「デザイン=アート」志向(2)


lot157 ジャン・プルーヴェ
   lot157 ジャン プルーヴェ 
      《ダイニングテーブル》 
       w199.0×d 73.0×h 72.0 cm 
       製造:アトリエ ジャン プルーヴェ 
       オーク、 ラッカー塗装スチール 
       落札予想価格:250万円~400万円

従来、デザイン家具のマーケットは、家具を愛好するコレクターたちによってその多くが占められていました。

しかし、近年、その流れは転換期を迎えます。

きっかけは、近代建築の巨匠、ル・コルビジェに連なるデザイナー、シャルロット・ペリアンやジャン・プルーヴェのアイテム。

彼女・彼らのデザインした家具が、家具コレクターによる収集の対象から、富裕層のステータスへとシフトし始めたのです。その結果、ペリアンやプルーヴェの市場価格は、この10年で約20倍以上に膨れ上がりました。

この「デザイン=アート」志向は、富裕層や投資家による影響が色濃いと言われています。欧米の富裕層にとって、邸宅を飾る絵画や身に纏うジュエリーはもちろんのこと、さらに家具にも拘ることこそがステータスとなります。近年、その家を飾る家具が16~18世紀のデコラティブな木製家具から、20世紀の新素材を用いた優れたデザインへと変化し、現在のデザイン収集熱を招いたのです。

これは、本来使うためのデザインが、オブジェや絵画のようにアートとして扱わる時代の幕開けといえます。日本でも、アートのある生活空間・優れたデザインに囲まれたライフスタイルは、ますます身近なものになっていくのではないでしょうか。