マイセンのフィギュリン


こんにちは。
先日のワインオークションにご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。台風が接近する中、たくさんの方々がご来場くださいました。

さて、今週の24日(土)は西洋美術オークションを開催いたします。
ご入札はご来場のほか書面や電話、オンラインでも承っておりますので、ご都合に合わせてご活用ください。
今回はマイセン特集の中からおすすめの作品をご紹介いたします。

マイセンは、ヨーロッパで最初の白地の硬質磁器を生み出したドイツの名窯です。16世紀から17世紀、東洋からもたらされた薄くて硬い純白の磁器は「白い金」と称讃され、富と権力の象徴としてヨーロッパの王侯貴族たちに蒐集されました。各国の君主が自国での製造を目指す中、ザクセン公国(現在のドイツ北部)の選帝侯アウグスト1世(1670-1733)に製法の解明を命じられた錬金術師ベッドガーが1709年にその製造に成功。翌年、マイセンに王立磁器製作所が設立されると、シノワズリーやロココなど、時代の流行を反映した多彩な装飾様式が次々に展開していきました。


マイセンといえば、エレガントな食器や壷も魅力的ですが、その代名詞として世界中で親しまれているのは、「マイセン人形」(フィギュリン)と呼ばれる小型彫刻でしょう。
この彫像は、中世より宮廷の祝賀正餐会にて主催者の富を象徴する装飾品とされてきた砂糖菓子に代わる豪華なテーブル装飾として、また、室内の棚やコンソールに飾る観賞用の美術品として、1736年に造形家ケンドラー(1706-1775)によって創造され、以後様々な人物像や動物像などが作られてきました。そして、今回のマイセン特集の見どころはこのかわいらしいキューピッドたちです。







Lot.44《ハートを閉じ込めるキューピッド》
H.11.5cm
底部に窯印
落札予想価格 ¥100,000~¥200,000

新古典主義の造形家アシエ(1736-1799)が原型を制作したという16点からなるキューピッド像のシリーズの一つ。本作の台座には「あなたは捕らわれの身です」と書かれており、キューピッドは籠の中にハートを閉じ込めようとしています。このシリーズでは、このように各々の台座にフランス語で愛に関する格言が記され、キューピッドはその内容を示す動作や姿で表わされています。


また、小型彫刻では神話や寓意も欠かすことのできない重要なテーマです。

 

 

 

 

 

 

 

Lot.77《馬車に乗るフローラとゼファー》
H23.4cm                                                                        底部に窯印                                                Lot.78《芸術》                                    落札予想価格 ¥400,000~¥600,000          H46.8cm                                      
                                                                                                  底部に窯印  
                                                                                                  落札予想価格 
                            ¥800,000~¥1,200,000

Lot.77《馬車に乗るフローラとゼファー》は、ギリシャ神話の西風の神ゼファー(ゼフュロス)とその妻で春と花の女神フローラが表わされており、寄り添う二人は男女の愛を示唆するモティーフでもあるでしょう。そして、Lot.78《芸術》はタイトル通り芸術の寓意として表わされた神秘的な女性像ですが、女性が携えたペンと巻物は「詩」を、パレットと絵筆は「絵画」を、リラは「音楽」を象徴する持物と考えられます。

マイセンは全部で40点、そのうちキューピッドは20点ほど出品されますので、お好きな作品を見つけていただけましたら幸いです。また、本オークションにはペルシャ絨毯やステンドグラス、ガレ、ドームなども出品されます。
ぜひ下見会で実物をお楽しみください。
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新型コロナウイルスの感染予防対策にしっかりと取り組み、皆様のご参加をお待ちしております。

(佐藤)