宮本三郎の裸婦像


こんにちは。
10日の近代陶芸/近代陶芸PartⅡオークション、17日までの近代美術PartⅡオークション下見会にお越しくださいました皆様、誠にありがとうございました。

さて、今週は、近代美術/近代美術PartⅡオークションを開催いたします。
今回のおすすめは、裸婦や女優などの女性像で知られ、東京や石川に美術館のある国民的な洋画家…当社のオークションでもおなじみの宮本三郎です。
24日(土)の近代美術オークションには、宮本の女性像の名作が3点出品されます。

宮本三郎(1905-1974)は、石川県能美郡未佐美村(現・小松市)に生まれました。
17歳で上京し、川端画学校で藤島武二に学んだ後、人物画の名手である安井曽太郎や前田寛治にも指導を受けます。第4回二科展に初入選して画壇に頭角を現し、1938年にヨーロッパに留学した際は、古典絵画に大きな影響を受けました。戦後は二紀会の創立に参加し、その中心的な存在として活躍。金沢美術工芸専門学校(現・金沢美術工芸大学)や多摩美術大学で教鞭を執り、日本美術家連盟の理事長を務めるなど、日本の洋画界のために力を尽くしました。
正統的なレアリスムを基礎とする、豊麗かつ幻想的な「花と裸婦」シリーズで人気を博した、昭和の洋画壇を代表する画家の一人です。

 

  24 《薄絹の女》
               68.1×33.6cm
        キャンバス・油彩 額装
              昭和48(1973)年作
              東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
            『画集 宮本三郎 花と風景と女』
                    (1973年/毎日新聞社)№.30
            『宮本三郎』(1974年/三彩社)P.15
            『宮本三郎の世界 花と裸婦と…』
                    (1978年/毎日新聞社)P.21
              落札予想価格 ¥2,000,000~¥3,000,000

【オークション終了につき、画像は削除いたしました】

 
宮本が、裸婦を主題とする華麗な連作に着手したのは、円熟期にあたる1967年のことです。
女性が鏡の前に立ち、帽子を被る様子が描かれたこの作品も、なんとも官能的な一点。顔の部分に陰影が施され、女性の表情をうかがい知ることはできませんが、それがかえって、シースルーのワンピースから透ける肌に、観る者の視線を誘導するようでもあります。



 25 《立像裸婦》
        67.8×33.8cm
       キャンバス・油彩 額装
        東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
        落札予想価格 ¥2,000,000~¥3,000,000

【オークション終了につき、画像は削除いたしました】
 
こちらの作品にも、鏡の前の裸婦が描かれています。この「鏡」は、宮本作品にしばしば登場する重要なモティーフです。そこに映るもう一つの世界を効果的に取り入れることで、作品の幻想性がいっそう高められています。
また、燃えるように鮮やかな色彩と奔放な線が交錯する背景は、宮本作品の見どころの一つで、昂る画家の情熱を表わすようです。



26 《三美神》

78.2×46.7cm
キャンバス・油彩 額装
右上にサイン
東京美術倶楽部鑑定委員会鑑定証書付
落札予想価格 ¥3,000,000~¥5,000,000

【オークション終了につき、画像は削除いたしました】

宮本の代表作《レ・トロワ・グラース》(1970年作・小松市立宮本三郎美術館蔵)と同様、ギリシャ神話の三美神を主題とした作品です。
三美神は、「輝き」、「喜び」、「花の盛り」を表わす美と優雅の女神たち。ですが、描かれているのは、日本人女性をモデルにした現実の裸婦でしょうか。様々な色彩が丹念に塗り重ねられた、上気したように赤みを帯びた裸婦の透き通る肌、肉体のヴォリュームの表現が圧巻です。まるでそこには、宮本三郎の理想の女性美が凝縮されているようです。


これらの作品は21日(水)からの下見会でご覧いただけます。
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このほか、加山又造や上村松園、福田平八郎といった近代美術の巨匠たちの名品、同時開催となる手塚治虫オークションのペン画やセル画も展示いたします。

内容盛りだくさんの下見会にぜひお越しください。
皆様のご来場を心よりお待ちしています。

(佐藤)