PartⅡ下見会@銀座


 今週は銀座で近代美術PartⅡ、明日からは大阪でも近代美術とジュエリー&ウォッチの下見会を開催いたします。
今回は銀座会場の様子を少しご紹介いたします。

 1Fの日本画のコーナーには、目黒雅叙園コレクションの作品が展示されています。なかでも、今回ご注目いただきたいのは「歴史画」です。

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目黒雅叙園コレクション


 歴史画とは、その名の通り、歴史上の人物や出来事を描いた作品を指します。
こうした題材は、古くから伝統的に絵巻などに描かれてきましたが、明治に入り、政府の芸術政策を一手に担った岡倉天心の指導によって、近代国家の発展のための重要な絵画という新たな意義がもたらされ、確立したジャンルです。天心は、歴史上の著名な人物や出来事を重んじることが、新しい日本のために必要だと考えたのですね。歴史画はそのプロパガンダとしての役割を担い、日本画だけでなく、洋画でも描かれていきました。
 このジャンルで特に有名なのは、小堀鞆音(こぼり ともと)や松岡映丘ら官展系の作家や、安田靭彦、前田青邨、小林古径といった院展系の作家たちです。

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圧巻の歴史画です。


 歴史画はなんといっても、描かれた時代に連れて行ってくれるような、ロマン溢れる世界観が魅力です。今回出品されるLot.740林雲鳳《安宅》Lot.741森戸果香《斉藤別当》では、武将が身に付けた武具や装束、傍らにある道具などが、細やかに表現され、その場面の緊張感や人物たちの息遣いが伝わるようです。
また、Lot.743小山栄達《阿修羅》では、合戦の場面が幻想的に表現されています。どの作品も歴史画らしい品格と画家の技量の高さを感じさせますね。


B1Fでは、洋画や外国絵画、絨毯などを展示しています。
今回の洋画は、織田広喜の作品が充実しています。

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織田広喜コーナーです


 織田広喜(1914- )は福岡県生まれ。少年時代、村の寺で墨絵を習い、のちに仏画家・犬丸琴堂に油絵の手ほどきを受けます。1939年日本美術学校西洋画科卒業。1940年二科展に初入選。1948年洋画家・岡田謙三の家に住みこみ、制作に励みました。1950年二科会員となって以降、同会展に出品を続けます。1960年初の渡仏、以降取材のため、たびたびフランスを訪れます。1968年二科展にて内閣総理大臣賞受賞。1993年勲四等瑞宝章受章。1994年日本芸術院賞を受賞し、翌年、日本芸術院会員となりました。2006年二科会理事長に就任。哀愁漂う都会の情景と物憂げな雰囲気の女たちを描く、洋画界の重鎮です。

 Lot.627《セーヌ河畔》Lot.630《白鳥と少女たち》など、100cmを超える大作では、織田作品の幻想的な世界に入り込んだかのような独特な雰囲気に包まれます。また、Lot.619《若き日のリラ》は、画家の愛妻を描いた作品です。ほかにも女性像がたくさん出品されますが、どの女性もアンニュイな雰囲気が魅力的です。合計18点出品されますので、織田広喜ファンの方はぜひご覧ください!

みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

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(執筆:S)