カテゴリー別アーカイブ: オークション

歌川広重《保永堂版東海道五拾三次 五十五点揃》

今週は浮世絵・近代美術PartⅡオークションを開催いたします。
今回は浮世絵オークションの出品作品の中から、歌川広重《保永堂版東海道五拾三次 五十五点揃》をご紹介いたします。


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「日本橋 朝之景」

Lot.363 歌川広重《保永堂版東海道五拾三次 五十五点揃》
題字付
楢崎宗重箱
エスティメイト \20,000,000~35,000,000


言わずと知れた広重の代表作です。
「浮世絵」というとこの作品を思い浮かべる方も多いかもしれませんね。
《保永堂版東海道五拾三次》は制作された当時、版木が磨滅するほどの売れ行きだったそうで、制作後に最初に摺られた「初刷り」と版木を彫り直した後の「後刷り」があります。
後刷りでは絵が加筆・修正されて、人物が増えたり、山の形が変わったりすることがあります。そういった変化もこの作品の楽しみの一つではありますが、色彩が美しい状態で残されている初刷りの作品ほど、希少性が高いと言えます。

今回の出品作品は、題字を含む56枚で構成された全揃いで、「蒲原」、「四日市」といった人気の図柄に初刷りが多いことが特徴です。また、浮世絵研究の権威として知られる美術史学者・楢崎宗重による箱書きがついています。

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まずとても珍しいのがこちら。
画帖装の扉ページとして摺られた題字です。
山種美術館にも収蔵されています。

 
                        

楢崎宗重箱です。
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「蒲原 夜之雪」

「蒲原 夜之雪」も初刷りです。
比較的温暖であまり雪の降らない蒲原(現在の静岡市)を雪景色として描いたこの作品は、シリーズ中でも人気の高い1点です。このように雨、雪、霧など、季節感と気象の変化を抒情的に表現したことが《保永堂版東海道五拾三次》の大きな魅力ですね。

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初刷り                後刷り

初刷りの特徴はなんとこちら。画面一番右の人物の足の筋です。
後刷りではこの筋がなくなります。


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「池鯉鮒 首夏馬市」

今回最も希少なものが「池鯉鮒 首夏馬市」です。
こちらは、池鯉鮒(ちりゅう。現在の愛知県知立市)宿の東の野原で開催される馬市を描いた作品。
野原には競りにかかる馬がたくさんつながれています。画面中央の大きな松の下では、馬飼や馬喰が集まって馬の値段を決めており、このことからこの松を談合松と呼んだそうです。
本作品では、松の向こう側に実在しない鯨形の丘が描かれています。これが初刷りの特徴で、大変希少と言われています。
このほかには「大津 走井茶店」なども初刷りの特徴が見て取れます。

初刷りならではの図柄やぼかしの色彩の美しさをぜひ下見会場でご覧ください。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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9月近代美術下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術の下見会を開催しております。
今回も少しだけ会場をご案内いたします。

1Fは日本画を展示しています。
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横山大観や加山又造の作品が充実しています。いろいろな時代とモチーフの作品が出品されますので、お好きな方はぜひご覧ください。

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ホームページのトップにもなっている、Lot.62横山大観の《陶靖節》です。
会場ではこんな風に展示しております。
本当に風が吹いているようにも、山がはるか遠くにあるようにも見え、
額や軸の作品にはない奥行きと広がりを感じさせます。


B1Fは日本洋画・西洋絵画です。
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レオナール・フジタや浮田克躬の作品がたくさん出品されます。
めずらしいところでは、佐野繁次郎の油彩も!

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長谷川利行コーナーです。
今回は小品が多いですが、浅草風景、裸婦、花といろいろ揃っています。
どれも小さなキャンバスの中に利行らしさがぎゅっと凝縮されたような作品です。

今日も1点ご紹介します。

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lot.129 藤島武二(1867-1943)
《臥婦》
30.3×53.2cm
板にキャンバス・油彩 額装
1913年作
右下にサイン
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
『藤島武二画集』掲載 №48(日動出版)
藤島武二遺作展覧会(1943年 東京都美術館/朝日新聞社)出品など
エスティメイト ★2,500,000~3,500,000


