今日は、この間あるお客様にうかがった腕時計に関する軽いエピソードから話を始めさせて頂きます。
そのお客様がヨーロッパへのんびりした旅行に出かけた時の話です。ジーンズ姿で気軽にギャラリー回りをしていた時、ある立派なギャラリーに入ったところ、あまり丁寧ではなく、それに人を無視するような店員さんたちの態度に、少しお腹立ちになったそうです。
言葉もうまく通じない状態だったので、怒ったりするのもなかなか難しかったようです。そこで、自分が無視されたりする存在ではない、という根拠を見せるものが何かないかと思った時、自分の腕につけていた有名な高級腕時計を思い出し、クルクルと上着の袖を巻くふりをしながらうまく見せることに成功したそうです。
もちろんその後、ギャラリーの店員さんたちの態度は180°変わり、積極的に絵を見せてくれたり、丁寧な見送りを受けたりしたそうです。
その話を伺った私は、そのようなご自慢の腕時計をお持ちのそのお客様も、そして、短い時間でその時計の価値に気付くことができたその店員さんも、両方ともスゴイ、と思ってしまいました。
今回のJEWELLERY&WATCHESオークションには、この話のように誇れる立派な高級時計が多数出品されます。その中、今日ご紹介するLot 403, Lot399の腕時計の2点は、複雑機構という特別な機能をそなえたスペシャルな時計です。
複雑機構には、さまざまな種類がありますが、そのほとんどがブレゲの創始者であるアブラアン・ルイ・ブレゲによって発明されたそうです。
閏年でも狂うことなく日時を示す永久カレンダーや、時刻を鐘でならすミニッツリピーター、複雑機構の代名詞のようなトゥールビヨンなどが、すべてこのブレゲの発明です。彼はその功績により時計の歴史を200年も進化させたと言われています。
今回出品されるロット403の「ブレゲ クラシック グランド コンプリケーション メンズ」は、そんな複雑機構がなんと三つも入っている最も特別な腕時計です.。ブランドによって異なりますが、複雑機構を二つ以上備えている時計のことをグランド・コンプリケーションと呼びます。
その中、このブレゲには、トゥールビヨンに永久カレンダー、そして12時位置の日にちを指し示す針など、複雑機構の計三つが備えられています。複雑機構一つでもその生産は難しいとされているのに、それが三つも搭載されているなんて、とても贅沢な時計ですね。
Lot403「ブレゲ クラシック グランド コンプリケーション メンズ」
落札予想価格 5,000,000~8,000,000円
また、ロット399の「ブレゲ マリーン オーラ・ムンディ メンズ」についているワールドタイム機構もとても面白いと思います。
ボタン一つで世界中の時刻に自動的に変わり、また同時に各都市の時刻も見ることができるという魅力的なセンスを持つ時計でございます。カシャっと音を立てて一瞬で時刻が変わるのを見ていると、まるで世界旅行をされているような気持ちになられるかもしれません。
Lot399「ブレゲ マリーン オーラ・ムンディ メンズ」
落札予想価格 1,000,000~1,500,000円
世界でも滅多に出ないような高級時計が多数出品される今回のJEWELLERY&WATCHESオークション、皆様、いかがでしょうか?
ぜひご自分の手で触っていただき、そのすごさを体感してください。
(執筆者:W)
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カテゴリー別アーカイブ: オークション
近代美術PartⅡ 下見会始まりました
一昨日大寒を過ぎ、毎日天気も悪いのでますます寒く感じますね。でも天気予報によると、今年は最低気温が高いので例年の平均気温に比べるとそんなに寒い年ではないそうですよ。
先日のブログで「風邪などひいていらっしゃいませんか?」と書いたのに、私は早速風邪をひいてしまいました。みなさまはお気をつけくださいね。
さて、ホームページのトップでもお知らせしておりますが、東京での近代美術PartⅡ下見会を、予定より早くオープンいたしました!いつものように下見会の模様をご案内いたします。
↑ 1Fは日本画と版画を展示しています。
今回は宝石・時計の下見会が別の日程になったので、いつもよりスペースがゆ
ったりです。お目当ての作品も探しやすいかもしれませんよ。
↑ B1Fは洋画、外国絵画、工芸のフロアです。
以前こちらのブログで長谷川利行の作品をご紹介しましたが、今回は山口長男
の水彩もたくさん出品されます。お好きな方は、近代美術に出品されるLot.22
《組形》(油彩)と合わせてチェックしてみてください!
