シンワアートミュージアムでは、ここ数年、10月の恒例となって参りました、西洋美術オークションの下見会が開催されています。
西洋骨董のオークションの醍醐味は、何といっても手にとって実際に使う場面を想像したり、その作品がこれまでたどってきた運命に思いを馳せたりすることにあるのではないでしょうか。
僭越ながら、このオークションにお見えになるお客様にはどことなくそんなロマンティストの雰囲気が漂っておいでのように感じます。
Lot507 ガレ
《ふくろう文陶製置物》
H33.3×W18.4cm
底部に銘
\600,000. ~800,000.
例えばこの作品。フクロウの置物を観察してみましょう。
フクロウは日本では「不+苦労」という言葉と掛けて縁起をかつぐモティーフとして喜ばれました。
古代ギリシアではその大きな眼が魔除けとして考えられていたといいます。
知の女神アテネの従者として登場し、今のギリシア版1ユーロ硬貨の面面にもフクロウの絵柄が鋳造されています。
また、肉食で、害鳥などを捕食するフクロウは農業の神として信仰する地域も多く、農家でも喜ばれたと言います。
これまでどんな困難からこのフクロウが持ち主を護ってくれたのでしょうか。
お家を守るモティーフとして、私もフクロウの置物をお友達の新築祝いに贈ったことがありました。

こちらは若い方にお好きな方の多いカントリー家具。
パイン材でぬくもりある質感が特徴です。
お求めやすい価格からスタートしますので、また違ったオークションの醍醐味を味わっていただける商品です。
セーブル磁器も豊富に出品されます。
金彩が醸し出す豪奢な雰囲気が、日本には無い豊かなヨーロッパのデザイン性を感じさせます。
こんな可愛らしいマイセンのお人形もたくさんお求め頂けます。
(写真の作品はそれぞれ、落札予想価格18万円~25万円です)
先日、ディズニーの古典アニメ、シンデレラを見ていたら、王宮で王様のデスクの上にマイセンと思しき人形が一対置かれているのを発見しました。
そこでは、王子様の花嫁を見つけなければ、と王様が語る話題の際に効果的に使われていました。
マイセン磁器の人形が、王侯貴族の娯楽であったことが欧米社会に浸透している、好例ですね。
このシンデレラのキャラクターデザインは、先日まで東京都現代美術館で個展が開催されていたメアリー・カサットです。
ハッとするような印象的な画面構成が多く登場します。
西洋美術オークションの詳細はこちら
(井上素子)
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カテゴリー別アーカイブ: オークション
ヴィンテージワイン
こんにちは。連休は秋晴れが続きましたね。
まさに行楽日和、運動会日和でしたが、
みなさまはいかがお過ごしでしたでしょうか。
さて、今週の土曜日はいよいよワイン&西洋美術オークションとなりました。
今日はワインオークションに出品されるワインをご紹介させていただきます。
全260ロットの中で、ご注目いただきたいのはヴィンテージワインの充実ぶりです。しかも今回は、当たり年の希少なものばかりが揃いました。
Lot.91 Chateau Petrus(Pomerol)
1947年 1bottle
液面:アッパー・ショルダー
ラベル:わずかな汚れ、わずかな破れ
エスティメイト \200,000.~400,000.
Lot.92 Chateau Petrus(Pomerol)
1959年 1magnum
液面:ボトム・ネック
ラベル:軽い汚れ、わずかな破れ
エスティメイト \400,000.~700,000
5大シャトーをも凌ぐ人気を誇り、世界で最も高値で取り引きされるワインの一つとなった「ポムロールの王」シャトー・ペトリュスです。格付けのない右岸のワインがこれほどの評価を得るようになったのは、1889年のパリ万博での金賞受賞がきっかけでした。以後、アメリカのケネディー家やロックフェラー家といった名門ファミリーから愛され、上流階級のステイタスとなっていきました。
ポムロールの丘の最上部にあるこの畑の土壌は、黒粘土という膨潤性のある特殊な粘土が表土に出ている珍しいもので、それがワインの決め手となるそうです。メルロー種のブドウとの相性も良く、肉厚でまろやかな味わいのワインを作り出していくのです。
このワインは、年月を経るごとに、トリュフや湿った土を思わせる官能的な香りを増していき、複雑な風味と微妙なニュアンスを持つようになります。しかも素晴らしい果実の濃縮感は、時を経ても失われることなく力強い存在感を保っています。
まさに熟成に向いたワインと言えますね。今回の2点はそれぞれすでに62年、50年が経過しています。どんな香りと味わいなのか、想像するだけでドキドキしますね。
続いてこちら。
Lot.109 Chateau Cheval Blanc(St.Emilion)
1938年 1bottle
液面:ミッド・ショルダー
ラベル:軽い汚れ
エスティメイト \100,000.~200,000.