 重要文化財の《黒扇》や《東洋振り》で知られる藤島武二の女性像です。  
藤島の制作は、人物画と風景画の二つに大きく分けられますが、主として人物画に取り組んだのは、洋画を学び始めた23歳から、皇居の御学問所に飾る作品の制作のために本格的に風景画に着手する1928(昭和3)年までの間で、様々に作風を変えながら人物、特に女性像を描き続けました。上記の2点のほかにも、装飾的でロマン主義的な《天平の面影》など、日本の近代洋画を代表する女性像の名作を数多く生み出しました。

 4年に渡るヨーロッパ留学を終えて帰国した藤島は、1913年(当時46歳)の第7回文展で《うつつ》(東京国立近代美術館蔵)を発表。この作品は、本作品同様にソファーにもたれる女性をモチーフとしたもので、帰国後の作としては初めて文展という公の場で発表されたものであり、日本的な油絵を表現することに挑んだ意欲作として藤島の代表作の一つに挙げられます。
 
 本作品は同年に描かれたものです。藤島と親しく交流し、画集の編纂にも当たった岩佐新は、本作品について「このソファーに臥す婦人は《うつつ》とは違って洋服の女であるが手の組み方などポーズからして稍々あの絵の空気と共通なものを感じられる作で、《うつつ》以前の作と思ふ。要するに《うつつ》の前奏曲と見てもいいものであらう。」※ と述べています。
 本作品では、滞欧作から作風を大きく変え、フォルムを単純化し、フォーヴィスム風の大胆なタッチと明治期の装飾的な作風を思わせる芳醇な色彩で対象を捉えています。うたた寝をする女性が醸し出す甘美な夢心地や幸福感は、藤島の女性像の重要なエッセンスとも言えるでしょう。古今の西洋絵画を踏まえ、藤島は本作品において東西の融合と日本の油彩画の創造に向け、新たなスタートを切りました。

※『畫論』第22号 造形芸術社 1943年

明日はいよいよオークションです。
みなさまのご来場、心よりお待ちしています。

オークションスケジュールはこちら


(執筆:S)

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9月PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術PartⅡ下見会を開催しておりますので、少しだけ会場をご案内します。

今回のオークションは江戸時代の作品が多く出品されます。
エントランスを入ると、まずこちらの屏風がお迎えします。

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Lot.626 《東海道図屏風》
各107.3×263.6cm
紙本・彩色
エスティメイト ★\1,000,000~2,000,000


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江戸と京都を結ぶ東海道の情景を描いた屏風です。
右の「を多はら」という金色の短冊のあたりは小田原の城下町です。往来する町人や旅人の姿、箱根の険しい山々と相模湾に囲まれた町の情景が細かく描き込まれています。このほかにも、東海道五十三次の宿場町や五十三次ではない町も描かれていますので、会場にお越しの際はぜひ江戸から京都まで、順番に辿ってみてください。


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伊藤若冲の《鶏図》です。               
若冲は極彩色の作品もすばらしいですが、水墨もたくさん描いています。左幅の鶏は足元にいるネズミも気にせずどっしりと構え、右幅の鶏は縁台の上に高くジャンプしたように羽を広げ、尾を翻しています。鶏を題材に、静と動を大胆でユーモラスに表現した作品です。


Lot.627 伊藤若冲
《鶏図》
各紙本・水墨 
印あり
エスティメイト ★\600,000~1,000,000



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 悪夢のような奇想の絵から細密描写による歴史画、軽妙洒脱な山水画までを自在に描いた「無頼の絵師」曽我蕭白、呉春という雅号でも知られ、俳人としても活動した松村月渓などの掛け軸も出品されます。




近代の日本画では、美人画が充実しています。

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 こちらは、鏑木清方、伊東深水、伊藤小坡の美人画コーナーです。
3人が得意とした風俗美人画です。いろいろな季節のものがありますので、お探しの季節の軸にぴったりの作品があるかもしれません。このほかに、深水に師事した横尾芳月の屏風《手古舞「三社祭」》も出品されます。
                     

B1Fには日本洋画、外国絵画を展示しています。
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下見会はいよいよ明日までとなりました。
オークションスケジュールはこちら

みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

(執筆:S)