今日も近代美術PartⅡの出品作品から1点ご紹介します。
Lot.721 ガレ《蘭文彫花器》
H30.4×W14.6cm
胴部に陰刻銘
エスティメイト \2,000,000.~3,000,000
エミール・ガレ(1846-1904)と彼が築き上げた工房がつくり出した逸品です。
エミール・ガレはフランス東部、ナンシー生まれ。父親もガラス器の製造・卸売業を営んでいました。若い頃から、文学、哲学、植物学などを学び、1866年、マイゼンタールのブルグン・シュヴェーラー商会の工場でガラス技術を研修。(1885-1896年の間、この工場はガレのガラス器の大部分を製造することになりました。)
1877年、父の会社の経営を引き継ぎ、ガラス器、陶器、家具の製造販売を手掛けます。1889年のパリ万国博覧会で、ガラス部門グランプリ、陶器部門金賞、家具部門銀賞を受賞し、世界中の注目と名声を博しました。1894年には、ナンシーに本格的なガラス窯を設置して「芸術と産業の融合」を理想に掲げ、自社内での一貫生産を始めます。当時流行したジャポニスムの影響が色濃く表現された作風で知られ、アール・ヌーヴォー、ナンシー派の指導者としても活躍しました。1904年に没した後も、会社は彼の精神とともに引き継がれ、1931年までガレブランドを冠した優美なガラス器を生産しました。
植物に造詣が深かったガレは、たびたび草花をモティーフとしましたが、今回出品される《蘭文彫花器》は、大振りの蘭の花をまるでガラスに閉じ込めたかのような、見事な総手彫りの作品です。ガレの鋭い観察力と巧みなグラヴュール※により、蘭を立体的に描出し、折り重なる花びらや葉の陰影、遠近などを繊細に表現しています。それゆえに、蘭がそこに咲いているかのような存在感や凛とした気品がもたらされているのでしょう。また、全体に、青、緑、茶のサリシュール※を大胆に施した緑の透明地にべっ甲色のガラスを被せることにより、微妙に変化する色彩の美を楽しむことができる作品です。
※ 用語解説
グラヴュール… 西洋式の彫刻技法。モティーフをレリーフ上に彫り出すこと。
サリシュール… ガラス素地に、緑青色に発色する酸化銅のような金属酸化物の
粉末をまぶしつけ、部分的に斑紋を生じさせる技法。
(執筆:S)
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棟方志功と谷崎潤一朗
2月1日に開催されるオークションは、近代美術・近代美術PartⅡ、ジュエリー&ウォッチが同日開催されます。
ここに出品される作品から、今日は棟方志功をご紹介します。
棟方志功は1903年に青森で生まれ、小学校を卒業した後、働きながらも画家の志を捨てられず上京。独学で洋画を学びました。最初は油絵を制作していましたが、1925年、川上澄生の版画に感銘し版画制作を始めました。
民藝派とも言われる河井寛次郎、富本憲吉らと知り合い、版画の裏から彩色を施す裏彩色を始めました。
油絵、板画、肉筆など多種多様な制作方法と仏教、神話、文学作品など多種多様なモティーフで何千とも何万ともいわれる作品を創りあげました。
今回出品されるLOT32《颯子(さつこ)の柵》は、谷崎潤一郎作「瘋癲(ふうてん)老人日記」の挿画として制作された作品です。1962年に初版が発行され、これによって谷崎は毎日芸術大賞を受賞しています。
