【オークション ライブ中継決定!】 11月23日(日)近代美術オークション ライブ中継のお知らせ11月23日(日)に開催される「近代美術オークション」が日経チャンネルにてライブ中継されることが決定致しました。下記配信情報リンク、もしくは日経チャンネルHP(http://channel.nikkei.co.jp/)から、どなたさまでも無料でご視聴いただくことが可能です。 視聴者の皆様には、総数1... Read more
カテゴリー別アーカイブ: 近代美術
棟方志功―漆黒の宇宙、紅色のいのち
こんにちは。7月19日(土)は、「棟方志功―漆黒の宇宙、紅色のいのち」オークションを開催いたします。棟方志功(1903-1975)は、青森のねぶたを思わせる色鮮やかでダイナミックな作風を展開し、生涯おびただしい数の木版画や岩彩画、油彩画を制作しました。板の命を彫り起こすように制作する木版画を「板画」、日本の伝統画法である岩彩画を「倭画」(やまとえ)と呼んだことはよく知られています。その個性豊か... Read more
岩下記念館コレクションのご紹介
こんにちは。先週の西洋美術オークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。 さて、今週19日(土)は、特別オークションとして、岩下記念館コレクションを開催いたします。今日はその出品作品の中から、まさしく「ミュージアムピース」と呼ぶに相応しい名品をご紹介いたします。 224 板谷 波山(1872-1963) 《彩磁蕗葉文大花瓶》H78.3×D43.4cm高台内に描き銘「波山」板谷佐久... Read more
荻須高徳のヴェネツィア風景
こんにちは。厳しかった寒さも和らぎ、少しずつ春らしくなってまいりました。今年の東京の桜の開花予想は3月25日だそうですので、そろそろお花見のプランを立てたいところですね! さて、今週の22日(土)は近代美術/近代美術PartⅡオークションを開催いたします。今回は荻須高徳の作品が3点出品されますので、そちらをご紹介いたします。 荻須高徳(1901-1986)は、愛知県生まれ。1921年上京し、川... Read more
初競り開催!!
年が明け、はや2週間が経ちました。暦の上では間もなく大寒ということもあり、寒い日々が続いております。巷では風邪や胃腸炎が蔓延しているようですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? さて、外は寒くても本年もオークションは熱く盛り上がってまいりたいと思います。2014年の初オークションは1月25日、近代美術PartⅡ/近代美術オークションを開催いたします。近代美術PartⅡは本日1月... Read more
加山又造の動物画―《黒豹》と《日輪》
こんにちは。いたるところでクリスマスイルミネーションの点灯が始まり、早いもので今年も残すところ1ヶ月余りとなりました。シンワアートオークションでは、今週から4週にわたってオークションを開催いたします。最高の盛り上がりで2013年を締めくくりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。 さて、今日も23日(土)開催の近代美術オークションの出品作品から、おすすめの作品をご紹介いたします。現... Read more
富士山を描く―川合玉堂、片岡球子、山下清
こんにちは。
今日は富士山のお話をしたいと思います。
今年の6月、富士山が世界文化遺産に登録されました。
その後、入山料が導入される、登山鉄道を作る構想がある…などの新しい話題に事欠かず、毎日のように映像や写真を見かけるので、ブームはまだまだ続いているようです。
もしかしたら、この夏に登られた方もたくさんいらっしゃるかもしれませんね。
今年の登山シーズンはもう終わってしまったので、私も来年こそは!と思っています。
富士山が世界「自然」遺産ではなく、「文化」遺産に登録されたのは、古くから日本人の「信仰の対象であり芸術の源泉」だったことが評価されたためだそうです。
