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市民の憩いの場にアートが集結!

上海万博も残すところあと数日。先日はついに入場者数が7000万人を達成し、閉幕前に足を運んでおこうという観光客でさらに賑わいをみせています。

さて、今回は上海の中心地にある静安彫塑公園にて開催されている、「2010世博静安国際彫塑展」(世博:世界万国博覧会の意味)をレポートいたします。この展覧会は公園の管轄区である静安区人民政府が主催、世博局等の協力で開催されています。テーマは「都市幻想」。上海万博のテーマである「より良い都市、より良い生活」に関連しており、「幻想」、「記憶」、「生活」を通して上海の過去、現在、未来を解釈するとともに、芸術と生活が重なり合って文化的な生活を築き上げることを目的としています。彫刻作品は公園内に35作品設置されている他、その近辺の公共の場や文化施設などにも設置されており、アーティストの国籍も中国、フランス、アメリカ、ベルギー、スペイン等国際色に溢れています。平日の昼間に訪れたからか、子供を連れた家族や年配の方が多く、芸術に囲まれた中でくつろぐ人々の姿に微笑ましく感じました。

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ではその中から、中国人アーティストの作品をご紹介いたします。

≪Naughty Boy≫ 羅氏兄弟(Luo Brothers)

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羅氏兄弟(ルオ・ブラザーズ)は、羅衛東(Luo Weidong 1962年-)、羅衛国(Luo Weiguo 1964年-)、羅衛兵(Luo Weibing 1972年-)の3兄弟からなるグループで、1996年より共同制作を開始しています。代表作に『歓迎世界名牌(Welcome, Welcome)』シリーズがあります。これは「年画」と呼ばれる中国の新年を祝う際に家に飾られる、伝統的な吉祥の図柄をモティーフにした民衆絵画をベースに、中国人の生活に急速なスピードで根付いていったコカ・コーラ、ペプシコーラ、マクドナルド、ケンタッキーなどの商品やロゴを組み合わせ、中国の現代の消費社会を風刺した作品です。この年画は文化大革命の時代には、政治経済や平和に対するスローガン付きで大衆への宣伝媒体として利用されており、羅氏兄弟はその歴史的背景も引用し、独自の作品を展開しています。

≪Our Generation―No≫ 高孝午(Gao Xiaowu)
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高孝午は1976年福建省生まれのアーティストです。代表作『標準時代』では、機械的な笑み、決められた角度でお辞儀をするサラリーマンをモティーフとした作品を展開しています。同シリーズの作品は、上海の超高層ビル、上海環球金融中心内にあるパークハイアットホテルのエレベーターホールにも展示されています。

≪中国風景No,1≫ 陳文令(Chen Wenleng)
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陳文令は1969年福建省出身、北京を拠点にするアーティストで、人物や動物などの巨大な立体作品やインスタレーションを手掛けています。特に豚をモティーフに、富や欲望などを風刺したユーモア溢れる作品で知られています。『中国風景』のシリーズでは、ステンレス素材を用い、自然や伝統と現在の風景を混在させた不思議な立体作品を展開しています。氷が解ける氷山のようであり、鹿の頭のようであり、中国の伝統的な庭園にある亭のようにも見える奇抜な風景を作り上げることで、変化に富んでとらえがたい世の中や現代社会の冷淡さを表現しています。

(執筆:M)

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光州ビエンナーレ『萬人譜 10,000 Lives』

光州ビエンナーレ『萬人譜 10,000 Lives』

【ビエンナーレ展示概要】
会期:2010年9月3日(金)~2010年11月7日(日)
場所:光州ビエンナーレ展示館・光州市立美術館・光州市立民族博物館
http://www.gb.or.kr/