本作品で表現されている女性は、「颯子」という、主人公の老人・卯木督助(うき とくすけ)が惚れ込んだ息子の嫁の姿です。富と時間を豊かに併せ持つ77歳の老人は、颯子の脚に性的な魅力を感じ、妻の目を盗んでは、踊り子上がりで驕慢(きょうまん)な嫁から間接的に快楽を得ようとします。颯子もそれを利用して督助から宝石などを得、二人の共犯関係は生と死の対決へと向かいます。
谷崎文学を象徴し、三島由紀夫からも称賛されたこの作品は、志功の装丁・挿画によって豊麗な官能美・古典美がいっそう高められたのです。
この他、LOT29《仰向妃の柵》、LOT31《振向妃の柵》は、岡本かの子が戦前、雑誌『女人芸術』の創刊号に発表した詩「女人ぼさつ」をもとに、棟方志功が制作した作品で、《女人観世音板画巻》の一つです。「足裏の土踏む力 女人われこそ観世音ぼさつ」という詩が書かれています。
この詩に惹かれていた志功は、昭和24年に初めてこの作品を制作し、これによって昭和27年スイス・ルガノ国際版画展で優秀賞を受賞しました。「世界のムナカタ」となるきっかけとなった作品と言えるでしょう。
御紹介した作品は、下見会場で実際にご覧頂くことができます。ぜひご来場をお待ちしております。
〈名古屋下見会〉
会期:1/20(火)・1/21(水) 10:00~18:00
会場:DAITEC SAKAE 6F クリエイトホール
展示作品:近代美術・JEWELLERY & WATCHES
< 大阪下見会〉
会期:1/23(金)・1/24(土) 10:00~18:00
会場:シンワアートオークション大阪営業所
展示作品:近代美術・JEWELLERY & WATCHES
〈東京下見会〉
近代美術PartⅡ: 1/20(火)~1/24(土) 10:00~18:00
※ カタログ記載の日程より、急きょ早めてオープンすることにいたしました!また、ご要望がありましたら、近代美術下見会中(~2/1)も作品をご覧いただけますので、会場にてスタッフまでお気軽にお声掛けください。
近代美術・JEWELLERY & WATCHES : 1/28(水)~1/31(土) 10:00~18:00
2/1(日) 10:00~12:00
会場:シンワアートミュージアム(当社1階)
オークション
日時:2/1(日) 14:00~(JEWELLERY & WATCHES・近代美術PartⅡ)
17:00~(近代美術)
会場:丸ビル7階 丸ビルホール
(執筆者:I)
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名古屋&大阪下見会 開催いたします
いよいよ寒さも厳しくなってまいりました。みなさま風邪などひいていらっしゃいませんか?
冬の乾燥は、私たちだけでなく絵画にとっても大敵です。お客様の大事な作品をお預かりしている当社では、加湿器が24時間社内のあちらこちらで活躍中です。絵画や陶芸をお持ちのみなさまも、この季節は特に保存にお気をつけくださいね。
年末から2/1のオークションの出品作品をご紹介してきましたが、もうカタログはお手元に届きましたでしょうか?先日のブログでもお話ししました通り、今回はシンワ初めての試み、近代美術/近代美術PartⅡ/JEWELLERY & WATCHESの3ジャンル合同オークションとなります。いよいよ来週からは、下見会週間に突入いたします。名古屋、大阪、東京と出品作品が巡回いたしますので、ぜひぜひお近くの会場までお越しください!