平安時代の絵巻《聖徳太子絵伝》(国宝・東京国立博物館蔵)にはすでに富士山が描かれていますし、江戸時代には葛飾北斎や歌川広重が富士山をテーマとした浮世絵の連作を制作しました。
ご存知のように、横山大観や梅原龍三郎など、近代にも富士山に魅了され、その雄大な姿を描いた作家たちがたくさんいます。
9月28日(土)の近代美術オークションにも富士山を描いた作品が出品されますので、その中からおすすめの3点をご紹介したいと思います。
【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】
lot.40 川合玉堂
(1873-1957)
《富嶽》
57.4×73.5cm
絹本・彩色 額装
右下に落款・印
川合修二シール
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
落札予想価格 \1,000,000~2,000,000
川合玉堂は最近出版された、富士山の名作を集めた作品集『富士山百画』の中にも作品が収録されています。「玉堂の富士山が好き」という方がたくさんいるということですね。
この作品は、落款・印より昭和20年代の作と思われます。この時期、川合玉堂は現在の東京都青梅市御岳に住居を構え、豊かな自然の中で充実した画業を展開しました。
ここに描かれたのは玉堂の画室の近く、奥多摩の山から見た富士山でしょうか。実際の風景をもとに、樹木やほかの低山と組み合わせた心象風景として表現しています。辺りに漂う霞が、山のしっとりとした濃密な空気を表わすとともに、平面的に配置された各モティーフを調和させています。日本の原風景を描き続けた玉堂らしい、清々しく穏やかな富士山です。
【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】
lot.44 片岡球子
(1905-2008)
《富士》
37.8×45.5cm
紙本・彩色 額装
右下に落款・印
共シール
東京美術倶楽部鑑定委員会付
落札予想価格 \8,000,000~12,000,000
片岡球子は富士山をたくさん描いた作家です。特に、晩年の20年間は制作の大半が富士山になるほど没頭し、歴史上の人物を題材にした「面構え」シリーズとともに球子のライフワークとなりました。
この作品では、中央に大きな大きな赤富士がそびえ、それを飾るように裾野に様々な花と樹木が描かれています。これらは「描かせてくれてありがとう」というお礼の気持ちを込めて、球子から富士山への献花として、まるで山に華やかな着物を着せるように描き添えられたものです。形の大胆なデフォルメ、三原色や金泥を使った鮮やかな色調などの装飾的な表現によって、富士山の満ち溢れるような生命のエネルギーを描き出しています。
【 オークション終了につき、画像は削除いたしました 】
lot.81 山下清(1922-1971)
《富士山》
43.8×36.4cm
紙・ペン 額装
右上にサイン・印
山下清鑑定会鑑定書付
落札予想価格
\1,300,000~1,800,000
「裸の大将」でおなじみの山下清の富士山です。
山下は放浪の旅で訪れた日本各地の風景を、貼り絵や油彩画、ペン画によって表現しました。
この作品は富士山のよく見える場所を訪れたときのスケッチをもとに描かれたものでしょうか。細やかな点描のタッチとデフォルメされた形から、和やかで物語的な雰囲気が漂います。また、どことなく葛飾北斎の《富嶽三十六景》を思わせるような雲をまとった富士山の佇まい、そのスケール感を引き立たせるような構図が秀逸です。
今週のオークションには、田崎広助、福王寺法林、平松礼二、松尾敏男、松林桂月、松本哲男など、ほかにも富士山を描いた作品がたくさん出品されます。
本日からの下見会で、ぜひお気に入りの1点を見つけてみてはいかがでしょうか。
下見会・オークションスケジュールはこちら
皆様のお越しを心よりお待ちしています。
(佐藤)
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放浪の画家・山下清の貼り絵-《桜島》
こんにちは。
梅雨明け以来、毎日猛暑日が続きますね。
