミニコンサートなどが行われています。この時期たくさんの人が集まる銀座でこその活動と言えるのではないでしょうか。
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三越の「祈りのツリー」

さて、中央通りを京橋方面へ移動して2丁目まで来ると、目に飛び込んでくるのはクリスマスツリーではありませんが、綺麗なイルミネーションで飾られたカルティエのブティック。ジュエリーはもちろん、昨年から本格的に始まったブランドバッグのオークションでも根強い人気を誇っています。今年はニューヨーク5番街の店も同様のイルミネーションで飾られているとか。いつか私もここで素敵なプレゼントを買いたいですね。
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カルティエのイルミネーション

さらに中央通りを進んで1丁目。ここには少し趣向の変わったツリーがあります。貴金属の取り扱いの老舗、田中貴金属のウィンドウにはなんと高さ2.4m、純金の総重量約12kgを使用した参考価格約1億5000万円相当!のゴールドクリスマスツリーが飾られています。今年は金の価格が高騰し弊社オークションでも純金製の工芸品が多数出品され、中には金の相場を大きく上回る金額で落札された作品もありました。純金の胡蝶蘭やハートで装飾されたこのツリーは華道家の假屋崎省吾氏のデザインだそうです。
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純金のクリスマスツリー!

今度は1丁目から一気に8丁目へ。外堀通りのリクルートビルの前には大きな青いクリスマスツリーがあります。新橋から銀座への入り口となるこの場所、日中は買い物客や観光客もあまり多くは通りませんが、日が暮れるとこのあたりは飲み屋さんの多い夜の街へと変貌し、この忘年会シーズンは遅い時間まで人出があります。飾りも特になく昼間はちょっと地味ですが、夜になると冴えたブルーのイルミネーションが輝き向かいのタクシー乗り場に並ぶ酔客たちの目を楽しませているこのツリー、この場所にふさわしく思えるのは私だけでしょうか?
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リクルートのツリー

弊社でも、先週のBAGS、JEWELLERY & WATCHESオークションの下見会の間にクリスマスツリーを飾っていました。上記のツリーに比べるべくもない小さなクリスマスツリーでしたが、下見会場の雰囲気を盛り上げるのに一役買ってくれました。
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我らがツリーです

クリスマスムードが否が応でも盛り上がるこの時期、大切な人へのプレゼントなどを買いに銀座へお越しの際には、少し足を延ばして色々な思いのこもったこれらのツリーを見に行ってみてはいかがでしょうか。

(執筆:平野)

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浮世絵オークション見どころ2 名所絵

 226ロットもの浮世絵が集まった「浮世絵オークション」が3月20日(土)に開催されます。
今日はその中から、「名所絵」というジャンルについてご紹介します。


<名所絵とは>
 江戸の浮世絵師は美人画や役者絵ばかりでなく、伝統的な山水画や風景画も手掛けました。
 浮世絵の題材としては、初めあまり一般的ではありませんでしたが、葛飾北斎(下図)や歌川広重らが、西洋から輸入された遠近図法と山水画・風景画の伝統を結び付けて豊かな芸術性を発揮し、流行するようになりました。

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Lot337 葛飾北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》
26.0×38.1cm
落札予想価格800万円~1100万円



<浮世絵の名所絵>
 特に江戸の後期には、旅行ブームに乗って「街道絵」と呼ばれる名所絵が人気を博しました。旅の体験をもとに、街道の風景を情緒あふれるイメージに描き出した作品は、現在でも世界から高く評価されています。

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Lot335 歌川広重 《保永堂版 東海道五十三次 五十五点揃》
各24.6×37.5cm
落札予想価格 500万円~800万円



<屏風形式の名所絵>
 浮世絵が誕生したのは17世紀後半のことですが、それを生みだすもとになったのは、16世紀から17世紀にかけて上方で流行した近世初期風俗画でした。
 それまで武家や富裕な町民が生活する屋敷で、公共空間を装飾する襖絵や屏風絵として描かれていた題材が、次第に私的な空間で鑑賞するようになっていくのです。

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Lot385 作者不詳《名所絵屏風 -上:和歌浦図-下:日吉山王祭礼図》
各110.0×267.0cm 紙本・彩色 六曲一双屏風
落札予想価格 1,400万円~2,000万円


 今回のオークションに出品されるlot385の名所絵屏風は、紀州徳川家の城下町として栄えた和歌浦、徳川家康とゆかりの深い滋賀の日吉大社での祭礼の各場面を、上空から見た鳥瞰図(ちょうかんず)形式で描かれています。