サン・テミリオンの格付けの頂点に立つシュヴァル・ブランです。シュヴァル・ブランの醸造の特徴は、カベルネ・フランとメルローを同じくらいの割合で使用すること。その組み合わせの効果によって、リッチで完熟感と強い粘性のあるテクスチュアを楽しむことができます。良いワインは飲み頃が長く続くといいますが、このシャトーこそ典型と言っていいでしょう。若い頃から楽しむこともでき、熟成を経て味わいはいっそう深く複雑になっていきます。
こちらはなんと戦前に生産されたワインです。作られた時代に思いを馳せずにはいられないような、ロマンを感じさせるワインですね。
最後はこちら。
Chateau Lafite Rothschild(Pauillac)
1945年 1bottle
液面:ミッド・ショルダー
ラベル:汚れ
エスティメイト \80,000.~160,000.
ワイン愛好家の方はもちろん、初心者の方もご存じかもしれません。
言わずと知れたフランスきっての名門シャトー、シャトーラフィットです。
1855年のパリ万博において、皇帝ナポレオン3世の命で格付け制度ができて以来、第1級格付けワインの中でつねにトップに座に君臨し続けているワインです。
シャトーは1868年にロスチャイルド財閥の所有となり、「シャトーラフィット ロートシルト(ロスチャイルド)」となって以降も、ボルドー地方最高のワインの産地と言われるポイヤック村の葡萄畑、収穫量を限定した健全な苗木の育成、伝統的な醸造方法の遵守といった最高の条件のもと、丹精込めて生産され続けています。その味わいは、5大シャトーの中では最も繊細で優美と称されます。カベルネ・ソーヴィニヨンの比率が高いことから、飲み頃になるまで時間のかかる長期熟成型のワインであり、そのシルクのようなきめ細かさ、エレガントな芳香、酸味とコクのバランスの良さは、赤ワインの理想型と言っても過言ではありません。
今回出品されるワインは、1945年に生産されたもの。第2次世界大戦中、ドイツ軍によってシャトーは解散となりましたが、この年再びロスチャイルド財閥が所有権を取り戻し、シャトー再建に努めました。そんな激動の時代や、このワインにかかわった多くの人々のドラマを想像させる1本です。
今回出品されるヴィンテージワインをご紹介してまいりましたが、伝統も格式もある一流シャトーのワインは、熟成されてこそ本来の魅力を発揮するのかもしれませんね。出来の良い葡萄のジュースを適切な環境で保存する、という一見シンプルな作業が、実はとても難しいことなのでしょう。
ワインの味わいや香りを様々な言葉で形容して表現することがありますが、年代を経て味も香りも複雑に深みを増したワインは例え甲斐がありそうですね。熟成を重ねたワインをグラスに注いだときの香り、口に含んだときの味わいの印象を、みなさまも何かに例えてみてはいかがでしょうか?
