月別アーカイブ: 2011年4月

復興支援チャリティーオークション@松屋銀座“4.20 Message”

4月20日(水)松屋銀座にて、復興支援チャリティー“4.20 Message”が開催されました。
これは東日本大震災の復興支援のために様々なチャリティーイベントや商品を展開し、被災地のことを考え、行動する一日にしようと企画されたものです。
シンワアートオークションは、このイベントの「復興支援チャリティーオークション」にご協力させていただきました。

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松屋銀座エントランス →
文字美術家・遠山由美さんの「Heart Sutra」がイベントのシンボルマークです。

このチャリティーオークションは、各界の著名人やデザイナーから提供された私物やサイン入りのアイテムを来場されたお客様に競っていただくというもので、その売上金は日本赤十字社を通して被災地の復興・支援にあてられるそうです。オークションは、1階のスペース・オブ・ギンザにて正午からの第1部、午後6時からの第2部の2回に分けて開催されました。


スペシャルベストに女優の酒井美紀さんを迎えて始まった第1部は、35点の豪華な商品が出品されました。
主な出品商品は、
・大地真央さん(女優)「バカラの星型ペンダント」
・酒井美紀さん(女優)「手作りのブリザーブドフラワーアレンジメント」
・上田桃子さん(プロゴルファー)「パーリーゲイツのサンバイザー」
・東儀秀樹さん(雅楽師)「サイン入りエレキギター フェンダーUSAストラトキャスター」など。
ほかにもフレンチやイタリアンの名店のディナー券など、魅力的な商品がたくさん。昼の部は、銀座にお買いものに来られた女性のお客様が多く、大地真央さんのペンダントは特に盛り上がりました!

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会場風景。出品商品が目の前に展示     出張オークショニアは平野です。
されました。     

午後6時から行われた第2部のスペシャルゲストは、野球解説者の槇原寛己さんとスポーツジャーナリストの中西哲生さん。

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お二人のトークの模様です。         出品商品はサインボールとポロシャツの
                           セット。

同じく35点の商品が出品された夜の部は、お仕事帰りの方々も参加されて大盛況に。槇原さんと中西さんの商品のほかにも、以下のような豪華な品々が出品されました。
・黒谷友香さん(女優)「ブラック&ホワイト サイン入りポロシャツ」
・佐藤卓さん(グラフィックデザイナー)「佐藤卓プロデュース ロングボーダーリカちゃん」
・クリスチャン・ルブタン「サイン入りシューズとメッセージカード」
・マーク・ジェイコブス「サイン入りバッグ」 など。

会場でのオークションと同時に、入札式のサイレントオークションも開催されました。

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女優の藤村志保さん愛用のお着物と、   サッカーの川島永嗣選手、スポーツコメ
草刈民代さんの「白鳥の湖」衣装。      ンテーターの古田敦也さんのユニフォ
まさに超レアな逸品です。           ームなど。
      
オークションの売上金とともに、参加されたお客様や出品者の方々の思いが被災地に届くといいですね。
ニュースでもよく目にしますが、最近はこうしたオークションが様々な場所で行われているようです。そういった場面では、私たちオークション会社にできることがきっとたくさんあると思います。オークションを通して、また様々な形で、私たちは今後も積極的にチャリティー活動を行ってまいります。

(執筆:S)

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モザイク画 ~「フローレンスモザイク」と「ミクロモザイク」~

 4月9日のBAGS/JEWELLERY&WATCHES、浮世絵/近代美術PartⅡオークションにご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。下見会の日程やオークション開催日の変更にもご理解いただき、心より感謝申し上げます。

 さて、今日は4月23日に開催いたします西洋美術オークションの出品作品をご紹介いたします。
今回の西洋美術では、モザイク画がたくさん出品されますが、まずはこちらのフローレンスモザイクから。

 フローレンスモザイクは、16世紀後半ルネサンス時代のイタリア・フィレンツェで生まれた、大理石の小片を象嵌して花や人物などを表わす装飾技法です。「フローレンス」はフィレンツェの英語名です。当時、隆盛を誇ったメディチ家の庇護の下で発展し、巨匠ミケランジェロはその美しさを「永遠の絵画」と絶賛したそうです。
 特筆すべきはその制作方法の緻密さと難しさ。図柄の部分は、例えばバラならば花弁の赤や白、葉の緑といった様々な色彩の石を重ね、弓に張った鋼入りの鉄線に砥石の粉を溶いた水を垂らし、少しずつ摺り切っていくという極めて緻密な手作業によって象り、下地の大理石に象嵌します。ほかの刃物や電動の機械などでは代用が効かず、この方法でのみモチーフの細部や柔らかな曲線を表現することができるそうです。美しく磨き上げられた作品からは、制作の困難さを想像させないエレガントな雰囲気が漂います。

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Lot.317 フローレンスモザイク
「バラ」
78.0×130.5cm
エスティメイト ★¥250,000~350,000


バラを中心に蝶や鳥をあしらった作品。
お部屋が華やかで洗練された空間になりそうです。


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Lot.319 フローレンスモザイク
「老貴族」
画面:73.5×45.8cm
(99.5×71.5cm)
エスティメイト ★¥250,000~400,000


知的で貫録のある老紳士を描いた作品。今回のフローレンスモザイクの中でも、色彩の美しさと細かさが特に秀逸です。



 また、今回はとてもめずらしいミクロモザイクが出品されます。
ミクロモザイクは、1~2㎜角のガラスの小片を寄せあわせて埋め込み、滑らかに磨き上げて絵や文様を表す技法です。フローレンスモザイクの制作も大変細やかなものですが、「ミクロ」という名の通り、様々なモザイクの技法の中でも、とりわけ膨大な時間と繊細な手作業を要するものとして知られています。カタログをお持ちの方はよくご覧いただくとおわかりになるかもしれませんが、ガラスの小片が整然と密集する画面は圧巻です。下見会場では、その驚くべき緻密さをぜひお近くでご覧ください。