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近代美術下見会@銀座

 いよいよ夏本番となってまいりました。今年も猛暑が続きそうですね。
今週は銀座で7月近代美術の下見会を開催しております。
今回は150ロットと出品作品数が多いため、久しぶりに作品が所狭しと並んでいます。

1Fは日本画と外国絵画のフロアです。

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日本画ゾーンです。
今回は杉山寧のオリジナル版画原画をはじめ、東山魁夷、平山郁夫、加山又造など、
人気作家の作品が充実しています。


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外国絵画はこちら。
シャガールやルノワールはぜひ会場で実物をご覧ください。


B1Fは日本洋画のフロアです。

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荻須高徳やレオナール・フジタの作品がたくさん出品されます。

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 今回も長谷川利行の名品がずらり。
 余談ですが、夏といえばビールのおいしい季節です。利行がこの作品を描いた時代は、ビールが日本酒の消費を抑え、最もメジャーなお酒になろうとする頃でした。絵を売ったお金はすぐに酒代に変えてしまったという利行も、ビールを好んだのでしょうか…。
というわけで、今日はこちらの作品をご紹介いたします。


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101 長谷川利行(1891-1940)
《麦酒工場》
45.0×52.6cm
キャンバス・油彩 額装
1928年頃作
木村東介シール
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
エスティメイト ¥3,500,000~4,500,000


 威風堂々たる近代建築のビール工場を描いた作品です。
関東大震災の後の東京では、こうした鉄とコンクリートの巨大な造形物やモダンなビルが次々に建設されました。利行はそれらに強い関心を抱き、ガスタンクや駅、工場などをしばしば描きました。
 本作品は、当時、隅田川にかかる吾妻橋を隔てて浅草の対岸にあった、大日本麦酒株式会社の吾妻橋工場をモチーフとしたものです。この建物は現在は取り壊され、この場所にはアサヒビール本社が建っています。強い正面性や尖塔を思わせる煙突などの描写は、あたかもそれがパリの街角に立つ教会であるかのような、利行の西洋的なものへの興味を窺わせます。

7月は久しぶりの近代美術オークション単独開催となります。
毎日うだるような暑さですが、ぜひ銀座での下見会、丸ビルでのオークションにお出かけください。
みなさまのお越しを心よりお待ちしています。


(執筆:S)

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PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
シンワの7月のオークションは、「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」(17日・土)と、「近代美術」(24日・土)に分けて開催いたします。

「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」の下見会を、銀座・シンワアートミュージアムにて現在、開催中です。
JEWELLERY&WATCHESが167点、近代美術PartⅡが383点という多数の作品が出品される今回のオークション。本日は、その中からいくつかの作品をご紹介したいと思います。

まず、日本の戦後美術を代表する前衛芸術家、斉藤義重(1904-2001)の作品です。
ご覧下さい。
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Lot 754 斉藤義重
《ドリル(青)》
17.1×13.3cm(40.3×36.7cm)
合板(ドリルを使用)・油彩 裏に署名
★¥250,000~¥500,000

斉藤義重(1904-2001)は、日本のコンテンポラリーアートのパイオニア的な作家です。早くから抽象表現に取り組み、1960年第30回ヴェネチア・ビエンナーレに出品、グッゲンハイム国際美術賞展で優秀賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されています。
《ドリル(青)》は、斉藤の代表的なシリーズのひとつ、電動ドリルを使用した作品です。ドリルで板に点や線を刻み、青の絵具を塗って仕上げることで、作品は絵画と彫刻、平面と立体という境界を越えています。また、制作の際、斉藤はドリルで板を刻むという行為を大切にし、その過程も作品の一部と考えました。こうした前衛的でユニークな作風は、制作からおよそ50年がたった今も新鮮で刺激的な感覚を与えてくれます。

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Lot 838 清水多嘉示 「裸婦」
H50.0×W15.6cm / 下部に銘 共箱
★¥100,000~¥200,000

