カテゴリー別アーカイブ: コンテンポラリー

オークションができるまで(3)~カタログ完成しました!~

本日、SUMMER+AUCTIONのカタログが出来上がりました。

慎重に慎重を重ね、校正を繰り返し・・・
校正


このように仕上がりました。
表紙


表紙を開くと・・・・
家具

横尾


中はこのような感じです。
カタログには、1つ1つの作品についての詳しい情報(サイズなどの基本的な情報に加え、展覧会出品歴や掲載文献なども。)、解説を掲載しています。
日本のアートマーケットの今が俯瞰できる、ガイドブックとしてお楽しみいただけること請け合いです。

カタログは、1冊3000円でご購入いただけます。
お申し込みは、当社HPからどうぞ!

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「デザイン=アート」志向(2)

lot157 ジャン・プルーヴェ
   lot157 ジャン プルーヴェ 
      《ダイニングテーブル》 
       w199.0×d 73.0×h 72.0 cm 
       製造:アトリエ ジャン プルーヴェ 
       オーク、 ラッカー塗装スチール 
       落札予想価格:250万円~400万円
従来、デザイン家具のマーケットは、家具を愛好するコレクターたちによってその多くが占められていました。

しかし、近年、その流れは転換期を迎えます。

きっかけは、近代建築の巨匠、ル・コルビジェに連なるデザイナー、シャルロット・ペリアンやジャン・プルーヴェのアイテム。

彼女・彼らのデザインした家具が、家具コレクターによる収集の対象から、富裕層のステータスへとシフトし始めたのです。その結果、ペリアンやプルーヴェの市場価格は、この10年で約20倍以上に膨れ上がりました。

この「デザイン=アート」志向は、富裕層や投資家による影響が色濃いと言われています。欧米の富裕層にとって、邸宅を飾る絵画や身に纏うジュエリーはもちろんのこと、さらに家具にも拘ることこそがステータスとなります。近年、その家を飾る家具が16~18世紀のデコラティブな木製家具から、20世紀の新素材を用いた優れたデザインへと変化し、現在のデザイン収集熱を招いたのです。

これは、本来使うためのデザインが、オブジェや絵画のようにアートとして扱わる時代の幕開けといえます。日本でも、アートのある生活空間・優れたデザインに囲まれたライフスタイルは、ますます身近なものになっていくのではないでしょうか。

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「デザイン=アート」志向(1)

SUMMER+AUCTIONでは、シンワアートオークションの新たな試みとして、デザイン家具が登場します。

近年、欧米を中心とした海外のオークションハウスで「デザインオークション」が活況を呈するなど、美術界においてアートとデザインの境界線が曖昧になりつつあります。

今月4日~8日にスイス、バーゼルで開催された世界最大のアートフェア「アート・バーゼル」。ここでは同時期にデザインに特化したフェア、「デザイン・マイアミ」も開催されており、アンティークからアートピースとしての限定生産家具まで、世界中のコレクターの注目を集めています。
デザイン家具のコレクターとしても知られる俳優のブラッド・ピットも、ここで総額100万ドル近くの家具を購入したのだそうです。


lot153 エットーレ・ソットサス
lot153  エットーレ・ソットサス
    《Barbarella》  
     w 111.0×d 72.0×h 130.0 cm
     製造:ポルトロノーヴァ 
     イタリアンウォルナット、真鍮 
     落札予想価格:40万円~60万円
ここ数年、銀幕のスターやファッション・デザイナーなど、もともと審美眼に優れたセレブリティ達はこぞって「デザイン趣向」を強めています。

ブラッド・ピットは椅子のコレクターで、夢は椅子のミュージアムを作ること。

トム・ハンクスはヴィンテージ・ポールケアホルムのコレクター。

ダイアン・キートンは家全体をフランク・ロイド・ライトの孫に設計させ、空間をトータルでデザイン。

服飾業界では、ドルチェ&ガッバーナがロン・アラッド 作品のコレクター。

シャネルのデザイナー、カール・ラガーフェルドの邸宅ではエットーレ・ソットサス の家具と現代アート作品が、トータルでコーディネートされています。

日々加速する「デザイン=アート」志向。

デザインがアートとして扱われるようになった背景は何なのでしょうか?
続きはまた明日お送りします。

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SUMMER+AUCTIONフライヤーできます

今週木曜日にカタログ完成を控え、オークションをより多くのお客様に知っていただくための宣伝活動が急ピッチで進んでいます。

その一環としてフライヤーを制作しました!
SUMMER+AUCTIONフライヤー

黄色が目に鮮やかなデザインになりました。
実はSUMMER+AUCTIONに関連する印刷物は、「“夏”といえば、ひまわり!降り注ぐ太陽!」というデザイナーのイメージにより、どれも黄色が基調になっています。

このフライヤー、順次各所で配布する予定ですので、お出かけの際は是非探してみてください。見つけた方には、いいコトがあるかもしれません。

それが何かは、もちろん、見てのお楽しみです。

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金魚と向き合う作家、深堀隆介


全国的に雨の日が続いているようですが、本日、ここ銀座は雲一つない快晴に恵まれました。
最近雨が続いていただけに、なんだか太陽が眩しく感じられました。
もうすぐ夏ですね。夏が待ち遠しい!そんな方も多いのではないでしょうか。
今日は、これからの季節にぴったり。清涼感溢れる深堀隆介の作品をご紹介します。

深堀隆介(B.1973-)
深堀隆介

lot238《相》 29.8×20.8cm/絹、アクリル/落札予想価格:\50,000.~\100,000.