今週の暑さはやや控えめという予報ですが、日中外出される方はくれぐれも熱中症にご注意ください。
さて、そんな暑さの中、先週の近代美術PartⅡ下見会にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。
今週の20日(土)は近代美術/近代美術PartⅡオークションを開催いたします。
今回も出品作品の中から一点ご紹介いたします。
【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】
Lot.80 山下 清 《桜島》
45.5×53.0cm
貼り絵 額装
左横にサイン
山下清鑑定会鑑定書付
「生誕80周年記念 山下清展」(2001年・大丸ミュージアム)出品
エスティメイト ¥4,000,000~7,000,000
「裸の大将」でおなじみの山下清の作品です。
ドラマは見たことあるけど…という方のために、プロフィールを簡単にご紹介します。
山下清(1922-1971)は東京都浅草区(現在の台東区)生まれ。3歳のときに患った大病がもとで軽い言語障害と知的障害になりました。12歳で千葉県の養護施設・八幡学園に入園し、授業の一環として始めた貼り絵に才能を開花させていきます。1937年早稲田大学で開かれた学園の子供たちによる展覧会で注目を集め、1939年には個展を開催。これが大きな反響を呼び、多くの画家や文学者たちから賞賛を受けます。1940年に初めての放浪の旅へ出て、その後も繰り返し日本中を旅しました。1949年には点描風の油彩画の制作を開始。1961年初のヨーロッパ旅行へ出かけます。才能が認められるにしたがって注目を集め、生前に山下を主人公とした映画も制作されました。49歳で亡くなった後も、その作品と「裸の大将」と呼ばれる親しみやすいキャラクターは多くの人に愛されています。
1951~54(昭和26~29)年にかけて、山下は放浪の旅の途中で鹿児島を訪れました。桜島を題材とした本作品は、その際のスケッチをもとに制作されたものでしょう。山下は記憶力が大変優れており、一度見たものをはっきりと覚えていることができたため、たとえ数年前に見た風景であっても今目の前にある風景のように鮮やかに表現することができたそうです。そのため、こうした貼り絵作品は、旅先ではなく放浪生活を終えて学園に戻った後に制作されました。
本作品では、鹿児島の市街から錦江湾(鹿児島湾)を隔て、噴煙を上げる桜島を望む風景を描いています。ご注目いただきたいのは貼り絵の緻密さ、それに相反するようなスケール感です。まるで油彩画の点描技法のように小さな紙片を規則正しく並置し、この雄大な風景を表現した点は本当にお見事!としか言いようがありません。
よく見ると前景の家々が立体的に表わされており、これが画面にいっそう奥行きをもたらしていることがわかります。
【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】
(拡大図版。屋根瓦や窓の枠が立体的になっています。)
よく晴れた日に眺めた桜島の美しさと満ち溢れるようなエネルギー、それらに抱いた感動を生き生きと表わす一方で、画面構成においては実はとてもクールに計算していたのかもしれません。山下の「貼り絵」の魅力が存分に発揮されたとても優れた作品です。
こちらの作品は本日からの下見会でご覧いただけます。
下見会・オークションスケジュールはこちら
皆様のお越しを心からお待ちしています。
(佐藤)
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杉山寧の『文藝春秋』表紙絵
こんにちは。
GWが終わり、最近は過ごしやすい日が続いていますね。
先週の近代美術PartⅡ下見会にお越しいただいた皆様、ありがとうございました。
さて、今週は近代美術の下見会とオークションを開催いたします。
今日も出品作の中からおすすめの作品をご紹介いたしますが、その前に…
突然ですが問題です。
梅原龍三郎、安井曽太郎、鏑木清方、杉山寧、高山辰雄、平松礼二
シンワアートオークションでもおなじみのこの作家たちには、ある共通点があります。
それは一体何でしょうか?