光の都市と言われる韓国の光州。第8回を迎えた「光州ビエンナーレ」の取材で活気に溢れる秋の光州に行って参りました。

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今回の光州ビエンナーレのテーマは『萬人譜 10,000 Lives』。
『萬人譜10,000 Lives』とは、韓国では民衆詩人と呼ばれる、ゴ・ウン(Go Eun)の同名の連作詩から採用されたテーマです。ゴ・ウンは、今年のノーベル文学賞にノミネートされたことで世界によく知られています。「萬人譜」は、ゴ・ウンが、1980年光州事件(正式名:光州民主化運動‐民主化を求める活動家とそれを支持する学生や市民が韓国軍と衝突し、多数の死傷者を出した事件)に関わった疑いで監禁された時から創作し始めた作品で、今年の4月にそのラストになる30巻を発表することで完結しました。それは、詩人が一生の間直接会った人、または歴史や文学を通して影響を受けた人物など、およそ3,800名の人生を要約して紹介した一種の肖像画集とも言えます。

ビエンナーレのディレクターは、「イエスより若い:Younger than Jesus」という展示企画でニューヨークのダーリン(寵児)に浮上したイタリア出身のマッシミリアーノ・ジョーニ(Massimiliano Gioni)。写真評論家であるスーザン・ソンタグ(Susan Sontag)の「生きることとは、撮られること:To live is to be photographed」という言葉を副タイトルに考えていたというジョーニの話通り、展示の構成は圧倒的に写真が多いようでした。

出品作品は、1901年から2010年まで活動した作家、31ヶ国134名の作品で、ドキュメンタリー写真、映像、民芸品などが展示されています。中には今回の光州ビエンナーレのために制作された新作も含まれています。

2.jpg < ビエンナーレ館> 3b.jpg < 光州市立美術館>

          
展示空間は、ビエンナーレ館(1~5展示館)、光州市立美術館、そして光州市立民族博物館と大きく三つに分けられ、各展示館ごとに個性的な空間演出がなされています。各展示スペースが持つ小主題、そしてそれに関わる一連の作品群は、形や使われたメディア、あるいは歴史的な意味などによって分類され、『萬人譜10,000 Lives』というテーマにふさわしいヒトの「生」を語ってくれます。

「写真での表現、ポーズをとること、イメージを通した人のアイデンティティーへの探求作業」という小主題をもつ「ビエンナーレ1展示館」には、光州市民のボランティア参加によるパフォーマンスや観客の参加を積極的に誘導する作品で目立ちました。中でもイタリア出身の作家フランコ・バカリーの作品、「この壁にあなたの痕跡を写真に残しなさい」は、展示場に置かれた写真ブース(証明写真)に入った来訪者が、自らポーズをとりながら演出した写真を壁の全面に貼ることで完成させようとする作品です。参加者はその行為や残した痕跡(写真)によって彼の作品の一部となります。

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フランコ・バカリー(Franco Vaccari) 
「この壁にあなたの痕跡を写真に残しなさい」

また、宗教的な人物、偶像、人形などで構成された「ビエンナーレ4展示館」では、今回のビエンナーレで一番の話題となった「テディベア・プロジェクト」を見ることができます。キュレーターでありながら収集家であるイデッサ・ヘンデルス(Ydessa Hendeles)が作り出したこの空間は、テディベアを抱いてポーズをとった人々の写真が3千枚以上展示されています。古い白黒の写真の中には仲よさそうに写された人とテディベア。今は一人ぼっちでその写真とともに展示されているあの時のままの人形の姿は、なんとなく寂しさを感じさせるものでした。

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イデッサ・ヘンデルス(Ydessa Hendeles)
「テディベア・プロジェクト(The Teddy Bear Project)」

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ジェフ・クーンズ(Jeff Koons)
「陳腐さの到来」 1988
Polychromed wood
Deste Foundation, Athens
案内のスタッフさんが今回のビエンナーレで一番高い作品と自慢げに話してくれたジェフ・クーンズの「陳腐さの到来」。

ほかにも、第8回光州ビエンナーレは、メディア・アートの形を借りて残された光州事件や9.11テロ、そして過去世界で繰り返されてきた民衆への虐待と搾取という悲惨な歴史を見せることで、「歴史」が起こしたヒトの「死」が、個人の「歴史」の中ではどんな意味を持つ「死」として残されるのかを提示してくれます。


< 執筆:W>

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上海は今、アートイベントが目白押し!