〈名古屋下見会〉
会期:1/20(火)・1/21(水) 10:00~18:00
会場:DAITEC SAKAE 6F クリエイトホール
展示作品:近代美術・JEWELLERY & WATCHES
↑ 前回の下見会風景です。
今回は2回目となります。名古屋のみなさま、よろしくお願いいたします。
〈大阪下見会〉
会期:1/23(金)・1/24(土) 10:00~18:00
会場:シンワアートオークション大阪営業所
展示作品:近代美術・JEWELLERY & WATCHES
↑ 大阪営業所での下見会風景です。
大阪のみなさま、いつもご来場ありがとうございます。
名古屋と大阪では、近代美術とJEWELLERY & WATCHESの作品をご覧いただけます。
近代美術の出品作品は、当ブログやホームページ内でご紹介しました下村観山、山口長男、松本竣介、長谷川利行のほかに、杉山寧、サルバドール・ダリなど、個性豊かなラインナップとなっております。
JEWELLERY & WATCHESも、カルティエやハリー・ウィンストンのダイアモンドネックレス、オーデマ・ピゲやブレゲの時計など、上質なアイテムが揃いました。宝石と時計はすべて実際にお手に取ってお試しいただけますので、お気軽にどうぞ。
〈東京下見会〉
近代美術PartⅡ: 1/19(月) 14:00~18:00
1/20(火)~1/24(土) 10:00~18:00
※ カタログ記載の日程より、急きょ早めてオープンすることにいたしました!また、ご要望がありましたら、近代美術下見会中(~2/1)も作品をご覧いただけますので、会場にてスタッフまでお気軽にお声掛けください。
近代美術・JEWELLERY & WATCHES
: 1/28(水)~1/31(土) 10:00~18:00
2/1(日) 10:00~12:00
会場:シンワアートミュージアム(当社1階)
〈近代美術/近代美術PartⅡ/JEWELLERY & WATCHES オークション〉
日時:2/1(日) 14:00~(JEWELLERY & WATCHES・近代美術PartⅡ)
17:00~(近代美術)
会場:丸ビル7階 丸ビルホール
みなさまのお越しを心よりお待ちしております。
(執筆:S)
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謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。
本年も、引き続き弊社をご愛顧いただけますようお願い申し上げます。
世相を反映してか初詣の参拝客が常にも増して多い、
というニュースも流れていたこのお正月、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
私もしっかり参詣し、一年の無事を祈って参りました。
さて、昨年に引き続き、2月1日に開催するオークションについてご紹介いたします。
皆さまお気づきかとは思いますが、実は今回のオークション、ジュエリー&ウォッチ / 近代美術Part2 / 近代美術という3つのセールを一日でお楽しみいただくことができるのです。
杉山寧の優品、西洋骨董、ジュエリー・時計まで幅広い作品が一堂に会しますから、今まで参加されたことのないジャンルの逸品と出会えるチャンスかもしれません。
カタログは今週9日に完成予定です。それまでは、このブログで出品作品をお楽しみくださいね。
本日は、長谷川利行の作品をご紹介いたします。
長谷川利行「裸婦半身図」
23.5×18.5cm / ボードキャンバス・油彩 額装
落札予想価格:50万円~80万円<近代美術オークション出品>
東京の下町を放浪しながら絵を描いた長谷川利行は、裸婦像も数多く制作しています。フォーヴィスム風の作風で知られる利行ですが、1930年代後半に、街で行き倒れてからは特にタッチを主体とし、狂わしいほどに衝動的な画風を展開しました。様々な色彩がキャンバスに散る本作品においても、利行が猛烈な勢いで筆を走らせたことが窺えます。タッチに関心が置かれ、フォルムはその中に溶け込むようですが、裸婦の上半身には鮮やかな色彩を用いて骨格をしっかりと捉えています。
利行がこの裸婦に魅力を感じ、「描きたい」と強く惹きつけられたことを想像させる作品です。
長谷川利行の作品は当社のオークションにもたびたび出品され、そのたびに多くのお客様を惹きつけてきました。なかでも今回は、Part2・近代美術オークションに併せて8点が出品されます。先ほどご紹介した作品は近代美術オークションに出品されますが、Part2オークションに出品される7点も、小品ながら画家の魅力を堪能できること間違いなしです。
長谷川利行「上野駅前車坂附近」
16.0×23.5cm / 紙・水彩 額装
落札予想価格:40万円~60万円<近代美術Part2オークション出品>
この機会に是非、激しさの中に静かな詩情を湛えた利行の作品をご覧ください。
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2008年の感謝をこめて
今日はクリスマス。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。少々早いようですが、当社は今日が仕事納めです。銀座の街はまだクリスマスツリーがキラキラとしていますが、社内では年末らしく整理整頓と大掃除の日となりました。(もちろん通常業務もきっちり行いました!)
