高麗青磁の再現


 くもりと晴れの繰り返しで湿気が多い日が続きますね。
天気予報で「これから本格的に暑くなります」と、まるで自分の責任のように申し訳なさそうに話す気象予報士さんを見て、ふっと笑いながらも「本当にもっと暑くなったらどうしよう」と心配になってきました。
皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 シンワは来週のオークションに向けて、いよいよ明日から大阪下見会を開催します。
ジュエリー&ウォッチ・近代美術・近代陶芸オークションに出品される作品(近代陶芸のみ一部)をご覧いただけますので、お近くにお住いの方は是非お越しくださいませ。

 今回の近代陶芸オークションには、板谷波山の「青磁捻耳香爐」を始め、青磁作品が多数出品されますが、本日は、近代美術PartⅡオークション(陶芸)に出品される柳海剛の作品をご紹介したいと思います。
 皆様もご存知のように、青磁といえば韓国の高麗時代(10世紀~14世紀末)に作られた〈高麗青磁〉がその代表としてよく知られています。
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Lot.207 柳海剛 《青磁水注 二・急須》
H25.4×W17.3cm, H33.8×W21.5cm, H11.9×W17.6cm
各高台内に描き銘 各共箱
急須ナオシ有
★¥50,000~¥100,000



 柳海剛(1894年~1993年)は、高麗青磁の製造技術を当時のままに復活させた作家として有名ですね。韓国を始め、日本やアメリカなどで個展を開き、様々な陶磁器展覧会や博覧会で受賞するなど、精力的な制作活動を展開しました。他界する5年前に韓国の政府から人間国宝(韓国での正式名:無形文化財)に指定されたことで、高麗青磁の再現に一生、力を尽くした彼の功績がようやく知れ渡るようになりました。

 今回の近代陶芸オークションには、水注・花入・壺・香炉・香合など、様々な種類の柳海剛の作品が、7ロットに分けて出品されます。
 その中で、Lot.207の水注と急須は、高麗時代の<象嵌技法>がそのまま使われ、高麗青磁の美しさを最もうまく再現させた作品の一つです。水注の表面に繊細に刻まれた綺麗な模様は、磁器自体が醸し出す華麗さと調和し、その魅力をもっと高めてくれますね。
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Lot.209 柳海剛 《青磁壺》
H46.6×D25.9cm
高台内に描き銘 共箱
★¥50,000~¥100,000


 また、Lot.209の《青磁壺》は、高麗青磁の最も典型的なものとしてよく見られる形をしています。口のところは丸く膨らみ、下に向かってどんどん細くなりながらも、不思議な安定感を持つその形を見ていると、高麗人の技術だけではなくその魂の復活にまで全力を尽くした、柳海剛の精神が伝わってくるようです。

 極めて薄く仕上げられた胴部の内面から漂うような青い色、その不思議な美しさを、皆様、是非見逃がさないでください!

【大阪下見会スケジュール】
7月10日(金)・11日(土)
10:00~17:00 御堂会館 南館 B1Fホール 

<展示内容>
ジュエリー&ウォッチ / 近代美術 / 近代陶芸(一部)

(執筆:W)