シンワアートミュージアムでは、ここ数年、10月の恒例となって参りました、西洋美術オークションの下見会が開催されています。
西洋骨董のオークションの醍醐味は、何といっても手にとって実際に使う場面を想像したり、その作品がこれまでたどってきた運命に思いを馳せたりすることにあるのではないでしょうか。
僭越ながら、このオークションにお見えになるお客様にはどことなくそんなロマンティストの雰囲気が漂っておいでのように感じます。
Lot507 ガレ
《ふくろう文陶製置物》
H33.3×W18.4cm
底部に銘
\600,000. ~800,000.
例えばこの作品。フクロウの置物を観察してみましょう。
フクロウは日本では「不+苦労」という言葉と掛けて縁起をかつぐモティーフとして喜ばれました。
古代ギリシアではその大きな眼が魔除けとして考えられていたといいます。
知の女神アテネの従者として登場し、今のギリシア版1ユーロ硬貨の面面にもフクロウの絵柄が鋳造されています。
また、肉食で、害鳥などを捕食するフクロウは農業の神として信仰する地域も多く、農家でも喜ばれたと言います。
これまでどんな困難からこのフクロウが持ち主を護ってくれたのでしょうか。
お家を守るモティーフとして、私もフクロウの置物をお友達の新築祝いに贈ったことがありました。
こちらは若い方にお好きな方の多いカントリー家具。
パイン材でぬくもりある質感が特徴です。
お求めやすい価格からスタートしますので、また違ったオークションの醍醐味を味わっていただける商品です。
セーブル磁器も豊富に出品されます。
金彩が醸し出す豪奢な雰囲気が、日本には無い豊かなヨーロッパのデザイン性を感じさせます。
こんな可愛らしいマイセンのお人形もたくさんお求め頂けます。
(写真の作品はそれぞれ、落札予想価格18万円~25万円です)
先日、ディズニーの古典アニメ、シンデレラを見ていたら、王宮で王様のデスクの上にマイセンと思しき人形が一対置かれているのを発見しました。
そこでは、王子様の花嫁を見つけなければ、と王様が語る話題の際に効果的に使われていました。
マイセン磁器の人形が、王侯貴族の娯楽であったことが欧米社会に浸透している、好例ですね。
このシンデレラのキャラクターデザインは、先日まで東京都現代美術館で個展が開催されていたメアリー・カサットです。
ハッとするような印象的な画面構成が多く登場します。
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(井上素子)