【上海万博】会場を彩る野外アート①


 上海万博が始まってもうすぐ3カ月。早くも折り返し地点を迎えようとしています。
梅雨が明けて猛暑が続いているのにも関わらず旅行客は日を追うごとに増えており、入場者数はすでに3000万人を突破しました。
 
 さて、万博会場内では、奇抜なデザインのパビリオンを見て歩くだけでも楽しめるのですが、各パビリオンに設置された野外アートの他、会場内のあちこちにも彫刻作品が設置されており、それらを発見する楽しみも味わうことができます。

 フランス館では、パビリオンの入口周辺の池に中国人アーティスト厳培明(yan pei ming)の作品、≪Enfants de Shanghai≫が展示されています。厳培明は上海出身、フランスで約30年間活動しており、オークションで高額落札されるアーティストとしても知られています。池に浮かぶように設置された作品は、子供の笑顔や泣き顔など様々な表情がすべてモノクロで描かれており、入場を待つ観客に親しみを感じさせる雰囲気が漂っています。
 日本産業館のトステム株式会社のブースでは、推定3億円ともいわれるアニッシュ・カプーアの黄金の門をモティーフにした作品が展示されており、話題を集めています。

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厳培明 ≪Enfants de Shanghai≫


 また、会場内の各公園や、中国館付近にある中央の通りには中国、アメリカ、オーストラリア、日本、フランス、イタリアなどのアーティストによる合計36体の彫刻作品が設置され、その一部は万博閉幕後も永久に展示されます。

日本からは藤井浩一朗の≪父子情≫が万博公園内の川のそばに展示されています。これは約2mの透明アクリルによる作品で、「浦江城市―上海 生命的紐帯(川沿いの都市―上海 生命のつながり)」をテーマに制作されています。

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藤井浩一朗 ≪父子情≫ 


 「世博軸」と呼ばれる万博会場中心に位置するアーケードには、19作品が設置され、それらと記念写真を撮影する観客の姿が目立ちました。
今回の上海万博のシンボル的建築物である中国国家館を背景に設置されているのはジュリアン・オピーの作品です。LEDが用いられ、電光パネルの中を等身大の人がそれぞれの方向へ歩いていく、ユニークな作品となっています。

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ジュリアン・オピー≪Jennifer walking, Orange≫他


 続いて、中国のコンテンポラリーアートにおいて、ポリティカル・ポップを代表する作家として世界的に人気が高い王広義(Wang Guangyi)の作品≪水・東風・金龍≫は、鉄製の車をモティーフにしています。1958年、中国で最初に生産された乗用車は毛沢東の言葉「東風圧倒西風(東風が西風を圧倒する)」から「東風金龍」と名付けられ、毛沢東が中南海で試乗したといいます。このエピソードをもとに制作された本作品は、王広義作品の特徴である、社会主義的な理想への複雑な思いが垣間見られるのではないでしょうか。

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王広義 ≪水・東風・金龍≫

(執筆:M)