名古屋下見会開催中です


こんにちは。
昼間はまだ暑い日が続きますが、朝晩は涼しくなってきましたね。
過ごしやすくなるのは助かりますが、夏が終わってしまうのは少し寂しい気がします。

さて、9月のオークションにむけて本日からいよいよ下見会が始まりました。
最初の下見会は名古屋です!
名古屋の会場では、近代美術とJEWELLERY & WATCHES、近代陶芸の一部を展示しています。
お近くにお住まいのみなさまはぜひお越しくださいね!

MA330004001_convert_20090828172509.jpg
会場はこんな様子です。DAITEC SAKAE 6Fのクリエイトホールで明日まで開催しています!


本日も9月のオークションの出品作品から、
秋らしい日本画を1点ご紹介します。

061_convert_20090828173724.jpg

近代美術オークション Lot.61
小川芋銭 《山田乃曾冨騰》
 径58.7cm
 紙本・彩色 軸装
 右下に落款・印
 小杉放庵箱
 『河童百図』掲載 第16図(綜合美術社)
 『芋銭子名作集』掲載 P.129(精華房)
 東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
 エスティメイト ★ \500,000 ~ 800,000



 画題は「やまだのそほど」と読みます。
「そほど」は、古事記に登場する案山子(かかし)です。
古事記では、案山子は歩くことができませんが、天下のことを皆知っている神であった、とされています。

 この作品では、案山子に向かって「私は昔、そほどという名の神様だった」と河童が語っています。
さらに河童は、「人間の世界に降りてきて河童にばけた」と続けます。

 河童も案山子も本を正せば同じということになりますが、
河童が自身の由緒正しき出自を案山子に一生懸命話している様子と、
それに耳を傾ける、へのへのもへじの案山子の姿がなんとも言えずユーモラスですね。

 本作品を描いた小川芋銭は、茨城県牛久の出身です。
牛久沼といえば河童伝説で有名ですよね。
幼い頃から沼に慣れ親しんでいた芋銭にとって、この地に語り継がれてきた河童は自然と絵の中に取り込まれていったのでしょう。芋銭が生涯で最も多く描いた作品は河童図でした。
そして最晩年、描き続けた河童図を『河童百図』にまとめました。
やわらかな墨の線が味わい深い本作品は、その1点です。
自然の飄々とした夢幻感を河童という伝説の動物で表現した、新しい文人画と言えるでしょう。

 芋銭は河童図以外にも、のどかな農村の生活や理想郷のような自然を描きました。
彼の独特の自然観と軽妙な筆致を、横山大観や川端龍子も称賛し、酒井三良は生涯憧れ続けたと言います。
酒井三良や池田遙邨のような詩情豊かな日本画、富岡鉄斎や富田渓仙のような文人画をお好みの方にぜひお勧めしたい作品です。


来週は東京で近代美術PartⅡ、大阪で近代美術の下見会を開催いたします!
みなさまのご来場、心よりお待ちしています。

オークションスケジュールの詳細はこちら

(執筆:S)