金魚が見せる一瞬の美。それを卓越した描写力で捉え、作品へと昇華していく―
深堀隆介は、スランプの時に7年間飼っていた金魚に魅了されたのを機に、
金魚をテーマにした作品に取り組み始めたといいます。
2002年頃からは、器の中に樹脂を流し込み、その上に直接金魚を描くという独自のスタイルを確立。
個展やグループ展の他、ライブペインティングやワークショップなど、精力的な活動を展開しています。


深堀隆介

lot241《香具夜 命名 小梅檀》
39.5×4.0cm他/竹、樹脂に着色/落札予想価格:\100,000.~\200,000.


樹脂に描かれた金魚は、まるで本物と見まがうほど。
命を吹き込まれたかのごとく躍動感に溢れています。
艶やかに悠々と泳ぐ様を見ていると、
幼い頃、夏祭りの夜店で夢中になって金魚すくいをしたことを思い出します・・・

飾った場所に清々しい空気を運んでくれる、そんな作品といえるのではないでしょうか?!


lot242《金魚酒》

lot242《金魚酒》h5.8×w7.8×d7.8cm/木曾檜枡、樹脂に着彩
落札予想価格:\100,000.~\200,000.

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横尾忠則の大作!!

SUMMER+AUCTIONのカタログでは、注目作品や若手作家などのページに解説を掲載していますが、ブログではさらに、カタログに掲載しなかった逸話や紹介できなかった作家や作品の情報をお伝えしていきます!

本日は・・・

世田谷美術館で「冒険王・横尾忠則 初公開!60年代未公開作品から最新絵画まで」(~6月15日まで)が開催されていることもあり、最近ますます注目を集めている作家、横尾忠則の作品をご紹介します。今回のオークションでは、なんと、縦2メートル、横4メートルを超える大作が出品されます!!

横尾忠則


lot76 横尾忠則 《その後の天の岩戸》
227.3×405.0cm/キャンバスに油彩/1987年作 
落札予想価格:400万円~600万円


1987年に制作された本作品は、スーツに身を包んだスキンヘッドの男たちが悟りを開く姿を描いた「涅槃」(ねはん)シリーズの一点です。世田谷美術館での展覧会に出品されている代表作、《天の岩戸》(1985年作・広島市現代美術館蔵)と同様、日本の神話を題材にしています。

神話では天照大神が岩戸から姿を現しますが、本作品では、女優のアニタ・エクバーグが溢れ出る水とともに登場します。
画家は、フェデリコ・フェリーニ監督の映画、『甘い生活』でアニタ・エクバーグが登場した際、「映画の中の空気の流れを一瞬変質させてしまうほど」の衝撃を受けたといいます。ここで「啓示的霊感」を得た画家は、以来、アニタ・エクバーグをモティーフとした作品を制作するようになります。
その他、兎や鰐など多様なイメージが織り込まれた本作品は、複雑怪奇でありながら、ロマンティシズムに溢れる、神秘的な世界が広がっています。

1980年前半に「画家宣言」をしたこの時期、1985年にはパリ・ビエンナーレとサンパウロ・ビエンナーレに出品し、1987年には西武美術館で個展を開催するなど、画家としてより活発な活動を展開しています。
パネル3枚に及ぶ大画面には、画家が絵画への欲求を噴出させたことを窺わせる、圧倒的なエネルギーに満ち溢れています。

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春のコンテンポラリーアート市場レビュー

~SUMMER+AUCTION 出品作品~

002
松浦浩之「Pancake」
35.0×35.0cm / キャンバス・アクリル
落札予想価格:50万円~80万円
→松浦浩之はクリスティーズ香港のセールでも人気を集めました。
ご存知の通り、春は世界中のオークションハウスが大きなセールを開催する季節です。
そこで今回は、SUMMER+AUCTIONと関連深いアジアのコンテンポラリーアートを中心に、春のオークション月間を振り返ってみたいと思います。

まず1つ目にご紹介するのは、フィリップスが4月3日にLondonで開催した“Kyobai”です。
このオークションは、その名が示す通り、様々な分野の日本人アーティストの作品を集めたものです。
村上隆や奈良美智に始まり、若手アーティスト、陶芸作品そしてデザイン家具やフィギュアまで、幅広い作品が出品され、日本文化を俯瞰できる意欲的なセールとなりました。
フィリップスは、今年秋にも同様のセールを開催するとのこと。