今年も上海がアートで賑わう季節がやってきました。
ただでさえ上海万博で活気に溢れる上海において、第14回目の歴史を誇る「上海アートフェア」、現代アートに特化した「Shコンテンポラリー」が同時期に開催され、また来月下旬からは「上海ヴィエンナーレ」が始まるなど、アートイベントが目白押しです。今回はその中からShコンテンポラリーについてレポートいたします。

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Shコンテンポラリー(上海芸術博覧会国際当代芸術展)は今年4回目を迎える若いアートフェアですが、アジアで最大規模の国際的なアートフェアとしての地位を確立しています。今年も昨年同様、1955年に当時のソ連から中国へ贈られたスターリン式の豪華な建築物、上海展覧中心で開催されていました。メインとなる「ベストオブギャラリーズ」、企画展「ディスカバリー」、また特別展としてイタリアのアーティスト、ジョルジオ・モランディ(Giorgio Morandi)の作品展という構成で成り立っており、「ベストオブギャラリーズ」ではアジアを中心とした83のギャラリーが参加。その他、美術館、オークションハウス、出版社等のブースも設けられていました。
                           歴史を感じさせる建物内は豪華に装
                           飾され、エキゾチックな雰囲気が漂う。


Sh+5_convert_20101001225309.jpg Sh+3_convert_20101001224331.jpg「ベストオブギャラリーズ」の様子         メディア等のブース

昨年のフェアでは大成功を収めたとレポートしましたが、今年は上海万博が開催中の開催ということもあり、これまで以上に数多くのアートとアート関係者が集結し、今年も3万人を超える観客とコレクターが来場したと報告されています。

今年の「ディスカバリー」では「Re-value」というテーマの下、アートの価値とは一体何なのかを見出すべく、22のブースが設けられ、計26名のアーティストの作品が展示されていました。そのうち日本人アーティストでは、青山悟、Chim↑Pom、金川晋吾、満田晴穂が招待されていました。天井の高いホールでは、韓国人アーティスト崔正化(Choi Jeong Hwa)の風船を用いた巨大な作品が圧倒的な存在感を見せつける一方、満田晴穂の自在置物という江戸時代の伝統工芸に倣った原寸大の昆虫は、本物かと見まがうほど細部に至るまで精巧に作られており、インスタレーション、絵画、彫刻、映像、写真等、バラエティに富んだ展示となっていました。

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「ディスカバリー」の様子。手前の巨大なバルーンは崔正化の作品

個人的に興味深かったのは、札幌市立大学の専任教員を務めるドイツのアートユニット、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ(Nina FISCHER & Maroan el SANI)の映像作品、≪Spelling Dystopia≫(2008/09年、カラー、ステレオ、17分)。かつて炭鉱によって栄え、今や無人の廃墟と化した端島(はしま、通称軍艦島)を舞台とし、その現実を映し出しながら、学生が無人島で殺し合いをする映画『バトルロワイヤル』を絡めており、現実とフィクションの間で観る者を惑わす衝撃的な作品でした。

年度を重ねる度に人々の注目と充実度を増していくShコンテンポラリー。
上海万博でさらなる発展をみせる上海において、来年以降は一体どのように展開していくのか、期待は高まります。

Sh Contemporary THE Asia Pacific Contemporary Art Fair
上海芸術博覧会国際当代芸術展 亜太地区当代芸術展
会期:2010年9月9日~12日
会場:上海展覧中心
http://www.shcontemporary.info/(中国語、英語のみ)


【 展覧会のお知らせ*榮榮&映里(RongRong & inri)展 】

北京を拠点に活動する中国人と日本人のアーティストユニット、榮榮&映里(RongRong & inri)の日本での初個展がMEM(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F)にて開催されています(~10月22日まで)。
榮榮&映里はアーティストとしての活動の他、北京の草場地芸術区にThree Shadows Photography Art Centre(三影堂映像芸術中心)という、ギャラリー、図書館、レジデンス施設、暗室、カフェレストランなどを有した複合写真センターを設立し、写真展の企画や教育、普及にも力を入れています。詳細は下記ウェブサイトを参照ください。
http://mem-inc.jp/