今年もみなさまには大変お世話になりました。今年のシンワの大きな出来事といえば、初めて海外でオークションを開催したことでしょうか。2009年は、記念すべき創立20周年の年となります。来年も、引き続きご愛顧いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
明日から当社は冬季休業に入ってしまいますが、シンワアートミュージアム(当社1階)では27日(土)まで「via art 2008 EFD」を開催しておりますので、ぜひぜひお越しくださいね!作品の展示のほかに、明日は多方面で活躍中の漫画家、辛酸なめ子さん×美大生のみなさんのトークショー、明後日はパフォーマンスも行われる予定です。
さて、今日は来年ひとつめのオークションとなる、2/1開催の近代美術オークションの出品作品をご紹介します。みなさまへのお歳暮がわり?になりますかどうか…。
おもて:《牛の話》
うら:《人物》
Lot.14 松本竣介《牛の話・人物》
紙面:27.1×36.3cm 画面:23.7×32.9cm
紙・水彩、鉛筆 額装
1945年作
右下にサイン・タイトル・年代
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
エスティメイト \1,000,000.~1,300,000.
戦争とともに生きた夭折の画家、松本竣介の作品です。36歳で亡くなったために作品数も限られており、オークションに出品されること自体珍しい画家ですが、昨年7月のPartⅡオークションに素描が出品された際には、大変な人気となりました。
松本竣介は、1912年東京生まれ。少年時代に転居した岩手で、病のため聴力を失ってしまいます。しかし、それがきっかけで「見ること」に没頭し始め、17歳で画家を目指して上京。太平洋画会研究所では、靉光や麻生三郎らとともに制作に励み、ルオーやモディリアーニなどパリの画家たちに影響を受けながら、生涯のテーマとなった都市の景観に魅せられていきました。また、自宅を「綜合工房」と称して随筆・デッサン誌『雑記帳』を刊行し、美術雑誌『みづゑ』に論文を発表するなど、社会への発言を積極的に続けました。日中戦争から第二次世界大戦へと続く暗い時局の中で、政治的イデオロギーからの芸術の自立を、ヒューマニズムの立場で訴え続けた画家です。
竣介は1点の油彩画を制作するために、鉛筆スケッチ、それを構成したデッサン、原寸大の下絵、下絵に濃淡の調子を加えた素描、タブローのうち、3つから4つの工程を経て完成に導いたと言われています。「線は僕の気質なのだ」という自身の言葉通り、その作品は、伸びやかで表情豊かな線の魅力に溢れています。とりわけスケッチやデッサンは、油彩画の源泉となっただけでなく、強烈に線そのものの輝きを放ち、竣介の純粋な心と鋭い感受性を最もみずみずしく伝えるものと言っても過言ではありません。
本作品は、《牛の話》の裏面に《人物》が描かれたもの。表面《牛の話》に、「二十・二・四」と記されていることから、1945年2月に制作された作品です。中央に立つ大きな牛に、建物や人間といった都市の景観のイメージを重ねています。こういったモンタージュ風の作品は1938年頃から描かれていますが、本作品では軍艦や荷車が描かれており、激動の1945年という世相が反映されているようです。また、終焉へと向かう戦争をまるで皮肉るかのように、哀しく、ユーモラスな表情を湛えた牛の姿に、社会と向き合い、時代に抗いながらその潮流を描きとめようとした画家の気概を感じさせます。
裏面の《人物》のモデルは、その風貌から妻・禎子夫人でしょうか。1945年の3月、夫人は出産のため郷里島根県松江市に疎開しており、東京に残った竣介とは数年の間離れて暮らすこととなります。もし、表面《牛の話》と同じ時期に制作されたものならば、本作品はしばしの別離の前に描かれたものなのでしょう。目を伏せたその柔らかな表情には、竣介の妻に対する愛情が溢れています。また、夫人像の傍らには、夫人の襟元と思われる部分に注目したものと手を組み合わせたスケッチが描かれています。特に、手は、竣介が魅力を感じ、しばしば強調して描いたモティーフです。耳の聴こえない竣介にとって、手は5本の指のつくり出す複雑な形によって、ときに顔の表情よりも雄弁で直接的に語りかけてくる存在だったのでしょう。裏面に描かれたこの作品も、その瞬間、画家が強く惹かれたものが、素早く生き生きと捉えられています。
それではみなさま、よいお年をお迎えください!