答えは、「雑誌『文藝春秋』の表紙絵を担当した作家たち」です。
なんとも豪華なメンバーですね。
現在の担当・松村公嗣氏まで、代々そうそうたる顔ぶれが表紙絵を手掛けてきました。その中でも、最も多くの表紙絵を描いたと言われるのは杉山寧です。
今回のオークションには、杉山が制作した『文藝春秋』表紙絵の原画12点が出品されます。
【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】
Lot.28 杉山寧《遊》
16.0×16.0cm
麻布・彩色 額装
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
『杉山寧』掲載(文藝春秋)
『文藝春秋』昭和45年6月表紙掲載
文藝春秋60周年記念 文藝春秋表紙装画全展
(1982年・日本橋高島屋)
エスティメイト ¥800,000~1,200,000
昭和30年、『文藝春秋』の表紙絵を担当していた安井曽太郎が亡くなり、その後任として当時まだ気鋭の日本画家だった杉山寧に白羽の矢が立てられました。
安井の後を引き受けた杉山の表紙絵は、昭和31(1956)年4月号から昭和61(1986)年12月号まで、実に30年9ヶ月という長期にわたって同誌を飾ることとなり、制作された原画の点数は369点にのぼりました。
今回出品される12点は、昭和45(1970)年1月号から12月号までの原画です。
表紙絵を担当することになった杉山は、「描く以上、たとえ捨て去られるような小さな画面でも、自分は精一杯描き込んでゆきたいのです」と、真摯な姿勢で毎月の原画制作に取り組みました。原画では、通常の本制作同様に岩絵具と麻布を用い、実際の表紙とほぼ同じ大きさの画面に絵を描きました。その一点ずつに漢字一文字のタイトルがつけられていることからも、杉山にとって本制作と同等の存在だったことがうかがえます。また、ときには、石を支持体としたり、石膏で作った凸凹の画面に作画するなど、ほかの画材を使用したり、大胆な実験を試みることもあったようです。
この原画制作において、杉山が最もこだわり、苦心したのが主題だったといいます。毎月雑誌を手に取る読者のために、写実や抽象、スケッチ風などの様々な表現によって、人物、風景、花鳥、動物といったありとあらゆる題材を描きました。そこには、時代の移り変わりや杉山自身の作風の変化、取材旅行の成果や身辺の出来事までが生き生きと映し出されています。
注目すべきは、これらがきっかけとなって日展出品作などの名作が生まれたり、逆に代表作を描いた後にその派生作品として数々の原画が描かれたりしたことでしょう。
【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】
Lot.25 《園》
16.0×15.3cm
麻布・彩色 額装
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
『杉山寧』掲載(文藝春秋)
『文藝春秋』昭和45年1月表紙掲載
文藝春秋60周年記念 文藝春秋表紙装画全展
(1982年・日本橋高島屋)
エスティメイト ¥1,500,000~2,000,000
孔雀をモティーフとした作品は原画以外の本制作にもありますが、たとえばこのLot.25《園》は同じ画面構成で一羽の孔雀を描いた作品《爽(絢)》(昭和44年作)を発展させたものであり、その後、二羽の孔雀を象徴的な空間に構成した名作《禔》(昭和58年作)に影響を与えたとも想像できます。
また、美術評論家の小川正隆氏は、一連の表紙絵を「絵による俳句」と評しましたが、本制作以上に四季折々の自然の移り変わりとその感慨が風情豊かに描かれていることが表紙絵の大きな特徴です。8月号のLot.30《風》や9月号のLot.31《叢》などは、特に季節感が重視されています。
【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】
Lot.30《風》 Lot.31《叢》
15.6×15.0cm 15.8×15.4cm
麻布・彩色 額装 麻布・彩色 額装
東京美術倶楽部鑑定委員会 東京美術倶楽部鑑定委員会
鑑定証書付 鑑定証書付
『杉山寧』掲載(文藝春秋) 『杉山寧』掲載(文藝春秋)
『文藝春秋』昭和45年8月表紙掲載 『文藝春秋』昭和45年9月表紙掲載
エスティメイト ¥500,000~800,000 エスティメイト ¥1,000,000~
1,500,000
長期にわたる連載という性質上、杉山は読者を飽きさせない視覚的な新鮮さを心掛け、こうして様々な工夫をこらしました。結果としてそれらは、本制作にも大きな刺激をもたらす豊饒な作品群となったのです。また一方で、本制作では見ることのできない画家の素顔をうかがわせるものとしても、大変味わい深い仕事と言えるでしょう。
杉山の表紙絵12点は、22日(水)からの下見会でご覧いただけます。
昔の『文藝春秋』をお持ちの方は、もしかして「この表紙、うちにある!」なんてことがあるかもしれませんね。
下見会・オークションスケジュールはこちら
皆様のご来場を心よりお待ちしています。
(佐藤)
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杉山寧の抽象絵画―《林》
こんにちは。
16日(土)の近代美術PartⅡオークションにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
この日、観測史上最も早いペースで東京の桜の開花が発表されました。
今週末には都心はもう見頃を迎えるそうなので、お花見の後はぜひオークションにお立ち寄りくださいね。
では、23日(土)の出品作品の中から1点ご紹介します。
【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】
181 杉山 寧《林》
188.0×147.0cm
麻布・彩色 額装
1961(昭和36)年作
共シール
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
展覧会歴:第4回新日展(1961年・東京都美術館)ほか多数
文献:『現代日本の美術 第8巻 杉山寧』(1977年・集英社)ほか多数
エスティメイト ★\20,000,000~40,000,000
今年は杉山寧の没後20年にあたり、現在各地で展覧会が開催されています。
皆様はもうご覧になりましたか?
