近代陶芸/古美術/富本憲吉記念館 辻本勇コレクション オークション開催!!



今週末9月14日(土)に近代陶芸/古美術/近代美術PartⅡオークション、そしてさらに富本憲吉記念館 辻本勇コレクションオークションが開催されます。

今回注目して頂きたいことは、古美術と富本憲吉記念館が所蔵していた作品群がまとめてオークションに出品されるという点です。
まず、古美術の中から色鍋島の尺皿をご紹介致します。
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色鍋島は元禄期に徳川家や大名への献上品、贈答品の為に作られた色絵磁器のなかでも最高峰の器です。当時からその格調の高さは別格でしたが、現在においても評価の高さは変わっていません。むしろ既存の作品が少ない分、さらに人気は高くなっているのではないでしょうか。なによりこの大きさ!盛期に作られた色鍋島で、尺皿(約直径30㎝)の大きさのものが世に出てくるのは、本当に珍しいことなのだそうです。大きさだけでなく、描きこみも細密で萩の花のたわわな感じは、技術の高さを窺わせます。
 日本が世界へ誇る「鍋島」を是非一度じっくりとご覧ください。

さて、もうひとつの目玉をご紹介します。

 富本憲吉記念館は、昭和49年(1974)に富本の生家である奈良県安堵町に私設美術館として創設されました。これは、富本憲吉と同郷の実業家・辻(本来は“しんにょう”の点は一つ)本勇氏の個人コレクションとして始まり、34年間個人運営をされてこられました。平成20年(2008)に館長である辻本氏が逝去され、平成24年(2012)に閉館されることとなり、平成25年(2013)3月より富本憲吉文化資料館として平成26年(2014)2月迄期間限定で公開されております。そして、閉館に伴い今回ご遺族が所有されていた作品が本オークションに出品されることとなったのです。

 富本憲吉作品にこれまでご興味のあった方々は、今回のカタログをご覧になり驚かれたのではないでしょうか?図録などに多数掲載されてきた作品が多く出品されています。また若い頃の作品や、「圖案百図 四十四葉」のように、富本作品の圖案が観られることもまたとない機会と言えるでしょう。富本憲吉の鑑定人でもあった辻本勇氏がコレクションしていただけあり、今回の作品は美術史的にも資料的価値の高いものばかりです。

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 富本は多くの有名な格言を残しています。
「模様から模様はつくらず」「“たからもの”はつくらない」
そして遺書には「墓不要、残された作品をわが墓と思われたし」と記されてあったそうです。 これほど言葉や精神性を世に残した陶芸家もいないのではないでしょうか。それが多くの人を魅了している理由なのかもしれません。約160点にも及ぶ富本憲吉作品群に、ぜひ会いにお越しください。
(執筆者:E)

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