来年もシンワアートオークションをどうぞよろしくお願いいたします。
(執筆:S)
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タンザナイト

Lot372
タンザナイト ダイアモンドリング
タンザナイト クッションカット 1個
約12×11mm
プロングセット(爪留め)
ダイアモンド スクエア 6個
打刻:Pt900 8.378 S 0.67
サイズ:12号
エスティメイト:22万円~30万円
透明感のある青紫色が美しい宝石です。
本日は、次回のジュエリー&ウォッチオークションにも出品されます、タンザナイトについてご紹介いたします。
タンザナイトは、鉱物学の分類ではゾイサイトという鉱物の一種です。
1967年、東アフリカ、タンザニアにあるメレラニ鉱山で、新種のブルーゾイサイトが発掘されました。それまでゾイサイトは鉱物としては知られていましたが、彫刻品や飾り石として用いられているにすぎませんでした。
これを、ティファニー社が宝石として見出し、
タンザニア、キリマンジャロの夕暮れ時の青い空の色に似ていることから、「タンザナイト」と名づけます。そして積極的にプロモーションをした結果、アメリカを中心に人気を呼ぶ石となります。
しかし1998年、エルニーニョ現象の影響でメレラニ鉱山は大洪水に襲われ、地中深く掘り進められていた鉱山一帯が埋め尽くされていまいます。これにより多くの人の命が奪われるとともに、鉱山は閉鎖され、タンザナイトは全く産出されなくなってしまいます。2001年、鉱山は産出を再開し、大粒で良質のタンザナイトが市場に出るようになりましたが、その量は次第に減少していくと予想されています。
また、一時はアメリカ経済や国際情勢の動向により、流通量や価格が変動したという過去もありますが、2005年からは、タンザナイトワンという機関がタンザナイトの産出量をコントロールし、価格を調整しています。
特徴としては、見る角度や光の加減によって青色、紫色、赤みを帯びた紫色等、色が変化する「多色性」という性質を持っており、自然光の下では透明感のある美しい群青色に、白熱灯の下では高貴な紫色に輝きます。弊社のオークションでもあまり出品されることのない、希少な宝石の一つです。下見会はまだ先ですが、この機会にぜひご覧になってみてくださいね。(執筆:M)
【JEWELLERY&WATCHES】
オークション:2009年2月1日(日) 丸ビルホール
下見会:【名古屋】DAITEC SAKAE 6F・クリエイトホール
1/20(火)・21(水)
【大阪】大阪営業所
1/23(金)・24(土)
【東京】 シンワアートミュージアム
1/28(水)~2/1(日)
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陶芸下見会始まりました
今年もあと半月を残すばかりとなりました。今週末は今年最後のオークション、近代陶芸&近代美術PartⅡ(陶芸)オークションを開催致します。
今日からスタートした下見会の会場です。ゴージャスな絵画や賑やかなコンテンポラリーと違って、陶芸の下見会場は静謐で心地よい緊張感があります。
今回の陶芸には北大路魯山人の作品が50点以上出品されます。
カタログ(受付にて3000円で販売しています)では魯山人の作品にお料理が乗っている写真なども掲載し、陶芸を味わう楽しみ満載の仕上がりとなっていますので、こちらも是非ご覧ください。
今回は十三代今泉今右衛門の作品も多く出品されます。
個人的に、今回とても興味深く思っているのは、元伯宗旦(千宗旦)が書いた書です(LOT139)。常叟(千宗安)の添え状が付いていて、中には、様々な時代の人がこれをその時代の言葉に読みなおした書きつけが封入されています。
その付属品の多さにも驚きますが、日本人が400年以上にわたってこれを大切に受け継いできたという事実に感動すら覚えます。
それは、茶道や禅の文化が日本の基調にあるというだけではなく、「古いもの」に価値を見出すという精神性の表れでもあるのでしょうね。
■近代陶芸・近代美術PartⅡオークション
オークション:12月13日(土)16:00より
下見会:12月11日(木)~13日(土)
