学校は夏休みに突入し、子どもたちの開放感あふれるニコニコ笑顔が目に付くようになって来ましたね。
さて、7月3日から国立近代美術館ではゴーギャン展が開幕し、毎日朝から多数の来場者を集めています。
これから始まる夏休み、親子で芸術鑑賞、という方にお勧めです。
この美術館は常設展も常に素晴らしいですからね!
≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫
1897-98年 ボストン美術館
Tompkins Collection-Arthur Gordon Tompkins Fund,36.270
Photograph©2009 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.
今回、日本で初公開となる≪我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか≫ は、近代の人間が抱える苦悩と矛盾を表現したゴーギャンの最高傑作と言われています。
139.1 ×374.6㎝という大作(画家の最初の構想ではもっと大きかったそうですが)の中では、多くの物語が展開されます。
生と死、若さと老い、人類と神、そして文明と野蛮といった二項対立が重層的に描き出され、それが一つの絵画世界を構成しています。
それは観る者の中にいくつもの疑問を呼び起こし・・・、一人の芸術家が人生をかけて成し遂げた作品に宿る力のすごさに感動!です。
ゴーギャンはもともと株式仲買人でした。
取引で成功を収めた彼はセザンヌやマネをコレクションするようになり、趣味で絵画を始めます。しかしあるとき株の暴落で落胆し、絵画の世界にのめりこみ、画家となるのです。
それからの人生は、画商であったゴッホの弟・テオの紹介でヴィンセント・ヴァン・ゴッホと知り合い、同居。互いに強い影響を与え合います。
そしてタヒチへの旅、ポリネシアの人々との暮らしと、そこで感じる“野蛮な”美、そして“文明人としての”疎外感、そこから感じる自己の矛盾・・・。
53点の作品が贅沢に並ぶ展示には詳しい解説がつけられ、ゴーギャンの数奇な人生を追想するかたちで辿ることができます。
音声ガイドでは、ゴーギャンの声を奥田瑛二が吹き込んでいます。
内容は展示パネル以上に詳しいですし、カタログをお求めにならない方でも、音声ガイドは500円なので是非。
また、今回の展覧会には特別シャトルバスが運行されています。
会期中(開館時間中)、JR東京駅「日本橋口」・東京国立近代美術館間を無料シャトルバスが運行します。
東京駅から会場までのアクセスが簡単です。遠方から新幹線で東京においでになる方には、そのままシャトルバスという手段もありますよ。
<シャトルバス>
<附属レストランのゴーギャン展特別メニュー>
【開催概要】
会 場 : 東京国立近代美術館
会 期 : 2009年7月3日(金)-9月23日(水・祝)
開館時間 : 午前10時-午後5時(金曜日・土曜日は午後8時まで開館)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 : 月曜日 ※7月20日(月・祝)、8月17日(月)、8月24日(月)、9月21日(月・祝)は開館、7月21日(火)は休館
観覧料 : 一般1,500円/大学生1,000円/高校生600円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方と付添者(1名)は無料
展覧会ホームページ http://gauguin2009.jp/
(執筆者:井上素子)