金子潤 展


 18日のオークションにご参加いただいたみなさま、
どうもありがとうございました。
今回はジュエリー&ウォッチ、近代美術PartⅡ、近代美術、近代陶芸の4ジャンル合同オークションということで、たくさんのお客様がご来場くださり、
近代美術で落札率100%という大変な好結果になりました。
心よりお礼申し上げます。

 さて、今週からシンワアートミュージアム(当社1F)では、
金子潤展を開催しております。

 全米を代表する陶芸作家・金子潤さんは、1942年名古屋に生まれました。1963年に画家を志して渡米。ロサンゼルスのシャナード美術学校で土と出会い、ジェリー・ロスマン、ピーター・ヴォーコスといった現代陶芸作家に師事します。1964年に第23回全米陶芸展で入選を果たし、一躍脚光を浴びてからは、多くの展覧会に作品を出品するようになりました。1979年伝統あるクランブルック・アカデミーの教員として招聘。1984年には、ボストン美術館で開催された「アメリカ現代陶芸の動向」展において、アメリカを代表する15人の作家のひとりに選ばれています。現在もアメリカを拠点に、陶芸のほかにも絵画、ガラス、オペラの舞台や衣装のデザインを手がけるなど、多彩な活動を展開しています。

 今回の展覧会は、金子潤さんの代表的なシリーズ、「Dango」と「Oval」を中心に約20点で構成されています。いずれも、酸化銅を主体とした釉薬に低温で還元をかける「ストライキング」という特殊な焼成技法で制作された作品です。金子さんは発色の良い仕上がりを求めて、この技法に行き着いたようですね。

kanekojun+008_convert_20090725211719.jpg

会場に入ると迎えてくれるのはこちら。《Untitled,Head,2008》です。「Head」すなわち「人頭」も、金子さんの主要なシリーズの一つ。唯一といってもよい具象的な作品です。目も口もない寡黙な人頭ですが、その存在感で雄弁に語りかけてくるようです。




kanekojun+003_convert_20090725203425.jpg

  「Dango」は丸みを帯びたやわらかなフォルムの立体作品です。「陶の彫刻家」とも呼ばれる金子さんの作品は、大変スケールが大きなことで知られていますが、「Dango」はその魅力を端的に伝えてくれるシリーズ。水玉やしま模様の色彩が鮮やかです。全体が文様で覆われているため、作品には正面性がありません。一つ一つが確固とした存在でありながら、何かの一部でもあるような、全体を鑑賞しながらも、まだ見えない部分があるような、さらなる奥行きを感じさせます。
 シリーズとはいえ、作品はそれぞれが独立したものですが、同じ空間に並べるとまるで作品同士が対話しているかのような関係性が生まれています。


 kanekojun+010_convert_20090725212111.jpg

思わずなでてみたくなるような、ツヤとやさしいフォルムですが、展示作品には触れられませんのでお気をつけください!
(私も我慢しました)

 


ちなみに金子潤展は、東京ミッドタウンと二会場で同時開催中です。
http://www.tokyo-midtown.com/jp/event/sp_contents/jun_kaneko/index.html

ミッドタウンは野外展示ですので、両方ご覧になると、作品の違った表情をお楽しみいただけるかもしれませんね。
みなさまのご来場を心よりお待ちしています。


■□■ 金子潤展 □■□

会場:シンワアートミュージアム
会期:開催中~8/1(土) 会期中は無休
開館時間:10:00~18:00


(執筆:S)