10:00~18:00(最終日は12:00まで)
(執筆者:I)
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座りにいらっしゃいませんか?
WINTER+オークション下見会が本日オープンしました!
さて、恒例の下見会場ご案内です。
今回のオークションは、デザイン&コンテンポラリーアートということで、
下見会もいつもとちょっと違う雰囲気に。
アートにあまり興味のないご友人やお子様とご一緒にお越しくださっても、
楽しんでいただけるかもしれませんよ。
↑ 1階はこんな感じで、デザイン家具にぴったり合う写真やプリントが展示
してあります。
フロアの明かりをやや落として、倉俣史朗のテーブル、デザイン照明や発光ダイオードの作品など、「光」がポイントとなる作品をたくさん展示しています。シャンパンが欲しくなってしまうような、とってもいい雰囲気です。
Lot.338 トム・ディクソンの照明です。 →
本体の部分がスイングします。
天井に映った影までスパイラル!
会場に置いてある椅子は、実際に座ってお試しいただけます。
スタッフも座ってみました。

↑ Lot.291 イームズのロッキングチェアー。かわいいです!女性にぴったり。

↑ Lot.271&272 ヤコブセンです。DVDを見たり、音楽を聴くときのおともにぜひ。

↑ Lot.324 ナナ・ディッツエルのベンチとテーブル。こんなベンチでコーヒー
飲みたいですね。
今日もおすすめの作品をご紹介します。
個人的には、冬のボーナスでこんな贅沢なお買いものができたら…、
と夢見てしまう憧れの逸品です。


Lot.313,314 ミース・ファン・デル・ローエ
《バルセロナチェアー》A,B
w76×d76×h76 cm
ステンレス、革・ノル
エスティメイト ¥400,000-600,000
モダンデザインの代名詞的存在であり、言わずと知れた名品です。リプロダクトの製品も多く作られていますので、もし《バルセロナチェアー》という名前をご存じなくても、テレビドラマやCMで使われていたり、カフェやバーに置いてあるのをご覧になったことがあるかもしれません。
この作品をデザインしたミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969)は、20世紀モダニズム建築を代表するドイツの建築家です。建築の5原則を見出したル・コルビュジエ、旧帝国ホテル・ライト館の設計で日本にも馴染みの深いフランク・ロイド・ライトとともに、近代建築の3大巨匠と呼ばれています。「よりシンプルであることは豊かなこと」という“Less is more”というコンセプトに基づいて住宅や高層ビル、家具を設計・デザインしました。1930年には、カンディンスキーやクレーが教鞭をとった建築と芸術の学校、バウハウスの第3代校長も務めています。
《バルセロナチェアー》は、1929年ミースがバルセロナ万博のドイツ館を設計した際、スペイン国王アルフォンソ13世を迎えるためにデザインしたもので、「20世紀の王様の椅子」と呼ばれています。Xの形に交差し、なめらかな曲線を描く脚部が目を引きますが、これはハサミをモチーフにしたもの。古代ギリシアやローマ帝国において、ハサミ型の椅子は神々や支配者が座る玉座であり、権力の象徴でした。ここから発想を得て、近代的な新しい解釈で本作品を表現したミースは、スマートかつシンプルな形で、この椅子に座る人が最高の快適さを得られるようにデザインしました。高い機能性を備えながら、「神は細部に宿る」というミースの言葉を見事なまでに美しく体現した作品です。
◆DESIGN and CONTEMPORARY ART◆
=WINTER + AUCTION=
12月6日(土) 17:00~ シンワアートミュージアム
下見会 12月3日(水)~5日(金) 10:00~19:00
12月6日(土) 10:00~12:00
※ワインオークションは 12月6日(土) 14:00~ シンワアートミュージアム
にて開催いたします。
(執筆:S)
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WINTER+AUCTION開催!