(執筆:S)
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劉生 魂の自画像
いよいよ今週水曜日10時から、シンワアートミュージアムにて、近代美術オークションの下見会がスタートします(同時にジュエリー&ウォッチもご覧いただけます)。
今日はその中から、岸田劉生の自画像をご紹介します。
LOT 15 岸田劉生《塘芽堂主人 自画像》
Est.¥700,000~ 1,000,000. 1923年作
本作品は劉生が32歳のときに描いたものです。
この年、劉生は関東大震災で神奈川県の鵠沼の自宅が半壊したため、京都に居を移しました。
京都時代の劉生は自らを「海鯛先生」(かいたいせんせい)とすら名乗り、茶屋遊びや骨董収集にいそしみました。そして自由な文人画風の日本画作品を残したことから、「デカダンの時代」と位置づけられています。
画面左上に、「塘芽堂主人 自画像 劉生 自寫」と墨書されています。塘芽堂(とうがどう)とは「唐畫(とうが)」、つまり中国の古典絵画をもじって、劉生が名づけた雅号です。後にはこの小さな居城「塘芽堂」を、「冬臥堂」、「冬瓜堂」、「飽画堂」と詠みかえました。
描かれているのは茶室での得意のポーズ。同様の構図はこの頃に多く、香を焚いて濡れ縁ごしに庭を眺めながら書に向かう画家の姿が描かれています。
シンワアートオークションでは、2005年7月の近代美術オークションに類型作品《塘芽庵主人閑居之》が出品され、人気を集めました。
この頃の劉生は、よく親しい友人に「天高く飛ぶ鷹は淋しい」と漏らしていたと言います。隠居生活の中で伝統の美を味わいながら、同時に自らの芸術が高みにあることを自負していた芸術家の姿が描かれた、味わい深い作品です。
劉生は家族や親しい知人、そして自らの肖像画を数多く描きました。自意識が強く、長時間じっとしてしなければならない肖像画のモデルに、最も適していた素材は自分だったことは疑いようもありません。
美術史家で元ロンドン・ナショナル・ギャラリー館長のケネス・クラーク氏は、“偉大な肖像画は、何よりもまず魂の記憶なのである”と述べています。
本作品は軽妙なタッチでありながら、劉生のある時期の魂が、ありのままに描かれた一点なのです。
下見会の開催日程はこちら
(井上素子)
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近代美術PARTⅡ下見会 銀座でスタート!
9月に入り、秋のオークション・シーズンが幕開けとなりました。
今日からシンワアートミュージアムでは、9月19日開催の近代美術PARTⅡオークション下見会を開催しています。
※今回の近代美術PARTⅡオークションに出品される作品は、本日9月2日(水)~5日(土)の期間中のみご覧いただけます。その他の会期中は、ご覧頂くことができませんので、あらかじめご了承お願い申し上げます。
ミュージアム1F
ミュージアムB1階
手前のテーブル左寄りに見えているのは、LOT692 マスタッシュ・カップ&ソーサーです。
(エスティメイト¥50,000.~¥100,000.★/15客セット)
マスタッシュ(moustache)とは、英語で「口髭」のこと。
紳士がお茶を飲むとき、口髭が邪魔にならないように“髭よけ”が付いています。
優雅に装飾されたデザインは、まさにコレクターズ・アイテムですね。
1階のエントランス左側には、浮世絵が展示されています。
LOT526 葛飾北斎《富嶽三十六景 武陽 佃嶌》
(エスティメイト ¥700,000.~¥1,000,000.)