 和歌浦は万葉集にも歌われた景勝地で、紀州東照宮で行われる和歌祭は古くから有名でした。
日吉大社は日本全国にある日吉・日枝・山王神社の総本山として知られています。

 作者・由来など詳細は不明ですが、このように、徳川家との縁を感じさせる画題から推測すると、かつては武家にあったものでしょうか。

 細部まで緻密に描かれた、シンワアートオークションでも滅多に出品されない優れた屏風です。

浮世絵オークション日程など詳細

(井上素子)

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地下鉄アート探訪

 今日は、アートへの視点をちょっと変えて、買うことは出来ないけれど無料で見られるアート、「パブリックアート」をご紹介します。


<副都心線のアート>

 シンワアートオークションで取り扱っている作家の作品が、地下鉄の構内で壁面を飾っているのをご存知ですか?
 東京メトロ副都心線の駅では、渋谷から池袋までの8駅のあいだに、14のパブリックアートがあるのです。

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中山ダイスケ《新宿躑躅(つつじ)》
@東新宿駅 B4F改札


 各作品の脇には、テーマや、作品が設置された駅に対する作家の思いが綴られた言葉がキャプションパネルとして貼られています。
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 副都心線の駅は近未来的な雰囲気が漂い、美術品の鑑賞にはピッタリの空間が広がっています。


<駅員さんご自慢のアート!>

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絹谷幸二《きらきら渋谷》
@渋谷駅 B3F 13番出口付近


 この作品は、アクリル無しでむき出しの凹凸が壁面を飾っています。
 絹谷作品にしばしば登場する音楽モティーフや文字を書き込む手法も見られます。

 JR渋谷駅の周辺は、若者文化の中心地というイメージがありますが、絹谷の描き出す渋谷は現代版「春の小川」なのだそうです。
 作品からは春を謳歌するエナジーがほとばしっています。


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千住博《ウォーターフォール》
@新宿三丁目駅 B2F 高島屋方面改札前


 どの作品も非常に分かりやすい場所にありますが、私が一か所見つけられずに駅員さんにお尋ねすると、とっても嬉しそうに
「○○さんの作品ですね!!それならここを出て・・・あ、でもこっちからの角度も良いですよ!」
と誇らしげにご説明下さいました。

 まるで、ご自身の家の自慢の絵について尋ねられた、美術所蔵家の方のようでした。


 副都心線では上記のほか、宮田亮平、木村光佑、山口晃、天津恵、山本容子、吉武研司、武田双雲、野見山暁治、大津英敏の作品を見ることができます。



<パブリックアートの歴史>

 以上見てきたように、公共空間に展示される作品はどれも大作です。

 こうした大型の絵画作品、過去には1930年代のニューディール政策下でパブリックアートが多く発注され、その影響でポロックやデ・クーニングら約40万点の作品が生まれたという歴史があります。

 これは市民の生活に美術を身近にする効果や、作品の大型化という流れを導きました。


 公共空間に設置される作品、という点ではミケランジェロの彫刻も、皇居外苑の《楠公像》も、同一のカテゴリーに入ります。

 しかし、それらが権力者の富や力を誇示したり権威を象徴したりするものであったのに対して、ポロックや絹谷幸二の作品は、市民に同時代の美術を浸透させる目的を持っているのです。

 今度、駅や公園でパブリックアートに出会ったとき、こういった視点でご覧になってみて下さい。身近にある作品がどちらの分類に入るか、面白いかもしれませんよ。

(井上素子)

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美術品の管理について~梅雨編~

 こんにちは。どんより曇ったり、晴れたり、雷が鳴ったり…と、不安定な天気が続きますね。昨年の流行語大賞トップ10に選ばれた「ゲリラ豪雨」が、今年も各地で発生しているようです。大きな災害が起こらないことを祈るばかりですね。

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さて本日は、梅雨時期の美術品の管理についてお話したいと思います。

 じめじめとした日が続く梅雨は、美術品にとっても湿気が大敵となります。作品の支持体となっている布や紙は吸湿性が高いため、空気中の湿度によって状態が変化してしまいます。それを安定した状態に保つために適した湿度、温度があります。