1923年絵画を学ぶためパリに渡った清水多嘉示(1897-1981)は、「サロン・デ・テュイルリー」でオーギュスト・ロダンの高弟、アントワーヌ・ブールデルの作品と出合い、強い感銘を受けました。その影響で彫刻家に転向した清水多嘉示は、レオナール・フジタ、イサム・ノグチ、小山敬三らとの交遊を持ちながら、エコール・ド・パリの日本人作家、第1世代として堅実な制作活動を続けます。
余談ですが、1949年、当時武蔵野美術大学で教鞭を執っていた清水多嘉示は、韓国からの留学生、權鎭圭(コン・ジンギュ、1922-1973)と出合い、今度は師匠の立場でコンに強い影響を与えるようになります。コンは、韓国では天才彫刻家と称された作家で、昨年には、日本の東京国立近代美術館・武蔵野美術大学、そして韓国のソウル市立美術館での回顧展が大々的に開催されました。日本の彫刻家の第1世代である清水多嘉示、そして、韓国の彫刻家の第1世代となるコン・ジンギュ。ブールデルからコンまでのこのような縁の繋がりは、まさに「美術史」そのものと言えるでしょう。
作品《裸婦》は、力を抜いた自然なポーズ、胴体から漂う生命感、そして夢見るようにどこかを見つめる女性の視線までを、よく捉えた肉感溢れる作品です。

そして最後に、草間彌生の版画コレクションをご紹介いたします。

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Lot 536 草間彌生
《ハンドバッグ》
シート53.3×61.1cm
下余白にサイン・Ed.90/100
草間彌生全版画集No.80(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

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Lot 525 草間彌生
《富士》
シート55.2×68.7cm
下余白にサイン・Ed.23/75
草間彌生全版画集No.24(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

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Lot 531 草間彌生
《金魚》
シート53.4×60.9cm
下余白にサイン・Ed.19/100
草間彌生全版画集No.80(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

今回の「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」では草間彌生の42点の見事な版画群が皆様をお待ちしています。色鮮やかなこの作品たちは、彼女のモチーフとしてよく知られる南瓜・帽子・ネットから、富士・貝・金魚など、ちょっと珍しいモチーフまで、草間のファンである方々にはとても楽しむことができる内容です。それにエスティメイト¥50,000~¥100,000、¥80,000~¥150,000という魅力的なお値段は、今度こそ草間を手に入れることができる絶好の機会になるかもしれません。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。


<執筆:W>

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ルノワールとセザンヌ~7月近代美術オークションの印象派

“印象派Year”の今年は、マネからモネ、ルノワール、ポスト印象派のゴッホやゴーギャンまで、世界中から集められた名品を国内の美術館で観ることができます。雑誌でも印象派を特集したものをよく見かけますね。
シンワの7月の近代美術オークションにも、印象派の巨匠2人の作品が出品されます。今日はそれらをご紹介いたします。

まずはこちら。

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Lot.148 ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)
《横たわる少女》
33.0×41.1cm
キャンバス・油彩 額装
1890年作
右下にサイン
Francois Daulte鑑定証書つき
Ambroise Vollard,Pierre-Auguste Renoir,San Francisco,1989,P.46 №181ほか掲載
エスティメイト ★ \40,000,000.~60,000,000



 印象派を代表する画家のひとり、ルノワールは、フランス中西部リモージュの仕立て屋の家に生まれました。20歳の頃、国立美術学校に入学。同じ時期に通った絵画教室でモネやシスレーらと出会い、ともに革新的な絵画を模索していきます。戸外での制作を取り入れ始めると、眩いばかりの自然の光で画面を満たし、同時代を生きる人々の姿を生き生きと描き出しました。「印象派」と呼ばれた1870年代を経て、1890年代以降は女性美に情熱を傾けた円熟期の作風を展開します。

 円熟期に差し掛かる1890年頃に制作された女性像です。ここでは「真珠色の時代」と呼ばれるこの時期の特徴が見て取れます。
 それは、溶け合うようなタッチと柔らかな色調です。印象派の時代は、目で捉えた外光や空気の描写に重点が置かれていたため、モチーフはより明快なタッチと色遣いで表現されました。しかし、本作品では、少女を愛でるように優しく描き出し、その美しさを引き立てるように周囲の自然を簡略化して描いています。それゆえ、少女に光が当たっているのではなく、彼女の内側から輝きが放たれているようにも感じられます。
 そして、少女のふくよかな身体や赤く染まる頬もこの時期の特徴のひとつです。これは、梅原龍三郎など、日本の画家たちが憧れた女性像のスタイルでもあります。

