12月古美術オークションより 仁清と明治の工芸


こんにちは。
先日の近代美術/近代美術PartⅡ/MANGAオークションにご来場いただいた皆様、誠にありがとうございました。
早いもので、2018年も残すところ1ヶ月と少しとなりました。
12/1(土)の近代陶芸/古美術/近代陶芸PartⅡオークション、12/8(土)のSHINWA MARKETのBAGS/JEWELLERY&WATCHESオークションで本年のオークションは終了です。本年も大変お世話になり、ありがとうございました。来年もどうぞ宜しくお願いいたします。

さて、本日は、1日(土)古美術オークションの出品作品の中からおすすめの作品をご紹介させていただきます。



122 仁清


《信楽写し瓢下耳付水指》
  H17.9×D18.2cm
  底部に印銘「仁清」
『陶磁大系23 仁清』№84
(平凡社)掲載【本付】

 落札予想価格
 ¥2,000,000~¥3,000,000


仁清(にんせい)(生没年不詳)は、江戸前期の京都で、彩り豊かな色絵陶器を完成させた京焼の祖と言われる名工です。

瀬戸や美濃などで修業を積み、正保四年(1647)頃に仁和寺門前に御室窯を開窯。仁和寺の「仁」と本名の清右衛門の「清」を一字ずつ取って仁清と号し、後水尾天皇を中心とした宮廷サロンや茶人・金森宗和との関わりの中で、優美で雅やかな陶器を生み出しました。

本作は、華麗な色絵ではなく、仁清作品のもう一つの魅力である轆轤成型による造形美が徹底して追求された水指です。仁清の色絵が大名好みだったのに対し、本作のように絵付けされていない作品は、京都の公家に好まれたと言われています。
本作では、下方に付けられた耳と温かみのある曲線を描く器形が典雅な趣を感じさせます。この特徴的な造形は、《白釉耳付水指》(出光美術館蔵)などにも見られる、仁清が得意としたものです。また、蓋つまみの縁が輪花形に刻まれていて、仁清の装飾性の高さと洗練された感性をうかがわせます。


123 梨子地菊蒔繪提箪笥

H30.4×W26.2×D39.6cm
『井上侯爵家御所藏品入札目録』二〇九  掲載
東京美術倶楽部/大正十四年(1925)【目録付】
「~超絶技巧~明治期の工芸展」№16 出品
日本橋三越本店/平成二十八年(2016)【目録付】

落札予想価格
¥3,000,000~¥5,000,000


絢爛豪華な装飾性とリアルな表現を徹底的に追求した明治の工芸は、その驚くべき「超絶技巧」で近年注目を集めています。
本作も、明治期の作と伝わる蒔絵の提箪笥(さげだんす)です。提箪笥は、主に身の回りの小物や書類などを携行する日常の道具ですが、本作はその華麗さゆえ、思わずうっとりと見入ってしまいます。表面の菊花の高蒔絵だけでも十分に美しいのですが、四隅や扉の金具、提鐶(さげかん:上面に付いた持ち手)に施された彫刻、引出し内側の梨子地(漆の上に金や銀粉を蒔き、さらに透明漆をかけ、粉が見えるよう研ぐ技法)なども本当にお見事。細部に至るまで技術の粋が尽くされています。


←扉の内側です。

     扉を開け、引出しを引くと、いっそう華やかな世界
     が広がります。皆様なら引出しの中に何をしまいま
     すか?



これらのほか、このたびの古美術は、代々の天皇の宸翰(しんかん)、一休宗純の一行など、書がとても充実しています。また、近代陶芸では、加藤唐九郎の《志野茶盌 銘 薄ずみ》、北大路魯山人《金銀水玉花入》などもおすすめです。
ぜひ下見会で実物をご覧ください。

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皆様のお越しを心よりお待ちしています。

(佐藤)