とうとう今年も師走を迎えました!一年をより良く締めくくるべく、残りのひと月を有意義に過ごしたいものですね。
さて、今週末は近代陶芸/古美術/近代美術PartⅡ(陶芸)オークションが開催されます。
それではまずこちらのご紹介。
藤本能道(1919-1992)は、東京藝術大学の前身である東京美術学校工芸科図案部を1941年に卒業しました。同年に文部省工芸技術講習所第一部に入所し、翌年より講師であった加藤土師萌(1900-1968)に師事します。またその後1944年に教授となった富本憲吉(1886-1963)に付き、助手となりました。能道は、このように日本の「色絵磁器」の二大巨匠の下で学び、自身も1986年に「色絵磁器」で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。また工芸家としては初の東京藝術大学学長も勤め上げました。
今回何よりご覧いただきたいポイントは、この花の色合いです。
色絵磁器は普通、輪郭線を描いて絵付けする箇所を小分けにし、色が混ざらないように塗っていきますが、能道は没骨描法で描き、焼成して最終的に色が美しく溶けて混ざるところを予想し絵付けを行いました。この工程は、非常に技術とセンスが必要とされます。そして今回の色味は、特にその工程がうまくいったと言えるほど、美しく柔らかな花の色を見ることができます。オレンジ色の色合いは弊社でも何度か出ていますが、ピンクから黄色へのグラデーションがかった色は、なかなか出すことの出来ない色なのではないでしょうか。
今回は藤本能道の優品が集まっておりますので、そちらも併せてぜひご覧ください。
次は古美術のご紹介です。
今回季節がらぴったりくるのが、何と言っても大石内蔵助の短冊です。
大石内蔵助良雄【万治二年-元禄十六年(1659‐1703)】は、ご存じの通り、
忠臣蔵で知られる赤穂藩筆頭家老だった人物です。12月14日は討入をした日と
いうこともあり、年末には「忠臣蔵」がよく取り上げられますね。
今回の短冊には、辞世の句とも言われている「覚悟した程にはぬれぬ時雨かな」と同じ季語を用いた短歌がしたためられています。
「木の葉散る うしろの山の木枯らしに ふらぬ時雨の音をきくかな」
「時雨」は、秋から冬に移ろいゆく風情を表すと共に、転じて「涙を流す」や「教化」などの意味があり、その後の内蔵助の人生に思いを馳せずにはいられない一句です。
今年最後の近代陶芸オークションにぜひ足をお運びください。
皆様のお越しを心よりお待ちしております。
近代陶芸/古美術/近代美術PartⅡ(陶芸)オークションスケジュールは
執筆者:E