 また、田園的なモチーフは、1880年代から取り入れ始めた題材ですが、晩年にかけてたくさん描かれるようになっていきます。パリで麦藁帽子が流行っていたから、というのもその理由のひとつですが、ダンスをする若者たちなど、時代の空気がよく伝わるようなモチーフの多かった印象派時代に比べ、ルノワールがより普遍的な美しさを求めていたためとも考えられます。


もう1点はこちら。

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(表)                           (裏) 

Lot.145 ポール・セザンヌ(1839-1906)
《樹木の習作》
紙面:15.8×15.7cm 画面:14.3×14.6cm
紙・水彩 額装
1885-1890年頃作
福島繁太郎箱
西洋美術名作展出品 1957年(京都市美術館/朝日新聞社)
三人展:セザンヌ・ルノワール・ルオー出品 1963年(新宿・伊勢丹/毎日新聞社)
John Rewald,Paul Cezanne,The Watercolors:A Catalogue Raisonne,Italy,1983,№278,catalogued P.150
エスティメイト \3,000,000.~4,000,000


 ピカソの「唯一の先生」、マティスにとっての「絵の神様」といえばセザンヌです。セザンヌは「近代絵画の父」とも呼ばれ、コンテンポラリーアートも彼から始まったと言って過言ではありません。
 セザンヌは、南仏エクス=アン=プロヴァンスの裕福な銀行家の家に生まれました。最初は法律を学びましたが、22歳のとき画家を志してパリへ。ピサロに出会い、印象派の絵画を制作していきます。後に再び南仏に移住し、静物画、風景画、人物画、それぞれの分野において自然の本質や永遠性を構築的に表現することを探究しました。その深い造形性は、キュビスムなどの20世紀美術に決定的な方向性を示したと言えます。

 1880年代、セザンヌはしばしば南仏レスタックやエクスを訪れ、風景画に取り組みました。代表作とも称される「サント=ヴィクトワール山」の連作もこの時代に描かれたものです。りんごの静物画のイメージが強いセザンヌですが、生涯制作した作品は風景画が圧倒的な数を占めています。
 本作品を描いた1885-90年頃、セザンヌは水彩画に精力的に取り組みました。印象派時代の風景画では、陽光が降り注ぐ樹木を揺らめくように軽やかなタッチで描いていましたが、この時期のセザンヌにとって樹木は画面構成上の重要な要素のひとつでした。それゆえ、均整のとれた配置で幹をしっかりと捉え、葉の茂みで空間にリズムをもたらしました。爽やかな色彩で描いた本作品においても、幹を中心に画面が構成されています。こうした構成への強い関心から、この時期のセザンヌがすでに印象派を超克し、円熟期を迎えていたことがわかります。軽やかな雰囲気の作品ですが、自然と向き合い、そこから受ける感覚をいかにして画面に実現させていくかという、セザンヌ芸術の根幹が垣間見られます。

これらの作品は10日は大阪で、21~24日は東京でご覧いただけます。

下見会スケジュールはこちら

印象派ファンのみなさまは展覧会とあわせてシンワの下見会にもぜひどうぞ!
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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松園・清方・深水 美人画の競演

5月22日(土)の近代美術オークションには、美人画の名品が多く出品されます。今回はその中から、選りすぐりの3点をご紹介いたします。

 その前に、まず「美人画」のお話を少し。
「美人画」のはじまりは、江戸時代の浮世絵です。奈良や平安の頃から美しい女性を描いた絵巻や屏風はありましたが、町娘や遊女などをモデルに女性の美しさを追求するようになったのは、菱川師宣や喜多川歌麿など、浮世絵の美人絵の絵師たちでした。美人絵は、江戸時代、およそ150年に渡って流行し、百花繚乱の様相を呈しました。
 しかし、幕末になると、美人絵は次第に退廃的な官能美へと向かっていき、明治に入ってから山水画や花鳥画が日本画の一ジャンルとして確立していく中で、あまり高い評価を得られませんでした。
 明治時代後半、美人絵を肉筆による近代的な「美人画」として新しい感覚で蘇らせたのが、鏑木清方や上村松園です。清方をはじめ、江戸の浮世絵の流れを汲む画家たちと、松園ら、京都の円山四条派に派生する画家たちによる優れた制作と努力によって、「美人画」は日本画の重要なジャンルとして確立し、高く評価されるようになりました。


まず、「西の松園・東の清方」と称された二人の美人画の名手の作品をご紹介いたします。

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Lot.98 上村松園《新蛍》
46.5×50.8cm
絹本・彩色 軸装
右上に落款・印
共箱
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
エスティメイト \8,000,000.~14,000,000.


