上海は今、アートイベントが目白押し!


今年も上海がアートで賑わう季節がやってきました。
ただでさえ上海万博で活気に溢れる上海において、第14回目の歴史を誇る「上海アートフェア」、現代アートに特化した「Shコンテンポラリー」が同時期に開催され、また来月下旬からは「上海ヴィエンナーレ」が始まるなど、アートイベントが目白押しです。今回はその中からShコンテンポラリーについてレポートいたします。

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Shコンテンポラリー(上海芸術博覧会国際当代芸術展)は今年4回目を迎える若いアートフェアですが、アジアで最大規模の国際的なアートフェアとしての地位を確立しています。今年も昨年同様、1955年に当時のソ連から中国へ贈られたスターリン式の豪華な建築物、上海展覧中心で開催されていました。メインとなる「ベストオブギャラリーズ」、企画展「ディスカバリー」、また特別展としてイタリアのアーティスト、ジョルジオ・モランディ(Giorgio Morandi)の作品展という構成で成り立っており、「ベストオブギャラリーズ」ではアジアを中心とした83のギャラリーが参加。その他、美術館、オークションハウス、出版社等のブースも設けられていました。
                           歴史を感じさせる建物内は豪華に装
                           飾され、エキゾチックな雰囲気が漂う。


Sh+5_convert_20101001225309.jpg Sh+3_convert_20101001224331.jpgベストオブギャラリーズ」の様子         メディア等のブース

昨年のフェアでは大成功を収めたとレポートしましたが、今年は上海万博が開催中の開催ということもあり、これまで以上に数多くのアートとアート関係者が集結し、今年も3万人を超える観客とコレクターが来場したと報告されています。

今年の「ディスカバリー」では「Re-value」というテーマの下、アートの価値とは一体何なのかを見出すべく、22のブースが設けられ、計26名のアーティストの作品が展示されていました。そのうち日本人アーティストでは、青山悟、Chim↑Pom、金川晋吾、満田晴穂が招待されていました。天井の高いホールでは、韓国人アーティスト崔正化(Choi Jeong Hwa)の風船を用いた巨大な作品が圧倒的な存在感を見せつける一方、満田晴穂の自在置物という江戸時代の伝統工芸に倣った原寸大の昆虫は、本物かと見まがうほど細部に至るまで精巧に作られており、インスタレーション、絵画、彫刻、映像、写真等、バラエティに富んだ展示となっていました。

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「ディスカバリー」の様子。手前の巨大なバルーンは崔正化の作品

個人的に興味深かったのは、札幌市立大学の専任教員を務めるドイツのアートユニット、ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・サニ(Nina FISCHER & Maroan el SANI)の映像作品、≪Spelling Dystopia≫(2008/09年、カラー、ステレオ、17分)。かつて炭鉱によって栄え、今や無人の廃墟と化した端島(はしま、通称軍艦島)を舞台とし、その現実を映し出しながら、学生が無人島で殺し合いをする映画『バトルロワイヤル』を絡めており、現実とフィクションの間で観る者を惑わす衝撃的な作品でした。

年度を重ねる度に人々の注目と充実度を増していくShコンテンポラリー。
上海万博でさらなる発展をみせる上海において、来年以降は一体どのように展開していくのか、期待は高まります。

Sh Contemporary THE Asia Pacific Contemporary Art Fair
上海芸術博覧会国際当代芸術展 亜太地区当代芸術展
会期:2010年9月9日~12日
会場:上海展覧中心
http://www.shcontemporary.info/(中国語、英語のみ)


【 展覧会のお知らせ*榮榮&映里(RongRong & inri)展 】

北京を拠点に活動する中国人と日本人のアーティストユニット、榮榮&映里(RongRong & inri)の日本での初個展がMEM(東京都渋谷区恵比寿1-18-4 NADiff A/P/A/R/T 2F)にて開催されています(~10月22日まで)。
榮榮&映里はアーティストとしての活動の他、北京の草場地芸術区にThree Shadows Photography Art Centre(三影堂映像芸術中心)という、ギャラリー、図書館、レジデンス施設、暗室、カフェレストランなどを有した複合写真センターを設立し、写真展の企画や教育、普及にも力を入れています。詳細は下記ウェブサイトを参照ください。
http://mem-inc.jp/

(執筆M)