浮世絵師の中でも最も代表的な作家の一人、葛飾北斎が1833年から1844年にかけて刊行した《富嶽三十六景》は、北斎の代表作にして、浮世絵風景画の代表作です。
《富嶽三十六景》は、初めは題名の通り36図が制作されましたが、非常に好評であったため、後から10図が追加され、最終的に46図のシリーズになりました。
当初の36図を「表富士」(おもてふじ)、追加の10図を「裏富士」(うらふじ)と呼び、今回、シンワアートオークションに出品される三点《武陽 佃嶌》(ぶよう・つくだじま)、《相州 江ノ島》(そうしゅう・えのしま)、《信州 諏訪湖》(しんしゅう・すわこ)は全て「表富士」として制作されたものです。
特に、《武陽 佃嶌》、《相州 江ノ島》は、「藍摺絵」(あいずりえ)と呼ばれる青を基調としたモノトーンの作品で、北斎のシャープな線が美しいシリーズです。
中央区にお店を構えていらっしゃる方やお住まいの方にもお勧めの一点です。
《富嶽三十六景》の大ヒットで、北斎は一躍売れっ子の作家となりました。
背景には、江戸時代の日本で一般市民の間にあった、富士山に対する深い信仰があると言われています。
戦争の無い平和な時代、ツアーを組んで富士山に参拝する「富士講」(ふじこう)が盛んに行われ、富士山が描かれている土産物は人気を集めたのです。
また、今週末には大阪でも下見会が開催されます。
ジュエリー&ウォッチ(全商品)、近代美術(全作品)、さらに近代陶芸の一部作品もご覧頂くことができます。
詳細スケジュールはこちら
9月は今日からPARTⅡ下見会が始まるのを皮切りに、次々と下見会がスタートいたします。
また10月17日には西洋美術・ワインのオークションも開催されます。
皆様のお運びをお待ちいたしております。
(井上素子)
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名古屋下見会開催中です
こんにちは。
昼間はまだ暑い日が続きますが、朝晩は涼しくなってきましたね。
過ごしやすくなるのは助かりますが、夏が終わってしまうのは少し寂しい気がします。
さて、9月のオークションにむけて本日からいよいよ下見会が始まりました。
最初の下見会は名古屋です!
名古屋の会場では、近代美術とJEWELLERY & WATCHES、近代陶芸の一部を展示しています。
お近くにお住まいのみなさまはぜひお越しくださいね!
会場はこんな様子です。DAITEC SAKAE 6Fのクリエイトホールで明日まで開催しています!
本日も9月のオークションの出品作品から、
秋らしい日本画を1点ご紹介します。
近代美術オークション Lot.61
小川芋銭 《山田乃曾冨騰》
径58.7cm
紙本・彩色 軸装
右下に落款・印
小杉放庵箱
『河童百図』掲載 第16図(綜合美術社)
『芋銭子名作集』掲載 P.129(精華房)
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
エスティメイト ★ \500,000 ~ 800,000
画題は「やまだのそほど」と読みます。
「そほど」は、古事記に登場する案山子(かかし)です。
古事記では、案山子は歩くことができませんが、天下のことを皆知っている神であった、とされています。
この作品では、案山子に向かって「私は昔、そほどという名の神様だった」と河童が語っています。
さらに河童は、「人間の世界に降りてきて河童にばけた」と続けます。
河童も案山子も本を正せば同じということになりますが、
河童が自身の由緒正しき出自を案山子に一生懸命話している様子と、
それに耳を傾ける、へのへのもへじの案山子の姿がなんとも言えずユーモラスですね。
本作品を描いた小川芋銭は、茨城県牛久の出身です。
牛久沼といえば河童伝説で有名ですよね。
幼い頃から沼に慣れ親しんでいた芋銭にとって、この地に語り継がれてきた河童は自然と絵の中に取り込まれていったのでしょう。芋銭が生涯で最も多く描いた作品は河童図でした。
そして最晩年、描き続けた河童図を『河童百図』にまとめました。
やわらかな墨の線が味わい深い本作品は、その1点です。
自然の飄々とした夢幻感を河童という伝説の動物で表現した、新しい文人画と言えるでしょう。
芋銭は河童図以外にも、のどかな農村の生活や理想郷のような自然を描きました。
彼の独特の自然観と軽妙な筆致を、横山大観や川端龍子も称賛し、酒井三良は生涯憧れ続けたと言います。
酒井三良や池田遙邨のような詩情豊かな日本画、富岡鉄斎や富田渓仙のような文人画をお好みの方にぜひお勧めしたい作品です。
来週は東京で近代美術PartⅡ、大阪で近代美術の下見会を開催いたします!
みなさまのご来場、心よりお待ちしています。
オークションスケジュールの詳細はこちら
(執筆:S)
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近代美術・ジュエリー&ウォッチ・近代陶芸の下見会がスタート!
暑い日が続きますね。
銀座の中央通りでは、ランチタイムにご婦人方が差す日傘が、まぶしく夏の日差しを照り返しています。
大通りが交差する碁盤の目のようになった銀座。ひさしがあるお店はごくわずかですよね。ご来場の際には、クロークに預けられた日傘をお持ち忘れなく!
