近代美術下見会@銀座


 いよいよ夏本番となってまいりました。今年も猛暑が続きそうですね。
今週は銀座で7月近代美術の下見会を開催しております。
今回は150ロットと出品作品数が多いため、久しぶりに作品が所狭しと並んでいます。

1Fは日本画と外国絵画のフロアです。

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日本画ゾーンです。
今回は杉山寧のオリジナル版画原画をはじめ、東山魁夷、平山郁夫、加山又造など、
人気作家の作品が充実しています。


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外国絵画はこちら。
シャガールやルノワールはぜひ会場で実物をご覧ください。


B1Fは日本洋画のフロアです。

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荻須高徳やレオナール・フジタの作品がたくさん出品されます。

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 今回も長谷川利行の名品がずらり。
 余談ですが、夏といえばビールのおいしい季節です。利行がこの作品を描いた時代は、ビールが日本酒の消費を抑え、最もメジャーなお酒になろうとする頃でした。絵を売ったお金はすぐに酒代に変えてしまったという利行も、ビールを好んだのでしょうか…。
というわけで、今日はこちらの作品をご紹介いたします。


 img_101のコピー

101 長谷川利行(1891-1940)
《麦酒工場》
45.0×52.6cm
キャンバス・油彩 額装
1928年頃作
木村東介シール
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
エスティメイト ¥3,500,000~4,500,000


 威風堂々たる近代建築のビール工場を描いた作品です。
関東大震災の後の東京では、こうした鉄とコンクリートの巨大な造形物やモダンなビルが次々に建設されました。利行はそれらに強い関心を抱き、ガスタンクや駅、工場などをしばしば描きました。
 本作品は、当時、隅田川にかかる吾妻橋を隔てて浅草の対岸にあった、大日本麦酒株式会社の吾妻橋工場をモチーフとしたものです。この建物は現在は取り壊され、この場所にはアサヒビール本社が建っています。強い正面性や尖塔を思わせる煙突などの描写は、あたかもそれがパリの街角に立つ教会であるかのような、利行の西洋的なものへの興味を窺わせます。

7月は久しぶりの近代美術オークション単独開催となります。
毎日うだるような暑さですが、ぜひ銀座での下見会、丸ビルでのオークションにお出かけください。
みなさまのお越しを心よりお待ちしています。


(執筆:S)