(執筆M)

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小島剛夕・上村一夫・矢口高雄 漫画絵師三人原画展 量画の先を見た巨匠たち 「この一枚のために」

銀座のシンワアートミュージアムでは9月27日(月)から、
小島剛夕・上村一夫・矢口高雄 漫画絵師三人原画展 
量画の先を見た巨匠たち「この一枚のために」
を開催いたします。


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最近は「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる先生や「SLAM DUNK」などで人気の井上雄彦先生が、美術館で展覧会を開催されていますね。漫画家が原画や描き下ろしのアート作品を発表するのは最近珍しいことではないようです。逆に、コンテンポラリーアートの中にも漫画に影響を受けた作品はたくさん見受けられます。漫画とアートの境界はとても曖昧になってきているようです。

今回出品される3人のうち、“昭和の絵師”と呼ばれた「同棲時代」の上村一夫先生も没後、川崎市市民ミュージアムで回顧展が開催されています。「子連れ狼」の小島剛夕先生は、没後、漫画界のアカデミー賞と呼ばれるアイズナー賞を受賞していて、現在も海外で人気が高いそうです。また、矢口高雄先生の代表作「釣りキチ三平」は一昨年、映画「おくりびと」の滝田洋二郎監督によって映画化され、話題になりました。

先日開催いたしましたシンワの9月PartⅡオークションでも小島剛夕先生、矢口高雄先生の作品が出品されました。これからは、オークションで漫画を競るという場面が増えていくのかもしれませんね。

展覧会の詳細はこちら
ミュージアムでの展覧会のほかに、矢口先生のサイン会や原画販売、銀座のショットバー3店での展示など、関連イベントもたくさんあるそうです。

みなさまのご来場、心よりお待ちしております。

(執筆:S)

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9月近代美術下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術の下見会を開催しております。
今回も少しだけ会場をご案内いたします。

1Fは日本画を展示しています。
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横山大観や加山又造の作品が充実しています。いろいろな時代とモチーフの作品が出品されますので、お好きな方はぜひご覧ください。

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ホームページのトップにもなっている、Lot.62横山大観の《陶靖節》です。
会場ではこんな風に展示しております。
本当に風が吹いているようにも、山がはるか遠くにあるようにも見え、
額や軸の作品にはない奥行きと広がりを感じさせます。


B1Fは日本洋画・西洋絵画です。
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レオナール・フジタや浮田克躬の作品がたくさん出品されます。
めずらしいところでは、佐野繁次郎の油彩も!

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長谷川利行コーナーです。
今回は小品が多いですが、浅草風景、裸婦、花といろいろ揃っています。
どれも小さなキャンバスの中に利行らしさがぎゅっと凝縮されたような作品です。

今日も1点ご紹介します。

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lot.129 藤島武二(1867-1943)
《臥婦》
30.3×53.2cm
板にキャンバス・油彩 額装
1913年作
右下にサイン
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
『藤島武二画集』掲載 №48(日動出版)
藤島武二遺作展覧会(1943年 東京都美術館/朝日新聞社)出品など
エスティメイト ★2,500,000~3,500,000


 重要文化財の《黒扇》や《東洋振り》で知られる藤島武二の女性像です。  
藤島の制作は、人物画と風景画の二つに大きく分けられますが、主として人物画に取り組んだのは、洋画を学び始めた23歳から、皇居の御学問所に飾る作品の制作のために本格的に風景画に着手する1928(昭和3)年までの間で、様々に作風を変えながら人物、特に女性像を描き続けました。上記の2点のほかにも、装飾的でロマン主義的な《天平の面影》など、日本の近代洋画を代表する女性像の名作を数多く生み出しました。

 4年に渡るヨーロッパ留学を終えて帰国した藤島は、1913年(当時46歳)の第7回文展で《うつつ》(東京国立近代美術館蔵)を発表。この作品は、本作品同様にソファーにもたれる女性をモチーフとしたもので、帰国後の作としては初めて文展という公の場で発表されたものであり、日本的な油絵を表現することに挑んだ意欲作として藤島の代表作の一つに挙げられます。
 