さて昨日より、近代美術、ジュエリー&ウォッチ、近代陶芸の下見会がスタート致します。(詳細はこちら)
欧米では長いバカンスに突入する7月は、昔からオークションの開催数や美術界の話題が減る傾向にありますが、国内のオークションでも、例年、この月は出品数が限られるようです。
7月のオークションは、小規模ながら3種類のオークションの作品が一つのカタログ、一つの下見会でご覧いただける、遠方のお客様にとっては便利なメリットもある開催形式になっています。(※近代美術パートⅡの作品はお申し付け頂ければご覧頂けます。)
今年に入ってから、弊社では近代美術と近代美術パートⅡ、ジュエリー&ウォッチのオークションを同時開催してきました。
これに対するお客様方からのご反応はというと、好意的にお考えいただける方が多くいらっしゃいましたようで、オークション会場には大勢の方が足を運んで下さり、熱気溢れる競りとなりました。
これまでは近代美術に出品される絵画作品に関心をお持ちの方が下見会場でジュエリーや時計をご覧になりたい場合、スタッフにお声掛けいただき、どちらかをオフィスからお持ちしてご覧いただくしかありませんでした。
それが同日開催の場合は、お待たせすることなくご覧いただける準備を整えてありますので、ご自由にご関心をお持ちのアイテムを探して頂くことができるのです。
これまで一つのオークションのみにご参加いただいていたお客様も、この機会にぜひ、他のジャンルのオークションへもお目を向けていただければ幸いです。
(執筆者:井上素子)
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菱田春草の《朝顔》
こんにちは。
梅雨とは思えないようなよいお天気ですね。
どうやら今週の前半は晴れの暑い日が続くようです。
もう海開きしている海水浴場も多いですし、
こんな日は海もいいですねー。
先週の大阪下見会、東京のPartⅡ下見会にご来場くださったみなさま、
ありがとうございました。
今週は、いよいよ近代美術、近代陶芸、ジュエリー&ウォッチの東京下見会が始まります!水曜日のオープンに向けて、社内では今日から展示作業に入っています。
では今日も、土曜日の近代美術オークション出品作品から1点ご紹介いたします。
126.0×31.3cm
紙本・彩色 軸装
右下に落款・印
横山大観箱
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
エスティメイト \1,000,000~1,500,000
まずは、菱田春草(1874-1911)のご紹介。
横山大観と並び称される日本画の巨匠ですが、37歳という若さで亡くなってしまったために、その画業はわずか16年ほどの短い期間しかありません。
晩年の作品《黒き猫》(明治43年・永青文庫蔵)が重要文化財に指定されています。
長野県に生まれた春草は、上京して狩野派の結城正明に学んだ後、1890年東京美術学校に入学。岡倉天心に学びました。1896年同校の教員となりましたが、1898年天心の辞職とともに自らも美術学校を去り、日本美術院の創設に参加。天心や盟友・横山大観とともに新しい日本画の創造を目指していきます。線描を用いない没骨彩色の方法で、空気や光線を表現した「朦朧体」の急先鋒として革新的な作品を発表しました。1903年から数年間にわたって、大観とともにインド、アメリカ、ヨーロッパを歴訪。1906年日本美術院が茨城県五浦に移転した後は、大観らと同地で画業に励み、琳派の装飾性や西洋画の技法を取り入れた作風を展開。晩年は、視力に異常をきたしながらもそれを感じさせない澄明な色彩の名作《落葉》、《黒き猫》などを制作しました。
本作品は、この季節にぴったりの花、朝顔を描いた作品です。実際は今が見頃の朝顔ですが、旧暦に由来する季語としては、秋の季語となります。
落款と印から、晩年の作でしょうか。この時期は、西洋画の構図と日本や中国の古典絵画の研究の成果を生かし、西洋の技と東洋の精神性を巧みに融合させた作品を制作しました。
本作品では、朝顔のつるが見せる曲線の妙に画興をそそられたのでしょう。その様子を、縦に長い構図を活かして描いています。朝顔の葉に用いられた「たらしこみ」※の技法に目を奪われますが、鎖には没線描法が用いられており、春草らしい味わいが漂っています。大胆にとった余白と墨彩の中に際立つ鮮やかな青色が夏らしく、清々しい作品です。この作品がお部屋に掛かっていたら、真夏の暑い日もなんとなく涼しく感じられそうですね。
※俵屋宗達が始めたと言われる日本画の彩色技法。色を塗ってまだ乾かないうちに他の色をたらし、その滲みによって彩色の効果を出すもの。琳派の画家たちが盛んに用いた。
この作品は、今週東京でご覧になれます。
みなさまのご来場を心よりお待ちしています。
オークションスケジュールの詳細はこちら
(執筆:S)
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高麗青磁の再現
くもりと晴れの繰り返しで湿気が多い日が続きますね。
天気予報で「これから本格的に暑くなります」と、まるで自分の責任のように申し訳なさそうに話す気象予報士さんを見て、ふっと笑いながらも「本当にもっと暑くなったらどうしよう」と心配になってきました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか?
