横尾忠則の大作!!


SUMMER+AUCTIONのカタログでは、注目作品や若手作家などのページに解説を掲載していますが、ブログではさらに、カタログに掲載しなかった逸話や紹介できなかった作家や作品の情報をお伝えしていきます!

本日は・・・

世田谷美術館で「冒険王・横尾忠則 初公開!60年代未公開作品から最新絵画まで」(~6月15日まで)が開催されていることもあり、最近ますます注目を集めている作家、横尾忠則の作品をご紹介します。今回のオークションでは、なんと、縦2メートル、横4メートルを超える大作が出品されます!!

横尾忠則


lot76 横尾忠則 《その後の天の岩戸》
227.3×405.0cm/キャンバスに油彩/1987年作 
落札予想価格:400万円~600万円


1987年に制作された本作品は、スーツに身を包んだスキンヘッドの男たちが悟りを開く姿を描いた「涅槃」(ねはん)シリーズの一点です。世田谷美術館での展覧会に出品されている代表作、《天の岩戸》(1985年作・広島市現代美術館蔵)と同様、日本の神話を題材にしています。

神話では天照大神が岩戸から姿を現しますが、本作品では、女優のアニタ・エクバーグが溢れ出る水とともに登場します。
画家は、フェデリコ・フェリーニ監督の映画、『甘い生活』でアニタ・エクバーグが登場した際、「映画の中の空気の流れを一瞬変質させてしまうほど」の衝撃を受けたといいます。ここで「啓示的霊感」を得た画家は、以来、アニタ・エクバーグをモティーフとした作品を制作するようになります。
その他、兎や鰐など多様なイメージが織り込まれた本作品は、複雑怪奇でありながら、ロマンティシズムに溢れる、神秘的な世界が広がっています。

1980年前半に「画家宣言」をしたこの時期、1985年にはパリ・ビエンナーレとサンパウロ・ビエンナーレに出品し、1987年には西武美術館で個展を開催するなど、画家としてより活発な活動を展開しています。
パネル3枚に及ぶ大画面には、画家が絵画への欲求を噴出させたことを窺わせる、圧倒的なエネルギーに満ち溢れています。