 本作品は同年に描かれたものです。藤島と親しく交流し、画集の編纂にも当たった岩佐新は、本作品について「このソファーに臥す婦人は《うつつ》とは違って洋服の女であるが手の組み方などポーズからして稍々あの絵の空気と共通なものを感じられる作で、《うつつ》以前の作と思ふ。要するに《うつつ》の前奏曲と見てもいいものであらう。」※ と述べています。
 本作品では、滞欧作から作風を大きく変え、フォルムを単純化し、フォーヴィスム風の大胆なタッチと明治期の装飾的な作風を思わせる芳醇な色彩で対象を捉えています。うたた寝をする女性が醸し出す甘美な夢心地や幸福感は、藤島の女性像の重要なエッセンスとも言えるでしょう。古今の西洋絵画を踏まえ、藤島は本作品において東西の融合と日本の油彩画の創造に向け、新たなスタートを切りました。

※『畫論』第22号 造形芸術社 1943年

明日はいよいよオークションです。
みなさまのご来場、心よりお待ちしています。

オークションスケジュールはこちら


(執筆:S)

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9月PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
今週は銀座で近代美術PartⅡ下見会を開催しておりますので、少しだけ会場をご案内します。

今回のオークションは江戸時代の作品が多く出品されます。
エントランスを入ると、まずこちらの屏風がお迎えします。

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Lot.626 《東海道図屏風》
各107.3×263.6cm
紙本・彩色
エスティメイト ★\1,000,000~2,000,000


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江戸と京都を結ぶ東海道の情景を描いた屏風です。
右の「を多はら」という金色の短冊のあたりは小田原の城下町です。往来する町人や旅人の姿、箱根の険しい山々と相模湾に囲まれた町の情景が細かく描き込まれています。このほかにも、東海道五十三次の宿場町や五十三次ではない町も描かれていますので、会場にお越しの際はぜひ江戸から京都まで、順番に辿ってみてください。


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伊藤若冲の《鶏図》です。               
若冲は極彩色の作品もすばらしいですが、水墨もたくさん描いています。左幅の鶏は足元にいるネズミも気にせずどっしりと構え、右幅の鶏は縁台の上に高くジャンプしたように羽を広げ、尾を翻しています。鶏を題材に、静と動を大胆でユーモラスに表現した作品です。


Lot.627 伊藤若冲
《鶏図》
各紙本・水墨 
印あり
エスティメイト ★\600,000~1,000,000



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 悪夢のような奇想の絵から細密描写による歴史画、軽妙洒脱な山水画までを自在に描いた「無頼の絵師」曽我蕭白、呉春という雅号でも知られ、俳人としても活動した松村月渓などの掛け軸も出品されます。




近代の日本画では、美人画が充実しています。

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 こちらは、鏑木清方、伊東深水、伊藤小坡の美人画コーナーです。
3人が得意とした風俗美人画です。いろいろな季節のものがありますので、お探しの季節の軸にぴったりの作品があるかもしれません。このほかに、深水に師事した横尾芳月の屏風《手古舞「三社祭」》も出品されます。
                     

B1Fには日本洋画、外国絵画を展示しています。
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下見会はいよいよ明日までとなりました。
オークションスケジュールはこちら

みなさまのお越しを心よりお待ちしています。

(執筆:S)

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【上海万博】会場を彩る野外アート②

 先日、上海万博会場内に設置されたアートをご紹介いたしましたが、今回も引き続き、数あるアートの中から、中国人アーティストにより制作された作品を数点ご紹介いたします。

 万博会場中央に位置する中国国家館のはす向かいに佇む2体の巨大パンダは、張洹(Zhang Huan)による作品です。張洹は今月よりはじまる「あいちトリエンナーレ」にも参加する、国際的な活躍が目覚ましい中国人アーティストの一人で、巨大なインスタレーションや大胆なパフォーマンスで知られています。ステンレススチールの鏡が使用された、2体のパンダが向き合う作品≪Hehe, Xiexie≫は、中国語の「大和平、大和谐(hexie)」、すなわち「大きな平和、大きな調和」よりそれぞれのパンダの名が付けられています。この「和谐」とは近年、中国でスローガンなどによく使われる言葉の一つであり、本作品においても、調和のとれた社会や世界を表現しています。