 作品の種類や環境によっても若干異なりますが、お部屋に飾ったり、箱にしまって保管しておく際は、湿度50~55%、温度20~25℃が適しています。これ以上の湿度や温度で展示や保管を続けると、絵画ならカビ、版画や写真でも波打ちやシミが発生する原因となってしまいます。美術館や博物館では、年間を通してつねにこの基準内で一定の湿度や温度を保っています。お客様の大切な作品をお預かりしている当社でも、保管環境には注意を払っています。

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例えばご自宅の場合、注意が必要なのは…、水まわり付近、玄関や窓の周辺、押入れ、そしてエアコンの風向きでしょうか。

 キッチンやお風呂の近くはどうしても湿度が高くなりがちですし、玄関や窓付近は外気の影響を受けやすくなってしまいます。エアコンの送風が直接当たる壁なども、温度変化が大き過ぎるでしょう。また、押入れは作品の保管場所にされがちですが、湿気がたまりやすいため、もし保管するなら除湿をしたり、晴れた日に作品を出して虫干しすると良いかもしれません。

 日本画がお好きな方はよくご存じかもしれませんが、日本画を保管する際に桐箱を使うのは、水や熱、虫害に強く、箱内の湿度を一定に保つ効果があるからなんですよ。昔から着物の収納に桐タンスが使われてきたのも同じ理由です。

 美術品をお持ちの方は、大切な作品を長く楽しむために、飾っているお部屋や保管場所の環境と湿度をもう一度チェックしてみてくださいね。


(執筆:S)

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デザイン家具のご紹介(2)

7月に入り、東京はいよいよ夏本番といった天気が続いています。
本日も10:00~18:00まで、銀座 シンワアートミュージアムにて下見会を開催していますので、是非遊びにいらしてください。

さて、先日に引き続き、デザイン家具を4点ご紹介したいと思います。


マークニューソン
Lot135マーク・ニューソン
「Sci-Fi Vase」

w33.0×d33.0×h34.0cm / セラミック / 1993
落札予想価格:10万円~20万円


現在世界で最も輝いているデザイナーの一人。大ヒットした、auのデザイン携帯talbyをデザインした人でもあります。世界最大規模のアートフェア、マイアミバーゼルの姉妹フェアであるデザイン・マイアミが選出する、デザイナー・オブ・ザ・イヤーを2006年に獲得して以来、その作品の取引価格もウナギ登りです。
今回の出品作品は、ちょっぴり不思議な形をしていますが、花瓶です。





デザイン2

パントン
Lot140、151ヴァーナー・パントン
「VPグローブランプ」

d60.0cm / アクリル、スチールクロムメッキ / 1969
ルイスポールセン
落札予想価格:40万円~50万円

「バチェラーチェア」
w52.0×d69.0×h75.0×sh40.0cm / スチール、布張り(キャンバス地)
1955/ フリッツハンセン
落札予想価格:12万円~18万円


代表作のパントンチェアはあまりにも有名。1967年に発表されるやいなや、プラスチックの一体成型という画期的なアイディアが世界中で絶賛されました。今回の出品作品のひとつバチェラーチェアは、彼の作品としては珍しく布が使われています。もう一点のVPグローブランプは、1970年にケルンで開催されたファニチャー・フェアのために製作された作品。アクリルの球体の中に入っているのは、赤や青にラッカーペイントされたアルミの反射板です。この作品は現在も復刻版が発売されていますが、本作品と同サイズの直径60cmのものは復刻されていません。




デザイン3
Lot146ジョージ・ネルソン
「ゲートレッグテーブル 4656」

w164.5×d112.0×h75.0cm / ウォルナット
19507’s / ハーマンミラー
落札予想価格:20万円~30万円


ジョージ・ネルソンは、1946年から22年間、本作品を生産しているハーマンミラー社のデザイン部長も務めた人物です。
このハーマンミラー社時代には、イームズ夫妻を見出しました。
また、デザイン以外にも、建築雑誌の編集長として活動したり、多くの著作も残しています。
今回の出品作品は、折りたたみ式のテーブル。復刻版は現在のところ発売されていません。




安藤

安藤忠雄
Lot157安藤忠雄
「ペインティングチェア」

w63.5×d68.6×h36.0cm / FRP、スチール、アクリル塗料
2007 / エディション3/3
落札予想価格:20万円~30万円


言わずと知れた、現代日本を代表する建築家。
近年では、表参道ヒルズや、先日開業したばかりの副都心線渋谷駅の内部空間(通称:地宙船)の設計を手掛けています。
今回の出品作品は、かつて、緑化再生運動「瀬戸内オリーブ基金」のためのチャリティーオークションに出品されたもの。
イームズ RAR シェルチェアにペインティングが施してあります。安藤忠雄ファンは是非!