 上村松園(1875-1949)は京都の町家生まれ。20歳のとき竹内栖鳳に師事。初期から晩年まで、一貫して美人画を描き続け、近代の美人画を導き続けました。1948年女性としてはじめて文化勲章を受章。日常を生きる人間としての女性美を女性自身の心と眼差しで捉え、気高く描き出した画家です。

 こちらはこれからの季節にぴったりの作品です。松園は初夏の風物詩・蛍を愛でる女性というモチーフを好んで描き、同じ画題では昭和4年作(山種美術館蔵)や昭和19年作(東京国立近代美術館蔵)がよく知られています。「すだれ越しの女性」は、浮世絵に多く登場する題材で、透かしの奥に女性を配することにより、余情、奥ゆかしさといった日本的な美意識を表現し、風の動き、夏の涼を演出するものです。松園はその技を学んだ上で、浮世絵の主な鑑賞者であった男性の好みに添った視点を、松園の理想とした自立した女性のそれに置き換え、計算され尽くした巧みな画面構成により全く異なる美的世界を創造しています。「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵」を目指し、日本女性の美の極みを表現した松園を象徴するような作品です。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】


Lot.86 鏑木清方《紅筆》
114.3×50.7cm
絹本・彩色 軸装
大正3年(1914)作
右下に落款・印
共箱
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
エスティメイト \2,000,000.~3,000,000.


 鏑木清方(1878-1972)は東京神田生まれ。13歳で浮世絵の流れを汲む挿絵画家・水野年方に師事。挿絵画家として活躍した後、1907年から官展へ本画を出品し、日本画家としての地位を確かなものにしました。関東大震災を機に東京の姿が一変すると、江戸の面影を残した明治の下町の風俗に思いを寄せ、女性をモチーフに往時の人々の情緒溢れる日常の情景を描きました。

 本作品は1914(大正3)年作。1907年に文部省主催の美術展覧会(文展)が開設されると、当時の青年画家たちは画壇の登竜門としてこの展覧会での入選を目指すようになります。この時期、本画制作に精力的に取り組んだ清方も毎年文展に出品し、画家として大きく飛躍していきました。美人や風俗を描いた日本絵画の系譜を遡り、喜多川歌麿や勝川春章、鈴木春信らの浮世絵諸派をはじめ、近世初期風俗画までの伝統表現を研究した上に、清新な女性像を作り上げていったのです。本作品では、女性の黒目が印象的な顔立ちや画面いっぱいに人物を描く構図が、この時代の作風をよく示しています。若い女性が紅をさす所作が醸し出す情感と、たっぷりと波打つ着物の華やかで洗練されたデザインが魅力的な作品です。


 松園や清方らの活躍で、大正、昭和の美人画は画壇において高く評価されるようになりました。彼らに続いて多くの日本画家たちが美人画を描きましたが、戦後の美人画を担った画家といえば、清方の門下生・伊東深水です。


【オークション終了につき、図版は削除いたしました】


Lot.93 伊東深水《静座》
55.0×46.0cm
紙本・彩色 額装
右横に落款・印
共シール
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
エスティメイト \3,000,000.~4,000,000.