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張洹≪Hehe, Xiexie≫


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 また、同じく中国国家館のそばには陳長偉(Chen Changwei)による、12の動物の頭が連なった作品が設置されています。タイトルや作品解説によると、古代中国から伝統的に伝わる12支における哲学や神話をモティーフとし、都市の発展は自然と調和すべきだという理念のもと制作されているとあります。しかし実際作品を見ると、明らかに12支には属さない動物の頭が多く、作家が中国の伝統を現代風に置き換え、その理念を表現していることが窺えます。

陳長偉≪十二生肖柱≫
※生肖とは12支によって唱える生まれ年を意味する。

 続いて、万博会場の公園内の歩道に突如として現れる巨大なチューインガムのごみくずは、焦興濤(Jiao Xingtao)の作品です。焦興濤は包装紙やごみくず、ビニール袋など身近にあるものをモティーフとした立体作品を制作するアーティストです。環境保護をテーマとした本作品においても、日常生活でなおざりにしがちなものをモティーフとしながらも、誇張されたインパクトのある形態と明るい色彩により、ごみを捨てるという行為、増え続けるごみの量、また過剰に包装する消費社会といった社会問題が浮き彫りにされているかのようです。

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焦興濤≪Yellow & Green≫

 同じく公園内の歩道に佇む3体のかかし。こちらは安然(An Ran)の作品、≪都市草人≫です。作者は農村でよく見かけるかかしを現代の工業化された姿へと置き換え、現代の生活理念や審美眼を表しています。急速なスピードで都市化が進んでいく中で、「都市を守る人」を次の世代へと引き継いでいこうというユーモア溢れる作品となっています。

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安然≪都市草人≫

 他にも、ダン・グラハムのコンセプチュアルな作品や、インド人アーティストSubodh Gupta の作品などもありました。ここに作品のすべてをご紹介できず残念ですが、万博会場に展示されるに相応しいテーマやコンセプトが垣間見られる作品が多く、アートを通じて改めて万博のテーマ、「よりよい都市、よりより生活」を再認識することはもちろん、今の中国の発展に伴う様々な問題を考えさせられました。

 各国のパビリオンは並んでも見たいですが、野外のアートを見てまわるのも楽しそうですね。今年の夏休み、上海万博にお出かけになる方は、ぜひご紹介した作品を探してみてください。

(執筆:M)

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【上海万博】会場を彩る野外アート①

 上海万博が始まってもうすぐ3カ月。早くも折り返し地点を迎えようとしています。
梅雨が明けて猛暑が続いているのにも関わらず旅行客は日を追うごとに増えており、入場者数はすでに3000万人を突破しました。
 
 さて、万博会場内では、奇抜なデザインのパビリオンを見て歩くだけでも楽しめるのですが、各パビリオンに設置された野外アートの他、会場内のあちこちにも彫刻作品が設置されており、それらを発見する楽しみも味わうことができます。

 フランス館では、パビリオンの入口周辺の池に中国人アーティスト厳培明(yan pei ming)の作品、≪Enfants de Shanghai≫が展示されています。厳培明は上海出身、フランスで約30年間活動しており、オークションで高額落札されるアーティストとしても知られています。池に浮かぶように設置された作品は、子供の笑顔や泣き顔など様々な表情がすべてモノクロで描かれており、入場を待つ観客に親しみを感じさせる雰囲気が漂っています。
 日本産業館のトステム株式会社のブースでは、推定3億円ともいわれるアニッシュ・カプーアの黄金の門をモティーフにした作品が展示されており、話題を集めています。

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厳培明 ≪Enfants de Shanghai≫


 また、会場内の各公園や、中国館付近にある中央の通りには中国、アメリカ、オーストラリア、日本、フランス、イタリアなどのアーティストによる合計36体の彫刻作品が設置され、その一部は万博閉幕後も永久に展示されます。

