9/19-9/20開催オークションより          おすすめ作品のご紹介(2)


こんにちは。

いよいよ今週の土曜日に「近代陶芸/近代陶芸PartⅡ/近代美術/戦後美術&コンテンポラリーアートオークション」が、日曜日には「BAGS/JEWELLERY&WATCHES/近代美術PartⅡオークション」が開催されます。2日間に分けて行いますので、開催スケジュールにご留意いただきぜひご参加ください。また会場にお越しになられなくても書面、電話、オンラインでも入札を承ります。カタログをお持ちでないお客様は、オンラインカタログでも作品の画像をご覧いただけますので、まずはそちらからお気軽に覗いてみてくださいね。

さて、今週は近代陶芸オークションから作品をご紹介いたします。

 

 

鍋島藩窯の御用赤絵師であった有田の今右衛門窯は、「色鍋島」の技術を継承する窯元です。その代表者である今泉今右衛門は、現在十四代目が当代を務められています。先代の十三代今泉今右衛門(1926-2001)が窯の代表となった1976(昭和51)年に、「色鍋島今右衛門技術保存会」を新たに組織し、国の重要無形文化財【色鍋島】の総合指定を受けました。

今回ご紹介する作品は、どれも十三代の作品です。十三代は、【色絵磁器】で1989(平成元)年に重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されています。伝統的な技法に加え、「緑地(りょくち)」「吹墨(ふきずみ)」「薄墨(うすずみ)」「吹重(ふきがさ)ね」を用いて新たな色鍋島を発表し続けました。

元々色鍋島にはなかった、伊万里で染付をする際に使用されていた青色を色調とした釉薬を霧状に吹き付ける「吹墨」という技法で作品を創り出し、更に黒の色調をした「薄墨」に展開させました。そしてその二つを重ね合わせた「吹重ね」により、藍と墨色の諧調を美しく見せることに成功しました。また、意匠も「更紗文」「有職文(ゆうそくもん)」「唐花文」といった伝統的な文様を現代的にアレンジして描き、高い評価を得ました。LOT.109とLOT.110には薄墨を背景に赤の線描きで蛸唐草模様のような細やかな文様が入れられ、ダイナミックな中央の唐草文、露草文を引き立たせています。そしてなかでも代表的な文様として知られているのは、LOT.112で描かれている「珠樹文(しゅじゅもん)」というインド更紗から着想を得て創作した赤い実を付ける空想上の樹の文様です。こちらの作品の大きさが通常の1.5倍ほどあり、鶴首の美しい形を損なうことなく成形・焼成されています。いずれも隙のない今右衛門の技術やセンスが窺える大作と言えるでしょう。

伝統的な色絵磁器に新風を吹き込んだ、十三代今泉今右衛門の作品をご覧になりにぜひご来場ください。

 

9/16(水)~9/18(金)の下見会では、5ジャンルすべての出品作品をご覧いただけます。
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新型コロナウイルスの感染予防対策にしっかりと取り組み、皆様のご参加をお待ちしております。

 

執筆者:E