シンワは来週のオークションに向けて、いよいよ明日から大阪下見会を開催します。
ジュエリー&ウォッチ・近代美術・近代陶芸オークションに出品される作品(近代陶芸のみ一部)をご覧いただけますので、お近くにお住いの方は是非お越しくださいませ。
今回の近代陶芸オークションには、板谷波山の「青磁捻耳香爐」を始め、青磁作品が多数出品されますが、本日は、近代美術PartⅡオークション(陶芸)に出品される柳海剛の作品をご紹介したいと思います。
皆様もご存知のように、青磁といえば韓国の高麗時代(10世紀~14世紀末)に作られた〈高麗青磁〉がその代表としてよく知られています。
Lot.207 柳海剛 《青磁水注 二・急須》
H25.4×W17.3cm, H33.8×W21.5cm, H11.9×W17.6cm
各高台内に描き銘 各共箱
急須ナオシ有
★¥50,000~¥100,000
柳海剛(1894年~1993年)は、高麗青磁の製造技術を当時のままに復活させた作家として有名ですね。韓国を始め、日本やアメリカなどで個展を開き、様々な陶磁器展覧会や博覧会で受賞するなど、精力的な制作活動を展開しました。他界する5年前に韓国の政府から人間国宝(韓国での正式名:無形文化財)に指定されたことで、高麗青磁の再現に一生、力を尽くした彼の功績がようやく知れ渡るようになりました。
今回の近代陶芸オークションには、水注・花入・壺・香炉・香合など、様々な種類の柳海剛の作品が、7ロットに分けて出品されます。
その中で、Lot.207の水注と急須は、高麗時代の< 象嵌技法>がそのまま使われ、高麗青磁の美しさを最もうまく再現させた作品の一つです。水注の表面に繊細に刻まれた綺麗な模様は、磁器自体が醸し出す華麗さと調和し、その魅力をもっと高めてくれますね。
Lot.209 柳海剛 《青磁壺》
H46.6×D25.9cm
高台内に描き銘 共箱
★¥50,000~¥100,000
また、Lot.209の《青磁壺》は、高麗青磁の最も典型的なものとしてよく見られる形をしています。口のところは丸く膨らみ、下に向かってどんどん細くなりながらも、不思議な安定感を持つその形を見ていると、高麗人の技術だけではなくその魂の復活にまで全力を尽くした、柳海剛の精神が伝わってくるようです。
極めて薄く仕上げられた胴部の内面から漂うような青い色、その不思議な美しさを、皆様、是非見逃がさないでください!