来週末の12月6日(土)、WINTER+AUCTIONと題して、デザイナーズ家具、コンテンポラリーアートのオークションを開催いたします。
そもそもこのブログは、7月に開催したSUMMER+AUCTIONに関する情報をお知らせすることを目的にはじめたのですが、あれから半年が経過し、こうしてWINTER+AUCTIONを告知できることに喜びを感じています。いつもブログを読んでくださっている皆様、ありがとうございます。
さて、前回のSUMMER+AUCTIONではじめて試みたデザイナーズ家具。今回はさらにパワーアップし、椅子、ソファ、テーブルなど、78点出品されます。シンワアートジャーナルでも取り上げましたが、倉俣史朗の幻の遺作、カウンターテーブル《橘》は一見に値します。(詳細はこちら)
その他、アルネ・ヤコブセンの《エッグチェアー》をはじめとするモダンなデザインの椅子や、フィン・ユール、ハンス・ウェグナーといったデンマークを代表するデザイナーの存在感溢れる家具、イタリア建築界の巨匠、アンジェロ・マンジャロッティの大理石のテーブルなど、美しさだけでなく、機能性を兼ね備えた名品が出品されています。空間をよりスタイリッシュに演出するデザイナーズ家具の数々を、この機会にぜひご覧ください。
◆DESIGN and CONTEMPORARY ART◆
=WINTER + AUCTION=
12月6日(土) 17:00~
下見会 12月3日(水)~5日(金) 10:00~19:00
12月6日(土) 10:00~12:00
また同日、ワインオークションも併催いたします。こちらでは、キラキラと輝くゴールドのボトルが印象的なアルマン・ド・ブリニャック(Armand de Brignac、シャンパーニュ)が登場します。これを生産しているキャティア家は、1763年から フランスのシャンパーニュ地方の中心ランスにてシャンパンの製造を行ってきた老舗。すべての生産工程を手作業で行っており、ピノ・ノアール、シャルドネ、ピノ・ムニエの3種類の葡萄を3分の1ずつ使用した独自のブレンドが特徴です。アメリカでは高級シャンパンとしてセレブリティーを中心に人気を博しているといいます。
その他、ブルゴーニュ地方におけるワインの神様と称されている醸造家、アンリ・ジャイエ(Henri Jayer)のワインも出品されています。彼が2006年に亡くなってからその価格は高騰していますが、中でも1級畑の葡萄で生産されたヴォーネ・ロマネ・クロ・パラントゥー(Vosne Romanee Cros Parantoux)は生産量が少なく、大変貴重な逸品です。
これからイベントが盛り沢山なこの季節に、ラグジュアリーなワインはいかがですか?
◆ワインオークション◆
12月6日(土) 14:00~
下見会:12月5日(金) 13:00~15:00、寺田倉庫品川トランクルームにて
※下見会は予約制となっております。ご連絡お待ちしております。
(執筆者:M)
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