美術品の管理について~梅雨編~


 こんにちは。どんより曇ったり、晴れたり、雷が鳴ったり…と、不安定な天気が続きますね。昨年の流行語大賞トップ10に選ばれた「ゲリラ豪雨」が、今年も各地で発生しているようです。大きな災害が起こらないことを祈るばかりですね。

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さて本日は、梅雨時期の美術品の管理についてお話したいと思います。

 じめじめとした日が続く梅雨は、美術品にとっても湿気が大敵となります。作品の支持体となっている布や紙は吸湿性が高いため、空気中の湿度によって状態が変化してしまいます。それを安定した状態に保つために適した湿度、温度があります。

 作品の種類や環境によっても若干異なりますが、お部屋に飾ったり、箱にしまって保管しておく際は、湿度50~55%、温度20~25℃が適しています。これ以上の湿度や温度で展示や保管を続けると、絵画ならカビ、版画や写真でも波打ちやシミが発生する原因となってしまいます。美術館や博物館では、年間を通してつねにこの基準内で一定の湿度や温度を保っています。お客様の大切な作品をお預かりしている当社でも、保管環境には注意を払っています。

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例えばご自宅の場合、注意が必要なのは…、水まわり付近、玄関や窓の周辺、押入れ、そしてエアコンの風向きでしょうか。

 キッチンやお風呂の近くはどうしても湿度が高くなりがちですし、玄関や窓付近は外気の影響を受けやすくなってしまいます。エアコンの送風が直接当たる壁なども、温度変化が大き過ぎるでしょう。また、押入れは作品の保管場所にされがちですが、湿気がたまりやすいため、もし保管するなら除湿をしたり、晴れた日に作品を出して虫干しすると良いかもしれません。

 日本画がお好きな方はよくご存じかもしれませんが、日本画を保管する際に桐箱を使うのは、水や熱、虫害に強く、箱内の湿度を一定に保つ効果があるからなんですよ。昔から着物の収納に桐タンスが使われてきたのも同じ理由です。

 美術品をお持ちの方は、大切な作品を長く楽しむために、飾っているお部屋や保管場所の環境と湿度をもう一度チェックしてみてくださいね。


(執筆:S)