日本からは藤井浩一朗の≪父子情≫が万博公園内の川のそばに展示されています。これは約2mの透明アクリルによる作品で、「浦江城市―上海 生命的紐帯(川沿いの都市―上海 生命のつながり)」をテーマに制作されています。

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藤井浩一朗 ≪父子情≫ 


 「世博軸」と呼ばれる万博会場中心に位置するアーケードには、19作品が設置され、それらと記念写真を撮影する観客の姿が目立ちました。
今回の上海万博のシンボル的建築物である中国国家館を背景に設置されているのはジュリアン・オピーの作品です。LEDが用いられ、電光パネルの中を等身大の人がそれぞれの方向へ歩いていく、ユニークな作品となっています。

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ジュリアン・オピー≪Jennifer walking, Orange≫他


 続いて、中国のコンテンポラリーアートにおいて、ポリティカル・ポップを代表する作家として世界的に人気が高い王広義(Wang Guangyi)の作品≪水・東風・金龍≫は、鉄製の車をモティーフにしています。1958年、中国で最初に生産された乗用車は毛沢東の言葉「東風圧倒西風(東風が西風を圧倒する)」から「東風金龍」と名付けられ、毛沢東が中南海で試乗したといいます。このエピソードをもとに制作された本作品は、王広義作品の特徴である、社会主義的な理想への複雑な思いが垣間見られるのではないでしょうか。

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王広義 ≪水・東風・金龍≫

(執筆:M)

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近代美術下見会@銀座

 いよいよ夏本番となってまいりました。今年も猛暑が続きそうですね。
今週は銀座で7月近代美術の下見会を開催しております。
今回は150ロットと出品作品数が多いため、久しぶりに作品が所狭しと並んでいます。

1Fは日本画と外国絵画のフロアです。

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日本画ゾーンです。
今回は杉山寧のオリジナル版画原画をはじめ、東山魁夷、平山郁夫、加山又造など、
人気作家の作品が充実しています。


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外国絵画はこちら。
シャガールやルノワールはぜひ会場で実物をご覧ください。


B1Fは日本洋画のフロアです。

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荻須高徳やレオナール・フジタの作品がたくさん出品されます。

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 今回も長谷川利行の名品がずらり。
 余談ですが、夏といえばビールのおいしい季節です。利行がこの作品を描いた時代は、ビールが日本酒の消費を抑え、最もメジャーなお酒になろうとする頃でした。絵を売ったお金はすぐに酒代に変えてしまったという利行も、ビールを好んだのでしょうか…。
というわけで、今日はこちらの作品をご紹介いたします。


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101 長谷川利行(1891-1940)
《麦酒工場》
45.0×52.6cm
キャンバス・油彩 額装
1928年頃作
木村東介シール
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書つき
エスティメイト ¥3,500,000~4,500,000


 威風堂々たる近代建築のビール工場を描いた作品です。
関東大震災の後の東京では、こうした鉄とコンクリートの巨大な造形物やモダンなビルが次々に建設されました。利行はそれらに強い関心を抱き、ガスタンクや駅、工場などをしばしば描きました。
 本作品は、当時、隅田川にかかる吾妻橋を隔てて浅草の対岸にあった、大日本麦酒株式会社の吾妻橋工場をモチーフとしたものです。この建物は現在は取り壊され、この場所にはアサヒビール本社が建っています。強い正面性や尖塔を思わせる煙突などの描写は、あたかもそれがパリの街角に立つ教会であるかのような、利行の西洋的なものへの興味を窺わせます。

7月は久しぶりの近代美術オークション単独開催となります。
毎日うだるような暑さですが、ぜひ銀座での下見会、丸ビルでのオークションにお出かけください。
みなさまのお越しを心よりお待ちしています。


(執筆:S)

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PartⅡ下見会@銀座

こんにちは。
シンワの7月のオークションは、「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」(17日・土)と、「近代美術」(24日・土)に分けて開催いたします。