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Lot.320 ミクロモザイク
「花」
画面:74.2×58.2cm
(98.4×82.0cm)
エスティメイト ★¥500,000~800,000
 

大輪の花をモチーフとした本作品では、極彩色のガラスを用いて花や壷の質感とそれらに降り注ぐ光を見事に表現しています。花と背景との明暗のコントラストが画面を引き締め、花の華やかさやみずみずしさがいっそう際立つようです。


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Lot.321 ミクロモザイク
「フォロ・ロマーノ」
61.8×80.5cm
右下にサイン「G.RINALDIF」
エスティメイト ★¥800,000~1,500,000


 Lot.320同様、ガラスを素材に用いて制作されたミクロモザイク画です。題材の「フォロ・ロマーノ」は、古代ローマ時代の政治・経済の中心地であり、現在は多くの観光客が訪れるローマの遺跡。ここでは遠近法に基づき、長い歴史の風格を漂わせる遺跡や広がりと奥行きを感じさせる青空を、絵具による風景画と見紛うばかりに写実的かつ精緻に表現しています。こうした大作をこれほど細やかに美しく仕上げるためには、十年を超える長い年月と高い技術力を必要とするでしょう。ミクロモザイク画の中でも極めて完成度の高い希少な作品です。

 これらの作品は、現在下見会の準備の真っ最中です。
下見会・オークションスケジュールはこちら
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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東洲斎写楽《三世市川八百蔵の田辺文蔵》

 3月26日に開催いたしました近代陶芸/近代美術オークションにご参加くださった皆様、どうもありがとうございました。会場の丸ビルホールにはたくさんのお客様にご来場いただきました。社員一同、心よりお礼申し上げます。

 また、緊急開催いたしましたチャリティオークションにも、たくさんの方がご参加くださいました。急な募集にもかかわらずご出品いただきましたお客様、会場でお競りいただきましたお客様、ご協力ありがとうございました。チャリティオークションは今後も開催していく予定です。また、併せてスタートしました募金活動は、下見会やオークション会場で引き続き行っていきますので、こちらもよろしくお願いいたします。

 さて、今日は現在銀座で下見会を開催中の4月9日浮世絵オークション出品作品から一点ご紹介します。この春、東京国立博物館で大々的な特別展が開催される、“謎の天才絵師”東洲斎写楽の作品です。

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Lot.442 東洲斎写楽
《三世市川八百蔵の田辺文蔵》
37.9×25.2cm
エスティメイト ¥7,000,000~10,000,000



 東洲斎写楽(生没年不詳)は、寛政6年5月~翌年1月(1794-95)までのおよそ10ヶ月の間に役者絵・相撲絵150点余りを版元・蔦谷重三郎より刊行し、姿を消したとされる伝説の浮世絵師。その正体をはじめ、多くのことが謎に包まれていますが、現在では阿波の能楽師・斎藤十郎兵衛という説が有力とされています。ちなみに、画号の由来は「しゃらくさい」だそうです。

 写楽は、豪華な雲母摺り(きらずり=雲母の粉を摺り付ける技法)の背景に、リアルに表現した役者大首絵で一世を風靡しました。その画風は、江戸時代の戯作者・大田南畝(おおたなんぽ)に「あまりに真を画かんとてあらぬさまに書きなせしかば」、つまり「顔の特徴をあまりにリアルに描きすぎてかえって異様だ」と評されました。それまでの役者絵が美化して描くことが原則であったのに対し、欠点と言えるような顔の特徴すら大胆にデフォルメして描いたためです。しかし、このユニークで迫力ある大首絵が、現在では写楽の人気の高さの所以と言えるでしょう。写楽は、レンブラント、ベラスケスと並ぶ世界三大肖像画家にも位置付けられています。

 本作品は、三代目市川八百蔵が扮する田辺文蔵を描いたものです。田辺文蔵は、寛政6年5月(1794年)に都座で上演された時代狂言、「花菖蒲文禄曽我」に登場する人物です。
「花菖蒲文禄曽我」とは次のようなお話。信州小諸藩の剣術指南役であった石井宇右衛門が、弟子の身勝手な振る舞いを厳しく注意したことを恨まれ、闇打ちにあって殺害されます。石井家の忠義の家臣であった田辺文蔵は、遺された宇右衛門の幼い子供たちを影ながら支え、敵討ちを誓ってともに全国を探し歩きました。文蔵はそのための資金調達に東奔西走し、一行は28年の年月を費やして敵を探し出し、目的を遂げました。

 写楽の描く文蔵は、借金返済のめどがたたずに思い悩む姿として表わされています。伸びた髪や質素な着物からもその様子が伝わってきます。三代目八百蔵は和事(恋愛もの)や実事(人物の精神や行動を写実的に表現する演技)を得意とした人気役者で、作品からその優男風の風貌がうかがえます。

 写楽作品の中で、こうした大首絵と雲母摺りを組み合わせたものは、デビュー直後の1ヶ月ほどの間に制作した28点しかありません。この28点はそれぞれおよそ200枚ずつ刷られましたが、その奇抜さゆえに当時は不人気で完売せず、その後大正時代になってから評価をされ始めたため、現存している枚数は極めて少ないと思われます。現在その一部は、東京国立博物館やベルギー王立美術館に収蔵され、国の重要文化財にも指定されています。

この作品は4月2日まで、銀座の下見会でご覧いただけます。
下見会・オークションのスケジュールはこちら

みなさまのご来場を心よりお待ちしています。

(執筆:S)

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