 伊東深水(1989-1972)は東京の深川生まれ。13歳で鏑木清方に師事。16歳の若さで院展、翌年には文展に入選するなど早くから頭角を現し、以降、日本画壇の中核を担い続けました。女性像に自らの理想を追求しながら、時代の風俗や流行をも描き込み、モダンで品格ある作風を展開。浮世絵の伝統を今日に受け継いだ、「最後の浮世絵系美人画家」と称される画家です。

 戦後の深水が得意とした、洋髪和装のモダンな女性像です。落款・印から、昭和30年代以後の作でしょうか。この時期の深水は、色彩や線描、構図などにおいて、余分な要素を削ぎ落とすような作風へと向かっていきましたが、本作品においても無駄のないすっきりとした構成が見て取れます。ここでは、《静座》という画題の通り、女性が心を落ち着けて静かに座っている様子が描かれています。気品の漂うその姿には、深水が追求したいつの時代も変わらない日本女性の美しさの本質とともに、当時の若い女性らしい凛とした雰囲気が描き出されています。

ぜひ会場で三作家三様の美しさをご堪能ください。
みなさまのご来場を心よりお待ちしています。


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(執筆:S)

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PartⅡ下見会@銀座

 今週は銀座で近代美術PartⅡ、明日からは大阪でも近代美術とジュエリー&ウォッチの下見会を開催いたします。
今回は銀座会場の様子を少しご紹介いたします。

 1Fの日本画のコーナーには、目黒雅叙園コレクションの作品が展示されています。なかでも、今回ご注目いただきたいのは「歴史画」です。

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目黒雅叙園コレクション


 歴史画とは、その名の通り、歴史上の人物や出来事を描いた作品を指します。
こうした題材は、古くから伝統的に絵巻などに描かれてきましたが、明治に入り、政府の芸術政策を一手に担った岡倉天心の指導によって、近代国家の発展のための重要な絵画という新たな意義がもたらされ、確立したジャンルです。天心は、歴史上の著名な人物や出来事を重んじることが、新しい日本のために必要だと考えたのですね。歴史画はそのプロパガンダとしての役割を担い、日本画だけでなく、洋画でも描かれていきました。
 このジャンルで特に有名なのは、小堀鞆音(こぼり ともと)や松岡映丘ら官展系の作家や、安田靭彦、前田青邨、小林古径といった院展系の作家たちです。

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圧巻の歴史画です。


 歴史画はなんといっても、描かれた時代に連れて行ってくれるような、ロマン溢れる世界観が魅力です。今回出品されるLot.740林雲鳳《安宅》やLot.741森戸果香《斉藤別当》では、武将が身に付けた武具や装束、傍らにある道具などが、細やかに表現され、その場面の緊張感や人物たちの息遣いが伝わるようです。
また、Lot.743小山栄達《阿修羅》では、合戦の場面が幻想的に表現されています。どの作品も歴史画らしい品格と画家の技量の高さを感じさせますね。


B1Fでは、洋画や外国絵画、絨毯などを展示しています。
今回の洋画は、織田広喜の作品が充実しています。

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織田広喜コーナーです


 織田広喜(1914- )は福岡県生まれ。少年時代、村の寺で墨絵を習い、のちに仏画家・犬丸琴堂に油絵の手ほどきを受けます。1939年日本美術学校西洋画科卒業。1940年二科展に初入選。1948年洋画家・岡田謙三の家に住みこみ、制作に励みました。1950年二科会員となって以降、同会展に出品を続けます。1960年初の渡仏、以降取材のため、たびたびフランスを訪れます。1968年二科展にて内閣総理大臣賞受賞。1993年勲四等瑞宝章受章。1994年日本芸術院賞を受賞し、翌年、日本芸術院会員となりました。2006年二科会理事長に就任。哀愁漂う都会の情景と物憂げな雰囲気の女たちを描く、洋画界の重鎮です。

 Lot.627《セーヌ河畔》やLot.630《白鳥と少女たち》など、100cmを超える大作では、織田作品の幻想的な世界に入り込んだかのような独特な雰囲気に包まれます。また、Lot.619《若き日のリラ》は、画家の愛妻を描いた作品です。ほかにも女性像がたくさん出品されますが、どの女性もアンニュイな雰囲気が魅力的です。合計18点出品されますので、織田広喜ファンの方はぜひご覧ください!

みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

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(執筆:S)

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西洋美術下見会スタート

 本日より西洋美術下見会が銀座シンワアートミュージアムでスタートしています。
(オークション4月17日(土)15:00~。詳細はこちら)

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地下の様子



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1階の様子

 西洋美術オークションはほぼ一年に二回の頻度で開催されており、高い落札率を出しています。
 今回は、いつも熱い人気を集めるアンティーク・ドールや、絨毯を含む総数338点が出品され、華麗なデコラティブ・アートの数々が会場を彩ります。 

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 LOT94 《マイセン「華麗なオーケストラ16体組(ガラスケース付き)」》(Est.\700,000~¥1,000,000)は、ぜひお近くでその精巧な作りをご覧いただきたい作品です。貴族が日々の暮らしの中に芸術を取り入れ、愛でていたことを伺わせるもので、豊かな動きと一体一体に異なる表情が飽きさせない作品です。《猿のオーケストラ》はマイセンを代表する21体(+譜面台)ですが、今回の出品作品もそれに類するマイセンの魅力溢れる一揃いです。

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指揮者の燕尾服の下に隠れた筋肉の動きやバイオリンの弦まで表現されています。


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 女性のお客様のご来場も多い西洋美術。ロイヤルコペンハーゲンのお皿やカップ&ソーサー(写真左の棚上段)、ロブジュのパフューム・ランプ(写真右Lot230 Est. ★¥50,000~¥100,000)など、ご自身の鑑賞用のほか、贈り物にも素敵なお品が並びます。
 オークションは初めてという方もぜひこの機会にお立ち寄りください。

(井上素子)

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鍍金ブロンズマントルクロックセット

こんにちは。
みなさんお花見は行かれましたか?
桜はもちろんですが、最近は新入社員や新入生らしき人たちを見かけると春だなあと思ってしまいます。

さて、シンワの4月といえば、西洋美術オークションです。
今日は出品作品の中から1点ご紹介いたします。

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lot.128 鍍金ブロンズマントルクロックセット
時計:H86.0×W45.0cm
キャンドルスタンド:各H96.3×W40.0cm
鍵、振り子付き
★\1,200,000~1,800,000



 マントルクロックは、マントルピース(暖炉の飾り棚)を美しく飾るために作られた時計です。
 暖炉が現在のスタイルになったのは中世の北ヨーロッパ。煙突によって排煙する方式が発明され、部屋の好きな場所に暖炉を配置できるようになりました。すると、部屋の中で最も居心地の良い場所である暖炉の前が、その部屋の上座とされるようになっていきます。それとともに、暖炉は、暖をとり、肉を焼くための道具という本来の性質に加え、その家のステイタスシンボルとしての意味合いを帯び、王侯貴族たちの間で流行していきました。
 
 マントルピースも、ゴシック、ルネサンス、ロココ様式など、時代と文化の変遷に合わせて装飾的で芸術性の高いものが作られるようになります。そこには、家の最も格式の高い場所に相応しい美術品が飾られました。マントルピースを美しく、誇り高く彩るために生まれたマントルクロックは、家の富と名誉の象徴と言えるでしょう。
 
 本作品は、アンピール様式の装飾美が随所に見て取れるマントルクロックセット。アンピール様式とは、1804年ナポレオン1世が帝政を確立してから19世紀中期頃まで、フランスの建築、家具、装飾美術などに流行したデザインを指します。大きな特徴は、当時の優れた鍍金技術を駆使した壮麗で重厚な作風と、シンメトリックなデザイン。ナポレオンが憧れた古代ギリシア・ローマ、エジプト美術の要素を取り入れ、スフィンクス、勝利の女神、月桂樹など、その文化を代表するモチーフが用いられました。
 
 本作品においても、中央の置き時計の最上部に、ローマ神話における愛の神・キューピッドを表す矢立てと松明、ギリシア・ローマ時代から霊木として崇められた月桂樹を編んだ冠を組み合わせ、愛と栄光を象徴しています。置き時計と2点のキャンドルスタンドのそれぞれにシンメトリーに配されたスフィンクスは、エジプトやギリシアの神話に登場する、鷲の翼と女性の上半身を持った神聖な生物です。こうした均整の取れた優美な装飾と、セット全体が醸し出す重厚感の見事な調和は、アンピール様式の粋と言えるでしょう。英雄の時代の装飾美と、本作品ほどの大きなマントルクロックが設えられた名家の風格を現在に伝える逸品です。

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みなさまのご来場を心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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