杉山の大規模な展覧会が開催されるのは、なんと17年ぶりとのこと。会場の一つ、日本橋高島屋は連日たくさんの人で賑わっているそうです。
杉山寧(1909-1993)は、東京生まれ。東京美術学校在学中に帝展で入選、その後首席で美校を卒業し、注目の若手作家として華々しく画壇デビューを飾りました。松岡映丘に師事する一方、同門の画家たちと「瑠爽画社」(るそうがしゃ)を結成し、新しい日本画の可能性を積極的に追求していきます。初期の写実的な作風から、戦後は抽象表現を経て、エジプトやカッパドキアの風物、裸婦や花鳥など、様々なテーマに卓抜した造形感覚と描写力を発揮しました。1974(昭和49)年文化勲章受章。
杉山の画業において、ひときわ異彩を放つテーマといえば、1959(昭和34)年から1962(昭和37)年にかけて制作された抽象表現でしょう。
この時期に欧米から伝わったアンフォルメルや抽象表現主義の流行に敏感に反応したものとも考えられますが、抽象に至る数年間の作品に造形や象徴的な空間づくりへの意識が次第に高まっていく様子が見られるため、むしろ必然的に辿りついたものなのかもしれません。それは伝統的な日本画の情緒的・文学的な要素を徹底的に排除した、純粋な造形表現による絵画であり、日本画家の枠を超えた画家であろうとする杉山の強い意志表明とも言えるものでした。
1961(昭和36)年(当時52歳)に制作された本作品は、同年の第4回新日展出品作。その完成度の高さから一連の抽象表現の到達点とも評されています。画像では伝わりにくいのが残念ですが、縦188cmという大画面を覆い尽くす重厚な絵肌の迫力は圧巻です。
こうした抽象絵画は、自然から受けたイメージを象徴的なフォルムにまで高めるという手法で描かれていますが、伝統的な日本画が題材としてきた日本特有の風景を描いたものは一点もありません。本作品では木々が絡み合うようにして立ち並ぶ林のイメージを太い描線で表しており、まるでその隙間から光が差し込んでいるかのように背景の中央付近をやや明るく描くことで、描線は樹木が天へと伸びていくような生命感を感じさせます。
また、岩絵具に細かい砂などを混ぜた堅牢で重厚なマチエールは、自然を抽象化する過程で見出されたもので、画面に造形の力強さと喚起力、神秘性をもたらしています。こうしたマチエールはこの後の杉山芸術の大きな特徴となり、これを支えるために、本作以降の作品では支持体に麻布が使用されるようになりました。実際の風景と画家の心象とが溶け合う象徴的な画世界が完璧なまでに表現された作品であるとともに、杉山芸術の確立を示すターニングポイントとしても貴重な一点と言えるでしょう。
その圧倒的な存在感をぜひ会場で体感してください。
下見会・オークションスケジュールはこちら
《林》をご覧になった後はこちらもどうぞ。
「杉山寧展」 日本橋高島屋 (~3/25 その後全国巡回)
「杉山寧とポーラ美術館の絵画」 ポーラ美術館 (~7/7)
みなさまのお越しを心よりお待ちしています。
(佐藤)
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