【大阪下見会スケジュール】
7月10日(金)・11日(土)
10:00~17:00 御堂会館 南館 B1Fホール
< 展示内容>
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術 / 近代陶芸(一部)
(執筆:W)
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PartⅡ下見会始まります
名古屋下見会にご来場いただいた皆様、どうもありがとうございました。
一週はさんで今週は、東京でPartⅡ、大阪で近代美術、ジュエリー&ウォッチ、近代陶芸、近代陶芸PartⅡの下見会がスタートします。
少々スケジュールが複雑になりますが、お目当ての作品をお見逃しないようにご越しくださいね。
さて、本日はPartⅡの出品作品から1点ご紹介いたします。
lot.741 K.P.M 《色絵「婦人像」陶板》
42.5×34.2cm(66.9×58.3cm)
裏に窯印
西洋美術がお好きな方にとってはおなじみのK.P.Mですが、
「ずっと気になっていたけれど何の略称?」という方もいらっしゃるはず。
そんな方のために、本日は簡単にご説明いたします。
K.P.Mは、1751年ドイツ、プロイセンの首都ベルリンに民間窯として開窯しました。ベルリン窯と呼ばれるのもこのためです。
1763年プロイセン王フリードリヒ2世の所有となり、ベルリンK.P.M(Konigliche Porzellan Manufactur)窯、すなわち王家の青紋章をシンボルにした王立の磁器製陶所となりました。フリードリヒ2世が莫大な費用を窯の改良進歩のために支出すると、当時ヨーロッパ随一と呼ばれたマイセン窯を凌ぐ勢いで製陶技術が充実していきました。以後、歴代の王の庇護のもとに製作が続けられ、第1次世界大戦後は、国立磁器製陶所となりました。
主な作品には、バロックやロココスタイルの高級食器や装飾品、17~18世紀の古典名画を模写した陶板画があります。
今回出品される作品も、バロック美術を思わせる陶板です。
当時は宗教や神話が美術作品の主なテーマとされましたが、
ここでも描かれた婦人のポーズや漂う清らかさ、彼女を取り囲む天使たちが、
キリスト教の主題「無原罪のお宿り」を想像させます。
「無原罪のお宿り」とは、聖母マリアが一切の原罪にそまることなく、その母アンナの胎内に宿ったとする教えで、神の意志による受胎を表したものです。描かれているのがアンナではなく、これから生まれてくるマリアであるということが、この主題の不思議なところですね。
光と影を効果的に使ったドラマティックな表現と柔らかな描写は、優秀な画家を多く抱えたK.P.M窯だから表すことができたものと言えるでしょう。
今週、この作品は東京でご覧いただけます。
皆様のお越しを心よりお待ちしています。
オークションスケジュールの詳細はこちら
(執筆:S)
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名古屋下見会、明日から開催です!
本日、7月のオークションカタログが完成いたしました。
順次発送して参りますので、お手元に届くまでいましばらくお待ちください。
明日からは名古屋下見会を開催いたします。
お近くにお住いの方は、お誘いあわせの上、是非ご来場ください。
会場では、7月18日のジュエリー&ウォッチ・近代美術・近代陶芸オークションに出品される作品(近代陶芸のみ一部)をご覧いただけます。
さて、本日も近代美術オークションに出品される作品をご紹介いたします。
【オークション終了につき、図版は削除いたしました】
山口長男「孤」です。
この作品は、画家の晩年にあたる1976年9月に制作されました。
この時期、画業とともに山口のマチエールも充実期を迎えます。戦後から作品に描かれてきた矩形や円は、次第に拡大し、ほぼ画面全域を覆い尽くすようになり、代わってそこには切り込みのような線状の形が現れてきます。
本作品は、晩年の作風の特徴が顕著に表れた一点です。黄土色は山口が自身の性格色と呼ぶ色であり、中国を表しているといいます。ここでは、弧を描くような中央の切り込みに向かって絵具を塗り重ねることに、山口の関心が注がれています。「重ねるということは、(中略)自分のまた養分になってゆく面があるはずですから、もうこれ以上いかないというまで繰り返し、充実が出るまで塗りますよ。」と、山口はこの頃、マチエールについて語っています。マチエールを塗り重ねることは、山口自身のためであるとともに、作品自体が豊かな生命力を獲得することでもあると言えるのではないでしょうか。
【名古屋下見会スケジュール】
6月26日(金)・27日(土)
10:00~18:00 DAITEC・SAKAE 6F クリエイトホール 地図はこちら
<展示内容>
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術 / 近代陶芸(一部)
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