PartⅡオークションに出品される韓国人作家、金春子・崔錫云


こんにちは。
今週は、「浮世絵 / 近代美術PartⅡオークション」が開催されます。
まず、下見会とオークションの情報は以下の通りです。

【下見会】
日程:11月9日(水)~11月11日(金) 10:00~18:00
   11月12日(土) 10:00~12:00
場所:シンワアートミュージアム

【オークション】
日程:11月12日(土) 
14:00 - Lot. 501 ~ Lot. 774(近代美術PartⅡ)
17:00 - Lot. 301 ~ Lot. 390(浮世絵)
場所:シンワアートミュージアム

版画・日本画・洋画・外国絵画・工芸など、毎回多様な作品をお楽しみいただけるシンワの近代美術PartⅡオークション。今回は、歌川広重・葛飾北斎・東洲斎写楽の優れた浮世絵と共に「浮世絵 / 近代美術PartⅡオークション」として開催されます。
どうぞお楽しみに。

今日は、その中から外国絵画の作品2点をご紹介したいと思います。

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Lot 682
金 春子(キム・チュンジャ)
 
『Growing Earth』
53.5×41.1cm
キャンバス・アクリル 中央下にサイン・年代(2011)
エスティメイト:\50,000~\100,000

上の作品は『Growing Earth』のシリーズを通して生命のメッセージを強いインパクトで表現する韓国の作家、金春子(キム・チュンジャ)の近作です。1957年韓国の釜山で生まれ、新羅大学校美術学科で西洋画を専攻し、1983年釜山青年ビエンナーレを始め、2003年韓国現代美術交流展(東京・元麻布ギャラリー)、2006年Pre-国際インチョン女性ビエンナーレ、2011年Art stage Singapore (シンガポール)の他、160回以上のグループ展や個展を開き、精力的な活動を見せてきた金は、人間と自然の調和をテーマに独自の生命力溢れる画面を作り出します。作家の想像力から生み出された植物と動物の混在するイメージは、まるで太古の地球に存在したかのような神秘的な生き物を思わせます。
本作品では、きわめて純潔で美しい草食動物の頭上に角のような生命体が加わり、この地球上に力強く新しい生命が誕生したことを謳っているようです。作家は、それぞれの生き物が持つ独自の生命力をこのように一つに束ねる作業を通して、「生」自体の、あるいは生きているこの瞬間への感謝の気持ちを語ろうとするのでしょう。


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Lot 684
崔 錫云 (チェ・ソッウン)
『秋』
45.7×53.2cm
キャンバス・油彩 左下にサイン・年代(’95)
エスティメイト:\50,000~\100,000

もう一人の韓国人の作家、崔錫云(チェ・ソッウン)の作品、『秋』です。
1960年韓国の釜山で生まれた崔錫云(チェ・ソッウン)は、釜山大学校芸術大学美術学科を卒業し、弘益大学校美術大学院で絵画を専攻しました。30回以上の個展と、韓国を始め、中国・アメリカ・オーストリア・ロシアなどでの国際的なグループ展を中心に多数の作品を発表してきた崔は、親しみやすい色鮮やかな画面に、日常生活での出来事や個人的な所感を淡々とした視線で描き出します。作家が持つ詩的な感覚やユーモラスな画面作りは、韓国朝鮮時代の風俗画を連想させると評価され、韓国ではすでに高い人気を集めています。
本作品では、各モチーフの間に一定の空間的な距離を置くことで、画面への視線を一ヶ所に集中させず、登場する人物やモノに分散させています。それは、モチーフが持つイメージを観賞者それぞれの記憶や感覚に沿って解釈してもらおうという作家の意図を感じさせます。また、画面の中央に用いた鮮やかな黄色の絵具はタイトルである「秋」のイメージを提示し、鑑賞者が持つ様々なノスタルジアの感覚を蘇らせるのでしょう。

9日(水)から始まる銀座での下見会にて、皆様のお越しを心よりお待ちしております。

(執筆:W)