8月の誕生石 ペリドット


涼しい日が続き夏が終わるのかと思いきや、ここ数日でまた暑さが舞い戻って参りました。残暑も厳しくなるようですが、皆さま気温の変動で体調を崩されないよう十分お気をつけ下さいませ。
さて、今回は8月の誕生石、ペリドットについてご紹介します。
ダイアモンドやルビー、サファイア等に比べたら、あまり馴染みのない石かもしれません。当社のオークションでも頻繁に出てくるものではありませんが、そのオリーブの実のようなグリーンの輝きは、独特の美しさを持って私たちの目を惹きつけます。
歴史的産地はエジプトの紅海に浮かぶザバルガッド。現在はアメリカのアリゾナやミャンマー、ノルウェーが主な産地となっています。遥か昔ローマ人は、ペリドットが夜でも明るい緑の光を発したことから「イブニングエメラルド」と呼びました。また、ドイツのドレスデンにある“緑の丸天井”の宝飾展示室には、大粒のペリドットがはめ込まれた剣や杖が、ダイアモンドやルビー、サファイア、エメラルドと肩を並べています。昔は色が似ているために違う宝石どうしが混同されることがあったようですが、ペリドットもエメラルドと間違われたことがあったようですね。今でこそ宝石にはその魅力を最大限に引き出すカットが施されており、この2つの石の色の違いを見極めることは簡単です。しかし当時はまだカット技術も発展途上、それ故に見間違えることもあったのでしょう。その他、ドイツのケルン大聖堂では、200カラットのペリドットが東方三博士の3つの聖堂を飾っています。
ペリドットは鉱物的にはオリビンというありふれたものですが、その中でも黄色と褐色を混ぜたような輝きを持つものは多くはありません。貴重ではありますが、比較的手頃な値段で美しいグリーンのファセットカットを楽しめる宝石として、今後脚光を浴びる可能性が高い石とも言えるようです。硬度はダイアモンドの10に対して6.5~7。硬度とは、引っかきや摩耗に対する強度を示す数値ですが、6.5はナイフを突き立ててやっと傷がつく程度ですので、身につけるには十分な硬さを持っていると言えます。
ペリドットの明るい緑は、昔イブニングエメラルドと呼ばれていた通りに、夜のわずかな光でも軽やかな輝きを放つことでしょう。身に纏う黒いドレスも、ポイントの鮮やかな緑に引き立てられる様子が目に浮かびます。ぜひカジュアルなパーティー等で身に付けてみてはいかがでしょうか。

当社で近年出品されたペリドットの商品はこちら。
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(左)アメジスト ペリドットイヤリング(by ANTONINI)
エスティメイト¥150,000~250,000
落札価格¥180,000

(右)アメジスト ペリドットイヤリング(by VanCleef&Arpels)
エスティメイト¥200.000~300.000
落札価格¥200,000

ちなみにペリドットの石ことばは「夫婦の幸福」。新緑を思わせる明るい緑の輝きを見ていると、優しく穏やかな気持ちになれる気がします。

(執筆 N.I)