高橋留美子の「うる星やつら」直筆ネーム


こんにちは。
いつのまにか11月も半ばを過ぎ、朝晩の空気はかなり冷たく、乾燥してまいりました。今年の冬は各種ウイルスの予防のため、手洗いうがいを徹底しましょう。

さて、今週の21日(土)は、近代美術/戦後美術&コンテンポラリーアート/近代美術PartⅡ/MANGAオークションを開催いたします。
今回はMANGAの出品作品の中からおすすめの一点をご紹介いたします。

78 高橋留美子
「うる星やつら」直筆ネーム
26.0×36.8cm
紙・鉛筆
掲載紙「少年サンデーコミックス:
うる星やつら⑦/PART-5テンちゃんがきた」昭和56(1981)年(小学館)付

落札予想価格  
¥1,000,000~¥2,000,000

【オークション終了につき、作品の画像は削除させていただきました】


ご存じの通り、高橋留美子(1957- )は少年漫画の分野で活躍する女性漫画家の先駆者的な存在です。大学在学中に「勝手なやつら」で第2回新人コミック大賞に入賞し、漫画家デビュー。「うる星やつら」のほか「めぞん一刻」、「らんま1/2」、「犬夜叉」などの人気作を次々に発表しました。先日発表された秋の褒章では紫綬褒章を受章。現在は、『週刊少年サンデー』にて「MAO」を連載中です。

この作品は、『週刊少年サンデー』(昭和56年1月11・15日号)に掲載された「うる星やつら」の直筆ネームです。
ネームとは、漫画全体のあらすじを決めた後、漫画家自らが最初から最後までを簡単な絵で描いたもので、セリフやキャラクターの配置、画面構成、コマ割りなどが表わされます。(アニメでは絵コンテと呼ばれます。)ネームは基本的に公開されませんので、こうして目にすることができるのは本当に貴重ですね。

本作では、ラムのいとこ・テンが初めて登場する場面が描かれていますが、掲載紙を確認すると、セリフも画面構成もネームからほとんど変更されていないようです。漫画家によってはかなりラフなタッチでネームを作るそうですが、本作はとても細やかで、画力の高さも見て取れます。また、高橋留美子がこの段階で絵もストーリーも下絵に近い状態まで仕上げるタイプであることがわかります。

さらに、ご注目いただきたいポイントがもう一つ。ネーム用紙の右下に「小池一夫劇画村塾」と印刷されています。「小池一夫劇画村塾」は、漫画原作者の小池一夫が立ち上げた漫画家や漫画原作者などの養成塾で、多くの優れたクリエイターを輩出しました。高橋留美子はその一期生として1977年に入塾し、すぐに才能を認められ、翌年にデビューとなりました。このネーム用紙は、この初期にしか使用されていない非常に希少なものです。
また、本作のようなネームや原画など、高橋留美子の直筆作品が市場で取引されるのは珍しく、先月古書と漫画専門のオークションに出品されたインクによる作品は、なんと1600万円で落札されました。

今パソコンやスマホで画像をご覧いただいている皆様、下見会では実物を間近でご覧いただけます。ファンの方にはきっと貴重な機会となりますので、ぜひ会場までお越しください。

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ご入札はご来場のほか書面や電話、オンラインでも承っておりますので、ご都合に合わせてご活用ください。新型コロナウイルスの感染予防対策にしっかりと取り組み、皆様のご参加をお待ちしております。

(佐藤)