そして2つ目は、アジアの若手アーティストの登竜門的存在でもある、クリスティーズ香港の”アジアン・コンテンポラリーアート”のセール。 参加者の中で大きなパートを占める、中国四川省で発生した大地震や、サブプライムローンの影響が心配されるなかでの開催となりましたが、結果的には活気あるオークションとなりました。
中国人コレクターの買い意欲は依然高く、ジャン・シャオ・ガンを初めとする中国人アーティストの作品が相変わらずの人気を集めたほか、インドネシア人アーティスト REDY RAHADIANや、インド人アーティスト SUBODH GUPTAの作品が高額で落札されたことなどは、新しい動きだったのではないでしょうか。
そして、注目の我らが日本人アーティストの活躍はといえば、これが総じて中々の高評価。
1000万円を超える落札価額の作品があったアーティストが7、8名。500万円以上の落札価額だったアーティストが4、5人と、日本人アーティストが世界でプレゼンスを確立しつつあることを確信させる結果となりました。特にデイセールは、全体で400ロットほどの作品数の内、4分の1近い作品が日本人アーティストのものであり、その層の厚さも感じさせる内容となったのでした。

しかし何といっても、今春一番の驚きの結果はN.Yサザビーズのセールで村上隆のフィギュア作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」がエスティメイトを大きく上回る、1516万ドル(約15億9500万円)で落札されたことではないでしょうか。4月のはじめに同じフィギュア作品「パンダ」が、過去最高の272万ドル(約2億6000万億円)で落札されたばかりでしたが、そのレコードをあっさりと塗り替えたことになります。
またこれは、3月に約14億円で落札された運慶の仏像をも上回る結果です。

このように、2008年春のオークションシーズンは大方の懸念を余所に、まずまずの盛り上がりを見せて幕を閉じたのでした。



~語句解説~
1.世界のオークションハウス
<サザビーズ>
1744年に書籍のオークションを開催したことに始まる、世界最古のオークションハウス。
世界最高額の落札記録(ピカソ「パイプを持つ少年」2004年 1億4000万ドル)を持つ。

<クリスティーズ>
1766年にイギリスの美術商のジェームズ・クリスティーにより、イギリスの首都ロンドンに設立されたオークションハウス。
ダイアナ妃やマリリン・モンローなど著名人の財産のオークションを度々手がけている。

<フィリップス>
1796年に創業した、クリスティーズ、サザビーズに次ぐ世界第3位のオークションハウス。

クリスティーズとサザビーズは、2社合せて1兆円を超える売り上げを誇る。

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SUMMER+AUCTIONはじまります!

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コンテンポラリーアートは、いまや最もクールなカルチャーとして、モード誌などでも頻繁に特集が組まれています。
そしてそれらの記事は、今までの日本人に浸透していなかった「アートを買う」という行為が実は誰にでもできるものなのだと盛んに誘います。
たしかに近年、アートフェアをはじめ、アートを誰にでも購入できる機会が増えています。
訪れる人の数もうなぎ登りです。また、オークションという流通形体も急速に認知度を高めました。

しかし、コンテンポラリーアートや写真、デザイン家具など、最先端のカルチャーが刺激的で魅力的だと感じてはいても、「何を買ったらいいのやら・・・」と悩み、「買った作品に飽きたらどうするの?」と心配してしまう。
結局のところ「アートは一部のコレクターのもの」そんな意識が未だに根強いように思われます。
でも、それは真実なのでしょうか?
予算が限られた、知識もそう豊富ではない人は買うべきでない?

「そんなことはありません!」私たちは、今こそ声を大にして言いたいと思います。

買って、楽しんで、売って、また買う。そんな風にアートを生活の中に取り入れてほしい。
キレイ、心地いい、面白い、ワクワクする・・・気軽な気持ちでアートを購入する体験をしてほしい。
賑やかに、楽しく“アートを売買する”ことのできるオークションがあっても良いではないか。
そんな私たちの願いを込めて、SUMMER+AUCTIONは誕生しました。

「コレクション初心者の方からベテランの方まで、それぞれに満足していただけるオークションになると思います」とは、担当者の弁。

今日からオークション開催当日まで、オークション制作の舞台裏、出品作品、世界のコンテンポラリーアート事情など様々な情報をこのブログでお届けします。

<SUMMER+AUCTION 開催概要>
■オークション
日時:7月6日(日)15:00 
会場:丸ビルホール(東京都千代田区丸の内2-4-1丸ビル7階)

■下見会
日時:7月2日(水)~7月4日(金)10:00~20:00
            7月5日(土)10:00~18:00
7月6日(日)10:00~12:00
会場:シンワアートミュージアム(東京都中央区銀座7-4-12 ぎょうせいビル1F)

■出品作品
Post War & Contemporary Art、Photographs、Design、Prints and Multiples, Collectibles

■出品点数
266点

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