シンワアートオークションHP

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デザイン家具のご紹介(1)

既に何度かご紹介しているデザイン家具。
実は、今回のセールに登場するのは、どれもヴィンテージ作品ばかりです。

今日はそのなかから3点をご紹介したいと思います。


ロン・アラッド
Lot134ロン・アラッド「トムバック チェアー」
w67.5×d63.0×h76.0×sh43.0cm / ロンアラッドアソシエイツ
アルミニウム、スチールクロムメッキ / 座面裏にサイン
座面裏にED 3/500
落札予想価格:40万円~60万円



一貫して商業デザインの世界のなかでアート性豊かな作品を送り出し続けているデザイナー。
出品作品は、1997年のミラノ・サローネ(世界最大規模のデザイン見本市)で展示するために、インテリア雑誌「ドムス」の依頼で制作されたものです。限定500脚のみ生産されました。



シャルロット・ペリアン
Lot150シャルロット・ペリアン「サイドチェア」
w43.0×d46.0×h75.0cm / オーク、ペーパーコード
1960 / エディション ステフ シモン
落札予想価格:10万円~15万円



20世紀を代表する建築家ル・コルビジェの弟子。1940年から一時期、輸出貿易強化の為、装飾美術顧問として日本に招聘され、柳宗理らと親交を結びました。
その時期に高島屋で開催された展覧会は、日本人アーティスト達に大きな影響を与えました。
海外で非常に人気があります。今回出品される作品は、現在のところ復刻版が発売されていません。


アルネ・ヤコブセン
Lot154アルネ・ヤコブセン「Centre テーブル」w151.5×d55.0×h47.0cm / ローズウッド、スチール
1958 / フリッツ・ハンセン
落札予想価格:20万円~40万円


モダニズム建築・デザインの巨匠。代表作の「セブンチェア」は、現在までに500万本以上が販売されています。今回出品される作品は、建物の設計からインテリアデザイン、照明やドアノブ、食器類などの細部までを一貫して手がけたラディソンのSAS(ロイヤルホテル)のインテリアとしてデザインされたものです。

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ボーナスでデザイナーズ家具?

会社にお勤めの皆さんは、そろそろボーナスが気になる季節ではないでしょうか。
その使い道は、お決まりですか?
「まだ」という方は、デザイン家具を1点手に入れてみてはいかがでしょうか。

以前にもご紹介したように、SUMMER+AUCTIONには、有名デザイナーの手による家具が出品されます。
セレブリティ達がコレクションしているようなミュージアムピースを手に入れるのは、なかなか難しいことですが、
今回は、少し手を伸ばせば手が届く格安の落札予想価格で、
イームズやルネ・ヤコブセン、柳宗理などアイコン的存在のデザイナーの作品が揃いました。

イームズ 
チャールズ&レイ イームズ「DCWチェア」        
w48.3×d50.8×h73.6×sh43.0cm
プライウッド
落札予想価格:10万円~15万円  
   
ヤコブセン

アルネ・ヤコブセン「Centreテーブル」
w151.5×d55.0×h47.0cm
ローズウッド、スチール
落札予想価格:20万円~40万円  



勿論、オークションはそれを手に入れたいと思う人が多ければ、価格が上がってしまいます。
でも、目当ての作品を手にいれることができても、たとえ出来なかったとしても
どの作品にビッド(応札)しようかあれこれ思案する時間や、会場でパドルをあげるドキドキも、全て含めて
“お楽しみ”なのがオークションです。

イームズ2

チャールズ&レイ イームズ「PAWチェア」
w63.5×d61.0×sh42.0cm / ファイバーグラス、バーチ、スチール
落札予想価格:15万円~20万円


ウェグナー

ハンス J ウェグナー「jh-801 ラウンジチェア2脚セット」
w78.0×d70.0×h77.0cm / レザー、スチール
落札予想価格:20万円~30万円




来週、7月2日(水)からはプレビュー(下見会)も始まります。
プレビューでは、全ての出品作品をじっくりご覧いただけます。

下見会が待ちきれない!という方は、
こちらのオンラインカタログで出品作品の概要がご覧いただけます。
https://www.shinwa-art.com/catalogue/cata_online/20080706c/

シンワアートオークションHP
www.shinwa-art.com

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