「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」の下見会を、銀座・シンワアートミュージアムにて現在、開催中です。
JEWELLERY&WATCHESが167点、近代美術PartⅡが383点という多数の作品が出品される今回のオークション。本日は、その中からいくつかの作品をご紹介したいと思います。

まず、日本の戦後美術を代表する前衛芸術家、斉藤義重(1904-2001)の作品です。
ご覧下さい。
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Lot 754 斉藤義重
《ドリル(青)》
17.1×13.3cm(40.3×36.7cm)
合板(ドリルを使用)・油彩 裏に署名
★¥250,000~¥500,000

斉藤義重(1904-2001)は、日本のコンテンポラリーアートのパイオニア的な作家です。早くから抽象表現に取り組み、1960年第30回ヴェネチア・ビエンナーレに出品、グッゲンハイム国際美術賞展で優秀賞を受賞するなど、国際的にも高く評価されています。
《ドリル(青)》は、斉藤の代表的なシリーズのひとつ、電動ドリルを使用した作品です。ドリルで板に点や線を刻み、青の絵具を塗って仕上げることで、作品は絵画と彫刻、平面と立体という境界を越えています。また、制作の際、斉藤はドリルで板を刻むという行為を大切にし、その過程も作品の一部と考えました。こうした前衛的でユニークな作風は、制作からおよそ50年がたった今も新鮮で刺激的な感覚を与えてくれます。

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Lot 838 清水多嘉示 「裸婦」
H50.0×W15.6cm / 下部に銘 共箱
★¥100,000~¥200,000

1923年絵画を学ぶためパリに渡った清水多嘉示(1897-1981)は、「サロン・デ・テュイルリー」でオーギュスト・ロダンの高弟、アントワーヌ・ブールデルの作品と出合い、強い感銘を受けました。その影響で彫刻家に転向した清水多嘉示は、レオナール・フジタ、イサム・ノグチ、小山敬三らとの交遊を持ちながら、エコール・ド・パリの日本人作家、第1世代として堅実な制作活動を続けます。
余談ですが、1949年、当時武蔵野美術大学で教鞭を執っていた清水多嘉示は、韓国からの留学生、權鎭圭(コン・ジンギュ、1922-1973)と出合い、今度は師匠の立場でコンに強い影響を与えるようになります。コンは、韓国では天才彫刻家と称された作家で、昨年には、日本の東京国立近代美術館・武蔵野美術大学、そして韓国のソウル市立美術館での回顧展が大々的に開催されました。日本の彫刻家の第1世代である清水多嘉示、そして、韓国の彫刻家の第1世代となるコン・ジンギュ。ブールデルからコンまでのこのような縁の繋がりは、まさに「美術史」そのものと言えるでしょう。
作品《裸婦》は、力を抜いた自然なポーズ、胴体から漂う生命感、そして夢見るようにどこかを見つめる女性の視線までを、よく捉えた肉感溢れる作品です。

そして最後に、草間彌生の版画コレクションをご紹介いたします。

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Lot 536 草間彌生
《ハンドバッグ》
シート53.3×61.1cm
下余白にサイン・Ed.90/100
草間彌生全版画集No.80(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

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Lot 525 草間彌生
《富士》
シート55.2×68.7cm
下余白にサイン・Ed.23/75
草間彌生全版画集No.24(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

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Lot 531 草間彌生
《金魚》
シート53.4×60.9cm
下余白にサイン・Ed.19/100
草間彌生全版画集No.80(阿部出版株式会社)
★¥50,000~¥100,000

今回の「JEWELLERY&WATCHES・近代美術PartⅡ」では草間彌生の42点の見事な版画群が皆様をお待ちしています。色鮮やかなこの作品たちは、彼女のモチーフとしてよく知られる南瓜・帽子・ネットから、富士・貝・金魚など、ちょっと珍しいモチーフまで、草間のファンである方々にはとても楽しむことができる内容です。それにエスティメイト¥50,000~¥100,000、¥80,000~¥150,000という魅力的なお値段は、今度こそ草間を手に入れることができる絶好の機会になるかもしれません。

皆様のお越しを心よりお待ちしております。


<執筆:W>

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